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在宅看護の対象と生活
問題
訪問看護師が、認知症の高齢者とその家族宅を訪問した。家族から「最近、夜中に何度も起きて騒ぐので、家族みんな眠れない」と相談があった。看護師の対応として最も適切なのはどれか?
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1
施設入所を勧める
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2
認知症の行動心理症状(BPSD)の対応として、夜間の行動の記録を依頼する
✓ 正解
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3
日中はできるだけ活動的に過ごすよう指導する
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4
睡眠薬の使用を勧める
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5
夜間に部屋を明るくするよう提案する
解説
認知症の夜間の興奮や不眠(BPSD)に対しては、まずその出現パターンや誘因を把握することが重要である。具体的な行動記録を依頼することで、適切な対応を検討するための情報を得ることができる。
同じテーマの次の問題在宅看護において、訪問看護師が初回訪問時に最も優先して確認すべきことはどれか?
詳細解説
核心解説
この問題は、認知症高齢者の行動心理症状 (Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia, BPSD)、特に夜間の興奮・不眠(夜間せん妄や睡眠障害を含む)に対する看護介入の優先順位を問うています。BPSDの対応では、薬物療法に頼る前に、まずその行動の背景や誘因をアセスメントすることが最重要です。訪問看護師は、家族の負担(介護負担)を軽減しつつ、患者の尊厳と安全を守るためのケアを調整する役割があります。夜間の興奮は、環境要因(騒音・室温・照明)、身体的不調(疼痛・便秘・感染症)、不安や見当識障害など、多因子が関与するため、行動パターンの記録はアセスメントの第一歩として非常に有効です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解の②「夜間の行動の記録を依頼する」は、看護過程の「アセスメント」段階に該当します。BPSDの原因を特定するためには、出現時間・頻度・誘因・対応後の変化を具体的に記録することが不可欠です。これにより、身体的原因(例:尿意・疼痛)や環境的原因(例:部屋が暗すぎる・騒音)を推測でき、非薬物的介入の計画が立てられます。家族も記録を通じて客観的に状況を捉えやすくなり、心理的負担の軽減にもつながります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 施設入所を勧める → 混同注意! これは最終手段です。まずは在宅での生活を継続できるよう、介入や環境調整を検討すべきであり、いきなり施設入所を勧めるのは看護倫理に反します。
③ 日中はできるだけ活動的に過ごすよう指導する → 良い介入の一つですが、前提として現状のアセスメント(記録による評価)が必要です。日中活動が過剰だと疲労が蓄積し、かえって興奮を誘発する可能性もあります。記録なくして指導はできません。
④ 睡眠薬の使用を勧める → 注意! 薬物療法は非薬物介入が効果不十分な場合の選択肢です。高齢者への睡眠薬は転倒リスクや認知機能低下を招く恐れがあり、まずは原因を探るべきです。
⑤ 夜間に部屋を明るくするよう提案する → 逆効果です。夜間の明るすぎる環境は体内時計(サーカディアンリズム)を乱し、不眠を悪化させます。夜間は薄暗く静かな環境を保つのが基本です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
認知症のBPSD対応は「Person-Centered Care (PCC, 認知症ケアの理念)」に基づき、その人の生活史や習慣を考慮します。夜間せん妄(特に高齢者の入院時)との鑑別も重要です。また、介護保険サービス(訪問看護・デイサービス・ショートステイ)の活用や、家族のレスパイトケア(休息支援)も併せて検討します。
概念整理: BPSD (行動心理症状) は、幻覚・興奮・不安・抑うつ・徘徊・睡眠障害などを含み、原因の多因子性が特徴。看護の第一歩はアセスメント(記録・観察)であり、薬物療法は二次的な対応。
一目で比較!: 夜間せん妄 (Delirium) vs 認知症の夜間興奮。せん妄は急性発症・注意障害・変動性が特徴で身体的原因(感染症・薬剤)が背景に多い。認知症の興奮は慢性経過・見当識障害が基盤にある。
看護過程ポイント: アセスメント(行動記録・身体状態チェック・環境評価)→ 看護診断(例:睡眠パターン障害、介護者役割緊張)→ 計画(環境調整・活動スケジュール・家族指導)→ 実施(記録の継続・非薬物介入)→ 評価(行動の変化・家族の睡眠状況)。
暗記のコツ: 「BPSDのBは、Before medication(薬の前に)アセスメント!」と覚えましょう。まずは「見て・聞いて・記録する」が鉄則。
国試頻出ポイント: BPSDの非薬物介入が第一選択であること、家族支援の重要性、夜間環境調整(薄暗い照明・静寂)の原則は頻出。高齢者の睡眠薬使用のリスク(転倒・せん妄誘発)もよく問われます。
出題パターン注意!: 「認知症のBPSDへの対応として最も適切なものは?」という単純知識問題から、「夜間に興奮する高齢者への訪問看護師の対応」という状況設定問題へと発展します。選択肢の中に「薬の提案」があれば、まず疑いの目を向けてください。
臨床シナリオ
臨床実践ガイド
- 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 80代女性、アルツハイマー型認知症 (Alzheimer's Disease) で在宅療養中。訪問看護師が夜間対応に困っている娘(主介護者)から相談を受けました。「母は夜中に2~3回起きて、『家に帰る』と言って玄関に行こうとします。昼間は居眠りが多いです。私たち家族も疲れ切っています。」
- 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察・アセスメント:娘に「いつ頃から?何がきっかけで起きる?その時、体調はどうか(痛み・トイレなど)?対応後はどうなるか?」を聞き、まずは1週間の行動記録(睡眠時間・覚醒時間・行動内容・食事量・排泄状況)を依頼します。
2. 介入:記録をもとに、日中は座位での軽い体操や散歩、デイサービス利用を検討。夜間はトイレの導線を確保し、足元灯をつけて安全性を確保。寝る前に温かいノンカフェイン飲料を提供するなどのリラクゼーションを提案。
3. 報告と連携:医師やケアマネジャーと情報共有し、身体的原因(便秘・脱水・感染症)の有無を確認。
- 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
最重要安全! 夜間徘徊による転倒・転落リスクが高いため、ベッドの高さ調整、床に物を置かない、玄関にセンサー付きアラームを設置するなどの環境整備が必須。家族の睡眠不足は介護負担を増大させ、虐待リスクにもつながるため、家族の休息(ショートステイ利用など)も積極的に提案します。
看護プロトコル: 行動記録用紙の作成方法(時間軸・行動・誘因・対応・結果の5項目)。SBAR報告の例:「S(状況): 夜間興奮が増加。B(背景): アルツハイマー型認知症。A(アセスメント): 環境要因または身体要因の可能性。R(提案): 1週間の記録と日中活動調整を提案。」
先輩看護師の一言: 「認知症のBPSDって、『困った行動』に見えても、患者さん自身も不安で混乱しているんです。まずは『なぜ今、この行動が起きているのか』を一緒に考えることが、家族と患者さんを救う第一歩。記録はそのための地図になりますよ!」
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