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在宅看護の対象と生活
問題
訪問看護師が、褥瘡(床ずれ)のある利用者宅を訪問した。褥瘡の状態を評価する際に最も適切なのはどれか?
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1
創傷被覆材の交換のみを行う
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2
褥瘡の大きさを目視で判断する
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3
褥瘡の写真を撮影し、医師に送付する
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4
褥瘡の臭いの有無のみを確認する
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5
デザイン(DESIGN-R)ツールなどを用いて評価する
✓ 正解
解説
褥瘡の評価には、デザイン(DESIGN-R)などの標準化された評価ツールを用いることで、客観的かつ経時的な評価が可能となる。目視や臭いのみの評価では不十分である。
同じテーマの次の問題在宅看護において、訪問看護師が初回訪問時に最も優先して確認すべきことはどれか?
詳細解説
核心解説
この問題は、褥瘡(床ずれ)のアセスメント方法、特に在宅看護の現場における評価の質と客観性を問うています。褥瘡の評価は、単なる観察ではなく、標準化された評価ツールを用いた客観的で再現性のある評価が国際的なスタンダードです。在宅看護では、医師への報告やケアの継続性の観点からも、主観に頼らない評価が不可欠です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は⑤番、DESIGN-Rツールを用いた評価です。DESIGN-Rは、日本褥瘡学会が推奨する褥瘡評価ツールで、D(深さ:Depth)、E(滲出液:Exudate)、S(大きさ:Size)、I(炎症:Inflammation)、G(肉芽組織:Granulation)、N(壊死組織:Necrotic tissue)、R(ポケット:Pocket)の7項目をスコア化し、褥瘡の重症度と治癒経過を客観的かつ継時的に評価できます。在宅看護においても、このツールを用いることで、看護師間や医師との情報共有が円滑になり、科学的根拠に基づく看護ケア(EBN)の実践につながります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番の「創傷被覆材の交換のみを行う」は、処置(ケアの実施)であり、評価(アセスメント)ではありません。褥瘡ケアは、評価 → 計画 → 実施 → 評価のサイクルが重要であり、評価なしに被覆材を交換するだけでは、治癒経過の判断や適切な被覆材の選択ができません。
②番の「褥瘡の大きさを目視で判断する」は、主観的で再現性に欠けます。経過観察や他者との情報共有において、数値化やスコア化されていない「目視」は誤差が大きく、看護記録としての質も低下します。
③番の「褥瘡の写真を撮影し、医師に送付する」は、情報共有の手段として有効な場合もありますが、混同注意! 写真だけでは深さやポケットの状態、硬さなどは評価できません。あくまで補助的な情報であり、評価ツールを用いた系統的な評価が優先されます。
④番の「褥瘡の臭いの有無のみを確認する」は、感染の兆候(嫌気性菌など)を疑う一つのサインですが、褥瘡の全体像を評価するには不十分です。滲出液の性状や量、周囲の炎症症状など、多角的な評価が必要です。
概念整理
- 褥瘡評価ツール (Pressure Ulcer Assessment Tool): DESIGN-R の他に、NPUAP(米国褥瘡諮問委員会)ステージ分類やEPUAP(欧州褥瘡諮問委員会)分類も国際的に用いられます。日本ではDESIGN-Rが標準的です。
- 在宅看護における評価の特性: 訪問看護では医師が常駐しないため、看護師のアセスメント力が特に重要です。標準化ツールは、医師との情報共有(Information Sharing)や指示体制(Delegation)を円滑にします。
- 褥瘡予防と管理の基本: ポジショニング(体位変換)、栄養状態の改善、圧分散マットレスの使用、皮膚の清潔保持。
看護過程ポイント
- アセスメント: DESIGN-Rを用いて、深さ、滲出液、大きさ、炎症、肉芽、壊死、ポケットの7項目を評価。さらに、全身状態(栄養指標としてのAlb値など)、疼痛の有無、周囲皮膚の状態も合わせて観察。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「皮膚統合性の障害 (Impaired Skin Integrity)」または「組織損傷 (Risk for Infection)」。
- 計画・実施: DESIGN-Rのスコアに基づき、適切な創傷被覆材(ハイドロコロイド、フォーム、アルギン酸など)を選択。壊死組織があればデブリードマン(外科的/自己融解/酵素的)を実施。スコアの改善/悪化に応じてケアプランを修正。
- 評価: 継続的にDESIGN-Rスコアを記録し、治癒曲線(スコアの推移)を確認。スコアが改善しない場合、感染や栄養不良、ポジショニングの不備などを再アセスメント。
国試頻出ポイント
- 褥瘡の評価ツールとしてDESIGN-Rが出題されることは非常に多いです。各アルファベットが何を表すか、スコアリングの大まかな基準を覚えておきましょう。
- 「客観的評価」と「主観的評価」を対比した問題が頻出。常に「標準化されたツール」を選ぶ意識を持ちましょう。
- 在宅看護の文脈では、「医師への報告」「家族への指導」「ケアの継続性」というキーワードと絡めて出題されることがあります。
出題パターン注意!
- 単純知識問題:「DESIGN-RのDは何を表すか?」→「深さ (Depth)」
- 状況設定問題:「訪問看護師が褥瘡の評価をしたところ、DESIGN-Rスコアが先週より2点上昇した。看護師の次の行動として適切なのはどれか?」→「ポジショニングと栄養状態を再評価し、ケアプランを修正する」など、アセスメント結果を次の介入につなげる思考が問われます。
臨床シナリオ
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは在宅訪問看護師です。80代女性、脳梗塞後遺症で寝たきり状態の利用者(Aさん)宅を訪問しました。前回訪問時は尾骨部に発赤のみでしたが、今回は2cm大の水疱が破れ、底面に黄色い壊死組織が付着した創部を確認しました。滲出液は中等量で、軽度の臭気があります。家族は「急に大きくなってびっくりして」と不安な様子です。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察 (Observation): まず、DESIGN-Rを用いて創部を評価します。深さ(D)は真皮まで(d2)、大きさ(S)は4cm²(s3)、滲出液(E)は中等量(e2)、壊死組織(N)は黄色軟膏状(n2)、炎症(I)は周囲発赤あり(i1)、ポケット(P)はなし(p0)。合計スコアを算出し、前回と比較します。同時に、全身状態(体温、食欲、Alb値、体重変化)を確認します。
2. アセスメント (Assessment): 新規発生から急速に進行した深さを伴う褥瘡(Stage III相当)と判断。感染の可能性を考慮し、壊死組織の除去と滲出液コントロールが優先課題です。家族のケア負担が増大し、介護力の低下も懸念されます。
3. 報告と介入 (Report & Intervention): 最重要! 直ちに担当医へ電話報告(SBAR:Situation-褥瘡がStage IIIに進行、Background-寝たきり高齢者、Assessment-感染リスクあり、Recommendation-抗菌薬処方と創部の評価依頼)。指示に基づき、創部の洗浄(生理食塩水)、壊死組織に対する酵素的デブリードマン(軟膏)、滲出液吸収用のフォーム材での被覆を実施。さらに、ポジショニングの見直し(除圧マットレスの確認、エアマットレスの導入検討)と栄養補給(高カロリー・高タンパクの補食)の指導を家族に行います。
4. 評価 (Evaluation): 次回訪問時にDESIGN-Rを再評価。スコアの改善がなければ、医師に再報告し、外科的デブリードマンや入院治療の必要性を検討します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 感染対策: 創部の観察時は必ず手指消毒と清潔な手袋を着用。滲出液が多量の場合は、汚染した寝具・衣類の交換も徹底。臭気が強い場合や発熱を伴う場合は、感染の重症化(敗血症)を疑い、緊急対応を考慮。
- 誤嚥・栄養管理: 栄養状態の悪化は褥瘡治癒を著しく遅延させます。経口摂取が不十分であれば、経腸栄養(EN)や静脈栄養(PN)の導入を医師と相談。
- 家族指導: 褥瘡は「ケアが悪いからできた」という罪悪感を家族に与えやすい。「病気の進行と体圧がかかることでできてしまうもので、決してあなたのせいではありません」と伝え、心理的サポートを行う。
看護プロトコル
- 観察項目: DESIGN-R全項目、バイタルサイン(特に体温)、栄養状態(Alb値、BMI、食事摂取量)、疼痛の有無(NRSなど)、周囲皮膚の状態、家族の介護負担感。
- 報告基準(SBAR): S(Situation): 褥瘡の進行(新規発生、スコア増加など)、B(Background): 患者の基礎疾患、リスク因子、A(Assessment): DESIGN-Rスコアと感染兆候の有無、R(Recommendation): 具体的な処方変更や介入の提案。
- 記録のポイント: DESIGN-Rのスコアは必ず記録。写真は患者ID、日付、部位が分かるように撮影し、カルテに添付。ケアの内容(洗浄、使用した被覆材、ポジショニングの方法)と患者・家族の反応を具体的に記載。
先輩看護師の一言
「褥瘡の評価は、『見て、触って、測って』が基本です。DESIGN-Rはそのすべてを数値化してくれる、あなたのアセスメントを裏付けてくれる強い味方です。在宅では医師がそばにいないからこそ、あなたの評価が患者さんの治療方針を左右します。『なんとなく悪くなった気がする』ではなく、『DESIGN-RのNスコアが増えたから、壊死組織の除去が必要だ』と自信を持って報告できる看護師になりましょう!」
重要概念
- 褥瘡 (Pressure Ulcer) — 長期間の圧迫により組織が虚血・壊死した状態。
- DESIGN-R (日本褥瘡学会推奨評価ツール) — 深さ、滲出液、大きさ、炎症、肉芽、壊死、ポケットをスコア化。
- デブリードマン — 創部の壊死組織を除去し、治癒を促進する処置。
- 在宅看護 (Home Health Nursing) — 訪問看護師が利用者の自宅で提供する看護サービス。
- 客観的評価 (Objective Assessment) — 標準化ツールを用いた再現性のある評価。
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