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在宅看護の対象と生活
問題

訪問看護師が、在宅で中心静脈栄養(IVH)を実施している利用者宅を訪問した。カテーテル挿入部に発赤と腫脹を認めた。看護師の対応として最も適切なのはどれか?

解説
カテーテル挿入部の発赤や腫脹は感染の兆候である。看護師はその所見を正確に記録し、医師に報告して指示を仰ぐことが適切である。看護師の判断で抜去や軟膏塗布を行うことはできない。
同じテーマの次の問題在宅看護において、訪問看護師が初回訪問時に最も優先して確認すべきことはどれか?

詳細解説

核心解説 この問題は、在宅における 中心静脈栄養 (IVH: Intravenous Hyperalimentation) のカテーテル管理と、看護師の役割範囲を問うています。カテーテル挿入部の発赤 (Redness)腫脹 (Swelling) は、最重要! カテーテル関連血流感染 (CRBSI: Catheter-Related Blood Stream Infection) の初期兆候です。在宅看護において、看護師は医師の指示なしに侵襲的な処置(抜去、薬剤投与)はできません。まずは正確な観察と記録、そして医師への報告が最優先の対応です。 正解の根拠 (Answer Rationale)
感染の兆候として記録し、医師に報告する
看護師は、異常所見を発見した場合、自らの判断で治療を開始することはできません。まずは 客観的なデータ(バイタルサイン、発赤の範囲、疼痛の有無、排液の性状など) を収集し、記録した上で、医師に報告(SBAR等を活用)し、今後の指示(抗生剤投与、カテーテル抜去、培養検査の実施など)を仰ぐ必要があります。これは在宅看護に限らず、医療安全の基本です。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 抗生物質の軟膏塗布は医師の指示が必要な行為であり、看護師の判断で行うことはできません。また、カテーテル関連感染では、軟膏塗布よりも全身的な対応が優先されます。
② 消毒の強化も看護師の判断で行えるケアの範囲ですが、感染がすでに疑われる場合、看護師の裁量で消毒方法を変更することは推奨されません。 感染の確定診断と適切な治療方針(例:抗生剤の投与、培養検査)を医師が決定する必要があります。
カテーテル抜去は医師の行為 であり、看護師が単独で行うことは絶対にできません。たとえ感染が強く疑われても、医師の指示がなければ抜去してはいけません。
⑤ ドレッシング材の交換もケアの一環ですが、感染兆候がある場合、まずは医師の診察と指示を仰ぐことが優先されます。自己判断で交換し、症状を悪化させたり、感染を広げたりするリスクがあります。 関連概念の整理 (Related Concepts)
- 中心静脈栄養 (IVH)末梢静脈栄養 (PPN) の管理の違い - カテーテル関連血流感染 (CRBSI) の予防策:挿入時の最大滅菌バリア予防策 (Maximal Sterile Barrier Precautions)クロルヘキシジンアルコール消毒不要なカテーテルの早期抜去 - 在宅中心静脈栄養 (Home IVH) における看護師の役割:家族への指導最重要! 感染徴候の観察、ドレッシング交換手技)、多職種連携(医師、薬剤師、ケアマネージャー) 概念整理: カテーテル感染が疑われた場合の看護師の行動原則は「観察・記録・報告」。看護師の裁量で行えるのは「観察」と「緊急時の応急処置(例:止血)」までであり、治療行為(投薬、抜去)は医師の指示が必要。在宅では特に、医師との連絡手段(電話、オンライン)を確保しておくことが重要。 一目で比較!:
状況看護師の対応
挿入部に軽度の発赤あり(感染疑い)観察・記録・医師報告
カテーテルが完全に抜けてしまった直ちに止血・ガーゼ圧迫し、医師へ報告
ドレッシングが汚染・湿潤している医師の指示(または施設のプロトコル)に従い交換
看護過程ポイント: - アセスメント: 発赤の範囲(mm単位)、腫脹の程度、疼痛の有無、局所の熱感、排液の有無と性状(膿性か漿液性か)、全身症状(発熱、悪寒戦慄、頻脈、白血球数・CRP上昇)を包括的にアセスメント。 - 看護診断: 「感染リスク状態 (Risk for Infection)」または「感染 (Infection)」 - 計画・実施: 医師への報告後、指示に基づき(例:血液培養の採取、カテーテル先端培養、抗生剤の投与、カテーテル抜去の準備)。培養採取時は無菌操作を厳守。 - 評価: 医師の指示による介入後の症状の経過、全身状態の改善度を評価。 暗記のコツ: 「赤く腫れたIVH」を見たら「R」を思い出そう! 「Record(記録)」、「Report(報告)」、「Response(医師の指示を待つ)」。自分で「Remove(抜去)」や「Remedy(治療)」をしてはいけない。 国試頻出ポイント: 在宅看護の場面で、「訪問看護師が感染徴候を発見した。まず行うことは?」という形で頻出。看護師の権限と医師の指示の境界線を問う問題は、最重要! 毎年のように出題されます。 出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「在宅IVH管理中に発熱と挿入部の発赤が出現。訪問看護師が最初に行うべき対応は?」という状況設定問題(事例問題)として出題される。医師への報告だけでなく、「家族への指導内容」や「感染予防のための具体的なケア手順」を問う発展問題にも注意。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 在宅でIVH管理中の80代女性の訪問時に、カテーテル挿入部周囲に2cm大の発赤と軽度の腫脹を発見。患者からは「昨日からなんとなくだるい」との訴えがありました。 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 訪問看護師「佐藤さん、おはようございます。今日はIVHの状態を確認させてください…あら、挿入部の周りが少し赤くなっていますね。痛みはありますか?」患者「うーん、触ると少し痛いかな。あと、なんだか体が重くて。」 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): あなたは訪問看護師です。 1. 観察 (Assessment): バイタルサイン(体温37.8℃、脈拍88回/分、血圧118/72mmHg)、発赤の範囲(2cm×1.5cm)、腫脹の程度、疼痛スケール(NRS 3/10)、排液の有無(なし)。全身状態(倦怠感の程度、悪寒の有無)。 2. アセスメント (Clinical Judgment): 最重要! カテーテル関連血流感染 (CRBSI) の可能性が高い。局所感染にとどまらず、全身感染(敗血症)に進展するリスクがあるため、緊急性が高いと判断。 3. 報告 (Report: SBAR): 「S(状況):佐藤様、IVH管理中、挿入部に発赤・腫脹あり。体温37.8℃。B(背景):2日前までは問題なし。A(アセスメント):CRBSIの可能性を疑います。R(提案):至急、血液培養とカテーテル先端培養の指示、および抗生剤投与の検討をお願いします。」 4. 介入 (Intervention): 医師からの指示(例:「血液培養2セット採取後、抗生剤XXの投与開始。抜去の準備を。」)を受け、指示を実施。家族へ現状と今後の対応を説明。 5. 評価 (Evaluation): 介入後、バイタルサインの経過観察、発赤範囲の拡大の有無を確認。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 最重要! 看護師の独断でカテーテルを抜去したり、抗菌薬の投与(内服・外用含む)を開始したりしないこと。 - 在宅では医師が常駐していないため、事前に緊急時の連絡先や対応プロトコルを決めておく。 - 感染が疑われる場合は、他の訪問患者への感染拡大を防ぐため、標準予防策 (Standard Precautions) を徹底する。 看護プロトコル: - 観察項目:発赤・腫脹・疼痛・熱感の程度、排液の有無と性状、バイタルサイン、全身状態(倦怠感、悪寒、食欲不振) - 報告基準(SBAR):上記参照 - 記録のポイント:観察所見(写真があればベター)、医師への報告時間と指示内容、実施したケア、患者・家族への説明内容 - 家族への説明:感染の可能性があること、治療方針(抗生剤、抜去の可能性)、注意すべき症状(発熱増強、呼吸苦など) 先輩看護師の一言: 「在宅では、私たち訪問看護師が『患者さんの最初の異変』に気づくプロフェッショナルです。『これくらいなら大丈夫』と自己判断せず、必ず記録して医師に報告する習慣をつけましょう。それが患者さんを救う第一歩です。国試でも、『まず報告』という思考は絶対に忘れないでくださいね!」
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