# 有機リン系農薬による急性中毒の症状として正しいのはどれか。

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> language: ja  
> subject: 生活環境の保全

## 問題

有機リン系農薬による急性中毒の症状として正しいのはどれか。

## 選択肢

1. 瞳孔散大・口腔乾燥・頻脈などの交感神経刺激症状が主体となる。
2. 縮瞳・流涎・徐脈などのコリン作動性症状が主体となる。 **✔ 正解**
3. 多尿・低カリウム血症・代謝性アルカローシスが主体となる。
4. 高体温・筋硬直・意識障害などの悪性症候群様症状が主体となる。
5. 皮膚の黄染・凝固障害・肝機能障害などの肝毒性症状が主体となる。

**正解: 2**

## 解説

有機リン系農薬はアセチルコリンエステラーゼを阻害し、アセチルコリンが蓄積することでコリン作動性症状 (縮瞳・流涎・気管支分泌増加・徐脈・下痢・筋線維束性収縮など) が生じる。治療にはアトロピンが用いられる。

## 詳細解説

核心解説
この問題は、有機リン系農薬 (Organophosphate Pesticides)による急性中毒の特徴的な症状を問うています。この中毒の本質は、アセチルコリンエステラーゼ (Acetylcholinesterase, AChE) の不可逆的阻害にあります。AChEが阻害されることで、神経終末から放出されたアセチルコリン (Acetylcholine, ACh)が分解されずに過剰に蓄積し、コリン作動性神経（副交感神経、一部交感神経、神経筋接合部など）が持続的に過剰興奮します。これを理解すれば、症状が「コリン作動性症状（ムスカリン様症状・ニコチン様症状・中枢神経症状）」として現れることが明確になります。

**正解の根拠 (Answer Rationale)**
正解は②番です。最重要！ 有機リン中毒の核心は、AChE阻害によるACh蓄積です。その結果、以下の典型的なコリン作動性症状が出現します。
- **ムスカリン様症状**: 縮瞳 (Miosis)、流涎 (Salivation)、徐脈 (Bradycardia)、気管支分泌増加（肺水腫）、発汗、下痢、頻尿。これらは副交感神経の過剰興奮による症状で、患者は「SLUDGE症候群（Salivation, Lacrimation, Urination, Defecation, Gastrointestinal upset, Emesis）」や「DUMBBELSS（Diarrhea, Urination, Miosis, Bronchorrhea, Bradycardia, Emesis, Lacrimation, Salivation, Sweating）」として覚えると良いでしょう。
- **ニコチン様症状**: 筋線維束性収縮 (Fasciculations)、筋力低下、麻痺、頻脈（初期）。骨格筋や自律神経節でのACh過剰による症状です。
- **中枢神経症状**: 意識障害、痙攣、呼吸抑制。

**誤答の分析 (Distractor Analysis)**
混同注意！
- **①番**: 「瞳孔散大・口腔乾燥・頻脈」は、逆に抗コリン作用を持つ物質（例: アトロピン (Atropine)、三環系抗うつ薬 (Tricyclic Antidepressant)、ベラドンナアルカロイド (Belladonna Alkaloids)）の中毒症状です。有機リン中毒の治療にアトロピンを用いることを考えると、症状が真逆であることが理解できます。
- **③番**: 「多尿・低カリウム血症・代謝性アルカローシス」は、Conn症候群（原発性アルドステロン症）やサイアザイド系利尿薬などの作用を示します。
- **④番**: 「高体温・筋硬直・意識障害」は、混同注意！ 悪性症候群 (Neuroleptic Malignant Syndrome, NMS)（抗精神病薬の副作用）や悪性高熱症 (Malignant Hyperthermia)（麻酔薬による）に典型的な症状です。
- **⑤番**: 「皮膚黄染・凝固障害・肝機能障害」は、劇症肝炎 (Fulminant Hepatitis)や肝硬変 (Liver Cirrhosis)など、肝毒性を持つ薬物・毒物（例: アセトアミノフェン、毒キノコ）の中毒症状です。

**関連概念の整理 (Related Concepts)**
有機リン中毒の治療と看護を理解する上で、以下の概念は必須です。
1.  **拮抗薬 (Antidote)**: アトロピン (Atropine)はムスカリン様症状に拮抗します。PAM（プラリドキシム, Pralidoxime）はAChEを再活性化することで、ニコチン様症状や中枢神経症状に効果を発揮します。両者を併用するのが基本です。
2.  **看護観察のポイント**: 呼吸状態（気道分泌、呼吸筋麻痺）の厳重な監視、バイタルサイン（特に心拍数と血圧）、瞳孔径、筋線維束性収縮の有無、意識レベルの評価が重要です。

概念整理: 有機リン中毒は「AChE阻害 → ACh蓄積 → コリン作動性過剰興奮」という病態生理に基づき、副交感神経症状（縮瞳・流涎・徐脈）、運動神経症状（筋線維束性収縮）、中枢神経症状（痙攣・意識障害）をきたす。治療はアトロピン + PAMによる拮抗と、気道確保・除染などの支持療法。

一目で比較！:

| 中毒物質 | 機序 | 主な症状 |
| --- | --- | --- |
| 有機リン (Organophosphate) | AChE阻害 | 縮瞳・流涎・徐脈・筋線維束性収縮・意識障害 |
| アトロピン (Atropine) | ムスカリン受容体遮断 | 散瞳・口渇・頻脈・皮膚紅潮・せん妄 |
| 悪性症候群 (NMS) | ドパミンD2受容体遮断 | 高体温・筋硬直・自律神経不安定・意識障害 |

看護過程ポイント: **アセスメント**では、中毒曝露歴（職業、自殺企図）とコリン作動性症状の有無をチェック。**看護診断**の優先順位は「非効果的気道クリアランス（気道分泌過多）」「受傷リスク（痙攣）」「非効果的脳組織灌流リスク」など。**介入**では、気道確保・吸引、バイタルサイン・SpO2モニター、拮抗薬の安全な投与管理、胃洗浄（誤嚥予防）など。

暗記のコツ: 覚え方は「SLUDGE（スラッジ）」または「DUMBBELSS（ダンベルス）」！「縮瞳・流涎」を見たらまず有機リン中毒を疑う習慣をつけましょう。治療薬のアトロピンが「散瞳・口渇」を起こすことをセットで覚えると、症状の理解が深まります。

国試頻出ポイント: 有機リン中毒は、病態（AChE阻害）、症状（コリン作動性症状）、治療（アトロピン+PAM）、看護（気道管理・除染）のセットで頻出。特に「縮瞳」と「筋線維束性収縮」は正解の決め手になりやすいキーワードです。

## 臨床シナリオ

臨床実践ガイド
**臨床シナリオ (Clinical Scenario)**: 救急外来に、40代男性が「畑仕事をしていたら気分が悪くなった」と家族に連れられて来院。意識は混濁しており、呼びかけに反応が鈍い。瞳孔は両側1mmに縮小し、衣服はよだれで濡れており、全身に筋のピクつき（筋線維束性収縮）が観察される。バイタルサインはBP 90/60mmHg、HR 48bpm（徐脈）、RR 8回/分（徐呼吸）、SpO2 88%（室内気）。家族から「さっきまで農薬を散布していた」との情報あり。
**看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)**: 最重要！ 救急看護師としてのファーストアクションは、ABCDEアプローチの徹底です。特にAirwayとBreathingの評価が最優先。徐呼吸と低SpO2から呼吸不全をアセスメントし、直ちに高流量酸素投与を開始、医師へ報告し気管挿管の準備を行います。同時に、モニター心電図で徐脈を確認し、除染（汚染衣類の除去、皮膚洗浄）を開始します。医師の指示のもと、アトロピン (Atropine)の静脈投与（ムスカリン症状対策）とPAM (Pralidoxime)の投与（AChE再活性化）を準備します。看護師は投与前後にバイタルサイン（特に心拍数・血圧・呼吸）を頻回にモニタリングします。
**患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)**:
- 医療者自身の安全確保が最優先！ 二次汚染を防ぐため、防護衣 (Protective Clothing)、ゴーグル (Goggles)、手袋 (Gloves)を必ず着用し、換気の良い場所で対応します。
- 誤嚥防止のため、意識障害がある場合は気管挿管後に胃洗浄を行います。
- アトロピン投与後は、散瞳・口渇・頻脈などの副作用出現に注意し、投与量を調整します（アトロピン化の目標は、心拍数>80bpm、口腔乾燥、瞳孔散大）。
- 自殺企図の可能性も考慮し、精神的なケアと安全な環境調整（物品管理）も忘れずに行います。

先輩看護師の一言: 「有機リン中毒は、初期対応の速さが生死を分ける救急疾患の一つです。特に重要なのは、『患者さんの身に着けているもの（農薬）』と『患者さんの症状（縮瞳・流涎・筋線維束性収縮）』を結びつけてアセスメントできるかどうかです。国試でもこの症状セットは頻出なので、『縮瞳＋流涎＝有機リン中毒＝AChE阻害』の図式を絶対に頭に叩き込んでください！」

## 重要概念

- **有機リン系農薬** — アセチルコリンエステラーゼ（AChE）を不可逆的に阻害し、アセチルコリン（ACh）の分解を防ぎ、コリン作動性神経を過剰興奮させる神経毒。
- **アセチルコリンエステラーゼ** — コリン作動性シナプスでアセチルコリンを分解する酵素。有機リンにより阻害されるとAChが蓄積する。
- **コリン作動性症状** — ACh過剰により生じる症状の総称。ムスカリン様症状（縮瞳・流涎・徐脈）、ニコチン様症状（筋線維束性収縮）、中枢神経症状（痙攣・意識障害）に分類される。
- **アトロピン** — ムスカリン受容体拮抗薬。有機リン中毒によるムスカリン様症状（気道分泌過多、徐脈、縮瞳）に拮抗するために用いられる治療薬。
- **プラリドキシム** — AChE再活性化薬。有機リンと結合したAChEから有機リンを解離させ、AChEの機能を回復させる。特にニコチン様症状や中枢神経症状に効果を発揮する。

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