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在宅看護の役割と機能
問題

訪問看護師が、在宅療養者の病状変化に気づき、主治医に連絡したところ「経過観察」と指示された。翌日、さらに症状が悪化した場合の看護師の対応として最も適切なのはどれか。

解説
病状が悪化した場合は、前回の指示に固執せず、変化した状況を再度主治医に報告し、新たな指示を仰ぐことが適切である。経過観察の指示はあくまでその時点の判断であり、状態変化があれば再評価が必要となる。
同じテーマの次の問題在宅療養者の状態が悪化した際に、訪問看護師が最初に行うべき連携先として最も適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、在宅看護論 (Home Care Nursing)における、訪問看護師の役割と 病状変化時の対応 (Management of Deteriorating Condition) を問うています。特に、医師の指示(「経過観察」)と患者の状態変化のバランスをどう判断するかが鍵となります。看護師は、医師の指示を絶対視するのではなく、患者の状態を常にアセスメントし、変化があれば主体的に再評価・再報告する責任があります。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 医師が「経過観察」と指示した時点では、その情報に基づいた適切な判断でした。しかし、患者の状態は刻一刻と変化します。「翌日、さらに症状が悪化した」という新たな事実が発生したため、看護師は前回の指示に固執せず、変化した状況を正確に主治医に報告し、新たな指示を仰ぐことが最も適切な対応です。これは、看護師の報告・連絡・相談 (Reporting, Liaising, Consulting)の基本であり、患者の安全を守るための責務です。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! ①番(ケアマネジャーに相談する): ケアマネジャーは介護保険のケアプラン作成が主な役割であり、急な病状変化への医学的判断はできません。状況報告は必要ですが、まずは医師への報告が優先です。 ②番(訪問看護ステーションの管理者に報告する): 管理者への報告は、組織としての対応や情報共有のために重要ですが、医師の指示を仰ぐ責任は訪問看護師自身にあります。管理者報告は、医師報告と並行またはその後に実施すべきです。 ③番(指示に従い経過観察を続ける): 危険! 「経過観察」の指示は、前回の状態を前提としたものです。症状が悪化しているにも関わらず漫然と経過観察を続けることは、患者の容態悪化を見逃し、生命の危険を招く可能性があります。指示は絶対ではなく、患者の状態変化に応じて再評価すべきです。 ⑤番(救急車を要請する): 症状悪化の程度によります。例えば、呼吸困難や意識障害など緊急性の高い状態 (Life-threatening Condition)であれば救急車要請が優先されますが、問題文では「さらに症状が悪化」とあるものの具体的な緊急度が不明です。まずは主治医に連絡し指示を仰ぐことが、より適切かつ優先度の高い対応です。 関連概念の整理 (Related Concepts) この問題は、在宅看護における 訪問看護師の自律的判断 (Autonomous Judgment)医師との連携 (Collaboration with Physicians) の重要性を示しています。看護師は、医師の指示の下で活動しますが、常に患者の代弁者として、状況が変われば自ら積極的に情報を発信し、指示を再評価する責任があります。 概念整理: 訪問看護師の役割: 在宅療養者の病状観察、アセスメント、医師への報告・連絡、緊急時の判断。医師の指示は「その時点での判断」であり、状態変化があれば「再評価・再報告」が必要。
一目で比較!:
場面優先対応
状態変化なしで経過観察中指示通り経過観察
状態が悪化(新たな情報あり)再度医師に報告し指示を仰ぐ
生命の危険がある急変救急車要請を最優先

看護過程ポイント: アセスメント: 症状の経時的変化(悪化の程度、新たな症状の有無)を客観的データで評価。計画: 医師への報告基準(SBAR)を事前に準備。実施: 状態変化を医師に伝え、新たな指示を仰ぐ。状況により緊急時の対応準備。評価: 医師の新指示後の患者状態を再評価。
暗記のコツ: 「経過観察」の指示は「現時点では様子を見る」という意味。患者の状態が変わったら、それは「新たな情報」として医師に報告し直す必要があると覚えよう。「指示は絶対ではない。患者の変化が最優先。」
国試頻出ポイント: 在宅看護論では、訪問看護師の役割、医師との連携、緊急時の判断、指示受けの範囲などが出題されやすい。特に「医師の指示に従うべきか、患者の状態を優先すべきか」という倫理的ジレンマを含む問題が頻出。
出題パターン注意!: 状況設定問題として「在宅で療養中の患者が夜間に呼吸苦を訴えた。往診医に電話したところ『明日まで様子を見て』と言われたが、患者のSpO2が90%を切っている。看護師の対応として適切なのはどれか。」のように、具体的な数値とともに緊急度を判断させる問題に発展する。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 70代女性、慢性心不全 (Chronic Heart Failure) で在宅療養中。訪問看護師が定期訪問したところ、昨日までなかった両下肢の浮腫と体重が2kg増加していることに気づきました。血圧は120/80mmHg、心拍数は88回/分、SpO2は96%(室内気)。本人は「ちょっと動くと息切れする」と訴えています。主治医に電話で報告したところ、「今夜は利尿薬(フロセミド)を追加で内服し、明日の訪問で再評価してください」と指示がありました。翌日訪問すると、浮腫は改善せず、体重がさらに1kg増加、SpO2が94%に低下していました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 観察 (Observation): 症状の悪化を確認(体重増加、SpO2低下、浮腫増悪)。バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸状態)と、新たな症状(起坐呼吸、ピンク色の泡沫状痰など)の有無を評価。 2. アセスメント (Assessment): 前日の指示(利尿薬追加)が効果不十分であり、心不全の増悪 (Exacerbation of Heart Failure) が進行している可能性が高いと判断。入院が必要なレベルかどうかを評価。 3. 報告 (Report): 最重要! 躊躇せず、再度主治医に連絡。前回の指示とその後の経過、現在の状態をSBARで簡潔に報告。「前回、フロセミド追加の指示をいただきましたが、今朝の体重はさらに1kg増加し、SpO2が94%に低下しています。入院による治療強化が必要と考えますが、いかがでしょうか。」 4. 介入 (Intervention): 医師の新たな指示(入院、酸素療法、静注利尿薬など)に従い、速やかに準備。救急車要請の必要性も判断。 5. 評価 (Evaluation): 新指示後の患者の反応、症状の変化を評価。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) 最重要! 医師の指示に「遠慮」や「指示を守らなければ」という心理的ブロックが生じやすいですが、患者の安全が最優先 (Patient Safety First) です。症状悪化を放置することは、心原性ショックや呼吸不全など重篤な状態を招く可能性があります。在宅看護では、看護師が「ここからは自宅でのケアの限界」と判断し、医師や家族と連携して入院を提案することも重要な役割です。 看護プロトコル: 報告基準 (SBAR): Situation(状況): 「○○さん、心不全が増悪しています」 Background(背景): 「前回、浮腫と体重増加があり、フロセミド追加の指示を受けました」 Assessment(評価): 「翌日、体重がさらに増加し、SpO2が低下。入院加療が必要と考えます」 Recommendation(提案): 「入院のご判断をお願いします」
先輩看護師の一言: 「在宅の現場では、医師と直接顔を合わせる機会が少なく、電話での報告が主になります。だからこそ、『このままでは危ない』という自分のアセスメントに自信を持って、ためらわずに電話することが大切です。国試でも、『指示を守ること』より『患者の状態の変化を伝えること』が正解になる問題がよく出ますよ!」

重要概念

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