核心解説
この問題は、生活保護制度における最も基本的な原則の一つである「世帯単位の原則」を問うています。生活保護法第10条では、保護の適用は世帯を単位として行うことが原則と規定されています。しかし、現実には様々な事情があるため、この原則を厳格に適用することが適切でない場合があります。そのため、法律は「世帯単位の原則」を大前提としつつ、必要に応じて個人単位での保護適用を認めています。この柔軟性が正しい選択肢の根拠となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 生活保護法第10条は「保護は、世帯を単位としてその要否及び程度を定める」と定めています。これが「世帯単位の原則」です。しかし、同条ただし書きにより「これによりがたいときは、個人を単位として定めることができる」とされています。例えば、世帯の中に収入のある者がいるが、特定の者のみが医療扶助を必要とする場合などがこれに該当します。選択肢①はこの原則と例外を正しく説明しています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
②番は「いかなる場合も認められない」と完全否定している点が誤りです。法律は例外を認めています。
③番は「個人単位が原則」と述べており、法律の規定(世帯単位が原則)とは逆の解釈です。
④番は「同居していない家族も同一世帯」とする点が誤りです。生活保護の世帯単位は、原則として「居住と生計を共にする」家族を指します。別居している家族は原則として別の世帯と判断されます。
⑤番は「世帯全員が就労不能」という条件はありません。保護の適用は、世帯の収入が最低生活費に満たないかどうかで判断され、就労の可否はその一要因ですが、全員が就労不能である必要はありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
生活保護の基本原理には、世帯単位の原則の他に、
補足性の原理(資産や能力の活用、他法の優先)、
最低生活保障の原理、
健康で文化的な生活の保障などがあります。また、介護保険や障害者総合支援法などの他制度が優先的に検討される点も併せて押さえましょう。
概念整理:
生活保護法 (Public Assistance Act) における
世帯単位の原則 (Household Unit Principle)は、保護の要否と程度を「世帯」単位で判断するという基本原則。例外として、世帯全体としての認定が困難な場合(例:虐待やDVからの分離保護が必要なケース)には個人単位での適用が可能。
一目で比較!:
| 原則 | 内容 | 例外 |
|---|
| 世帯単位 | 保護は世帯単位で要否・程度を決定 | 個人単位の適用可 |
| 個人単位 | 医療扶助など特定の扶助で適用 | 世帯全体の収入要件は満たさなくても個人で必要がある場合 |
看護過程ポイント: 看護師が生活保護受給者の患者に関わる際、アセスメントでは「世帯全体の生活状況」を把握することが重要。世帯の収入や介護力、家族構成を評価し、必要な社会資源(介護保険、障害者サービスなど)と連携する看護計画を立案します。評価では、保護の例外適用(個人単位)の可能性も考慮し、ケースワーカーとの連携を図ります。
暗記のコツ: 「世帯単位が大原則、でも例外あり!」と覚えましょう。「10条ただし書き」というキーワードで、「原則は世帯、例外は個人」とセットで暗記すると確実です。
国試頻出ポイント: 生活保護法の基本原則(世帯単位、補足性、最低生活保障)は、看護師国家試験でも「保健医療福祉のしくみ」分野で頻出です。特に「原則と例外」の関係を問う問題がよく出題されます。また、医療扶助や介護扶助などの扶助の種類とその適用条件も合わせて学習しておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な条文知識(「世帯単位が原則」)を問うだけでなく、事例問題で「夫が収入を得ているが、妻が医療扶助を必要とするケース」など、原則と例外の適用判断を問う発展問題が出されることがあります。