看護学のコア解説
この問題は、
産科歴の記録法 (Obstetric history documentation)、特に
GTPALシステム (GTPAL system)の正しい適用について問うています。母性看護学において、妊婦の過去の妊娠・分娩歴を簡潔かつ正確に記録することは、現在の妊娠リスクを評価する上で極めて重要です。
重要概念の分析 (Key Concept)
GTPALは、妊婦の産科歴を5つの要素に分けて記録する標準的な方法です。
- G (Gravidity / 妊娠回数): 現在の妊娠を含めた、これまでの総妊娠回数です。流産や子宮外妊娠も含みます。
- T (Term births / 正期産): 妊娠37週0日以降に生まれた生存児の数です。
- P (Preterm births / 早産): 妊娠20週0日から36週6日までの間に生まれた生存児の数です。
- A (Abortions / 流産・中絶): 妊娠20週未満で終了した妊娠(自然流産、人工妊娠中絶、子宮外妊娠)の回数です。
- L (Living children / 生存児数): 現在生存している子どもの総数です。
ここがポイント! Gは「妊娠の回数」、TとPは「生まれた子どもの数」、Aは「妊娠の回数」、Lは「子どもの数」を指します。単位が異なるため、混同しないように注意が必要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
設問の女性の状況をGTPALに当てはめます。
- G (妊娠回数): 過去の妊娠が4回(満期産2回、早産1回、流産1回)です。現在の妊娠はまだ含まれていません(「初診」のため)。したがって、総妊娠回数は4です。
- T (正期産): 満期分娩が2回です。したがって2です。
- P (早産): 34週での分娩が1回です。したがって1です。
- A (流産): 10週での流産が1回です。したがって1です。
- L (生存児数): 現在3人の子どもが生存しています。したがって3です。
以上から、正しい記録は
G4 T2 P1 A1 L3 となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
- 選択肢② G3 T2 P1 A1 L3: Gが3となっています。これは、流産を「妊娠」としてカウントしていない、または現在の妊娠を誤って含めてしまった可能性があります。Gは全ての妊娠を数えます。
- 選択肢③ G4 T3 P0 A1 L3: Tが3、Pが0となっています。これは、34週の早産を「正期産(T)」として誤ってカウントしてしまっています。正期産は37週以降です。
- 選択肢④ G5 T2 P1 A1 L3: Gが5となっています。これは、現在の初診時の妊娠を既にカウントに入れてしまった誤りです。初診時点では、まだ「現在の妊娠」はGに含めないのが一般的な解釈です(ただし、施設や文脈により解釈が分かれる場合もあります。国試では「初診時」の情報から過去の妊娠回数を問う問題では、現在の妊娠は含めないと考えるのが安全です)。
関連概念の整理 (Related Concepts)
GTPALの他にも、
産科歴の略記法として「G-P」表記(例:G4P2:妊娠4回、分娩2回)もよく使われます。この場合の「P (Parity)」は、妊娠22週以降の分娩回数を指し、早産・正期産を区別しません。また、
流産 (Miscarriage)と
死産 (Stillbirth)の違いも重要です。死産(妊娠22週以降の胎児死亡)は、TまたはPにカウントされず、別途記載が必要な場合があります。
概念のまとめ
| 略語 | 意味 | カウント対象 | 本例 |
|---|
| G | 妊娠回数 (Gravidity) | 全ての妊娠(現在含む) | 4 |
| T | 正期産 (Term births) | 37週以降の生存児数 | 2 |
| P | 早産 (Preterm births) | 20週~36週の生存児数 | 1 |
| A | 流産/中絶 (Abortions) | 20週未満で終了した妊娠回数 | 1 |
| L | 生存児 (Living children) | 現在生存している子供の数 | 3 |
一目で比較!
| 記録法 | 内容 | 特徴 |
|---|
| GTPALシステム | G, T, P, A, L の5項目 | 詳細な産科歴がわかる。リスク評価に有用。 |
| G-P表記 (例: G4P2) | 妊娠回数、分娩回数(22週以降) | 簡易的。Parityの中に早産・正期産の区別なし。 |
暗記のコツとゴロ合わせ
GTPALの覚え方
「
Gは
Gestation(妊娠)、
Term(満期)、
Preterm(早産)、
Abortion(流産)、
Living(生存)」。
混同防止ポイント: 「TとPは『生まれた子どもの数』、Aは『妊娠の回数』」と区別して覚えましょう。
国試頻出ポイント
GTPALの計算問題は頻出です。問題文を注意深く読み、「現在の妊娠は含むか?」「生存児数は?」「早産と正期産の区別(37週が境界)」を正確に判断することが勝負です。また、流産や子宮外妊娠がGとAの両方に影響する点も問われます。
国試出題パターンの変化に注意!
単純な計算だけでなく、「この産科歴から、どのようなリスクが想定されるか?」(例:早産歴があるので、今回も早産リスクが高いなど)と看護ケアやリスクアセスメントに結びつけて出題されることも増えています。GTPALの数字の意味を臨床的に解釈できるようにしておきましょう。