看護臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
外来で「最近、右耳が詰まって聞こえにくい」と訴える45歳の患者さん。耳鏡検査の準備をします。
看護介入戦略 (Nursing Intervention)
1.
アセスメント:まずは問診で、症状の経過、耳痛の有無、耳漏、めまい、過去の耳の疾患や処置歴を確認します。その後、耳鏡を用いて外耳道と鼓膜を丁寧に観察します。耳垢が視認できるか、その色や性状、外耳道の閉塞度合いを評価します。
2.
看護ケア・患者教育:耳垢栓塞と診断された場合、医師の指示に基づき、耳垢溶解剤の点耳方法を指導します。また、「耳掃除は入り口から1cm以内を綿棒で軽く拭う程度にし、奥まで入れないように」と、予防的な生活指導を行います。除去処置が必要な場合は、処置の説明と同意を得て、医師の処置をアシストします。
患者の安全と注意事項 (Precautions)
耳垢の洗浄(イリゲーション)を行う際は、
混同注意! 鼓膜穿孔の既往や疑いがある場合は絶対禁忌です。洗浄液が中耳腔に入り、感染やめまいを引き起こすリスクがあります。処置前には必ず鼓膜の状態を確認することが必須です。
概念のまとめ
耳垢栓塞 = 外耳道の閉塞 → 聴力低下・耳閉感 → 診断は耳鏡による視診(暗褐色ワックス状物質の確認)。
一目で比較!
| 所見 | 示唆される疾患 | 病変部位 |
|---|
| 暗褐色ワックス状物質による外耳道閉塞 | 耳垢栓塞 (Cerumen impaction) | 外耳道 |
| 膿性耳漏、外耳道の発赤・腫脹 | 外耳炎 (Otitis externa) | 外耳道 |
| 鼓膜発赤・膨隆、発熱、耳痛 | 急性中耳炎 (Acute otitis media) | 中耳 |
| 鼓膜後方の液貯留(鼓膜は動きが悪い) | 滲出性中耳炎 (Otitis media with effusion) | 中耳 |
解剖生理と薬理のポイント
・外耳道の外側1/3は軟骨部で皮膚に耳垢腺・皮脂腺があり、内側2/3は骨部で皮膚が薄い。
・耳垢には抗菌・保湿作用があり、完全に取り除く必要はない。自然排出を促すことが基本。
・耳垢溶解剤(例:グリセリン・炭酸水素ナトリウムなど)は、耳垢を柔らかくし、自然排出や後の除去を容易にする。
暗記のコツとゴロ合わせ
ゴロ:「耳が詰まったら、まずはチラ見(視診)。黒いワックスがサイン!」
耳閉感・難聴の患者では、まず耳鏡で「チラ見(視診)」することが第一歩。その際、「黒い(暗褐色の)ワックス(蝋状のもの)」が見えたら耳垢栓塞の強力なサイン、と覚えましょう。
国試頻出ポイント
耳垢栓塞は「症状(難聴・耳閉感)+ 視診所見」の組み合わせで出題されます。他の耳疾患(中耳炎など)の所見との鑑別が問われることが多いです。耳鏡検査の所見をイメージできるようにしておきましょう。
国試出題パターンの変化に注意!
基本的な視診所見を問う問題から、
「耳垢栓塞が疑われる患者に対して、看護師が最初に行うべきアセスメントは何か」(答え:耳鏡を用いた視診)や、
「耳垢溶解剤の点耳指導時の留意点」(体温程度に温める、数日間使用するなど)といった、看護実践に結びついた形での出題も増えています。