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在宅看護の対象と生活
問題

訪問看護師が、寝たきり状態の療養者宅を初回訪問した。居間のベッドで療養者は臥床しており、家族は「少しでも動けるようになってほしい」と希望している。この時、訪問看護師が最初に確認すべきことはどれか。

解説
初回訪問時には、まず療養者の身体・精神・社会的状態を包括的にアセスメントすることが優先される。特に「動けるようになってほしい」という希望に対しては、現在の筋力、関節可動域、意識レベル、バイタルサインなどを評価し、その上で具体的なケア計画を立案する必要がある。
同じテーマの次の問題在宅看護の対象者を考える際に、最も重要な視点はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、訪問看護 (Home Visit Nursing) における初回訪問時のアセスメントの優先順位を問うています。看護過程 (Nursing Process) の第一段階である「アセスメント (Assessment)」の原則に基づき、まずは対象者の現在の身体・精神・社会的状況を包括的に把握することが不可欠です。家族の「少しでも動けるようになってほしい」という希望を実現するためには、まず「今、何ができるのか」「どこに問題があるのか」という現状を客観的データで評価しなければなりません。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 看護過程の最初のステップはアセスメントです。特に初回訪問では、療養者の全身状態(バイタルサイン、意識レベル、栄養状態)と身体機能(筋力、関節可動域、移動能力、ADL)を客観的に評価することが最優先です。このデータがなければ、適切な看護計画や介入は立案できません。家族の希望に応えるためには、まず「現状の能力」を把握することが出発点となります。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! ①番の住宅の間取りは、身体機能評価を基に「住宅改修が必要か」判断する際に確認する情報であり、初回でいきなり優先する項目ではありません。 ②番の家族の介護技術の習得状況は重要ですが、まず療養者自身の状態を評価した上で、家族のケアが適切かどうかを判断するためのものです。 ③番の介護保険サービスは、アセスメント結果に基づいて「何が必要か」を検討する段階で確認する情報です。 ⑤番のかかりつけ医の診療方針も重要な情報ですが、訪問看護師としてのアセスメントと並行して、あるいは状態評価後に確認すべき内容です。 関連概念の整理 (Related Concepts) 訪問看護の初回訪問時には、包括的アセスメント (Comprehensive Assessment) が求められます。具体的には、身体状態、精神状態、認知機能、ADL/IADL、社会資源、介護力、住環境などを多面的に評価します。この問題のポイントは、多くの情報の中から「最初に確認すべきこと」を優先順位に基づいて選ぶことです。
概念整理: 訪問看護の初回アセスメントの優先順位
1. 生命の安全と全身状態: バイタルサイン、呼吸状態、意識レベル
2. 身体機能とADL: 筋力、関節可動域、移動能力、食事・排泄・更衣の自立度
3. 家族の介護力と環境: 介護者の健康状態、介護技術、住環境の安全性
4. 社会資源と連携: 介護保険サービス、医療機関との連携状況
看護過程ポイント: 初回訪問では「アセスメント→看護診断→計画」の流れが特に重要です。身体機能の評価なしに「動けるようにする」という目標を立てることは、転倒・転落リスクを高める危険な看護計画となりかねません。客観的データに基づく現状把握がすべての看護介入の土台となります。
国試頻出ポイント: 「訪問看護の役割」「初回訪問時のアセスメント項目」「ケアマネジメントとの連携」は、在宅看護論・看護の統合と実践の分野で頻出です。特に、アセスメントと計画の順序を混同しないように注意しましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
新人訪問看護師が、80歳の寝たきり女性の初回訪問に同行しました。家族(息子夫婦)から「最近、寝返りも自分でできなくなった。なんとかもう少し動けるようになってほしい」と相談を受けました。先輩看護師は、すぐに何かを始めるのではなく、まず療養者の身体を丁寧に観察し始めました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察 (Observation): バイタルサイン(血圧: 120/80mmHg、脈拍: 72回/分、SpO2: 97%)、意識レベル(清明)、両下肢の筋力(徒手筋力テストで2/5レベル)、関節可動域(膝関節に軽度拘縮あり)、褥瘡の有無(仙骨部に発赤なし)。
2. アセスメント (Assessment): 「筋力低下と関節拘縮が進行しているが、生命兆候は安定。現状のADLを正確に評価し、廃用症候群の予防が優先される。」
3. 報告・連携 (Reporting & Collaboration): かかりつけ医に訪問結果を報告。リハビリテーションの必要性を判断してもらい、必要なら訪問リハビリの導入を検討。
4. 介入 (Intervention): まずは関節可動域訓練(他動的ROM訓練)ポジショニングの指導を開始。家族には「急に動かそうとせず、無理のない範囲で毎日続けることが大切」と説明。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 最重要! 身体機能評価を行う際は、無理な可動域訓練は骨折・疼痛の原因となるため、必ず痛みの有無を確認しながら実施すること。
- 寝たきり患者では、廃用症候群(筋萎縮、関節拘縮、床擦れ、深部静脈血栓症)の予防が最大のケア目標となる。
- 家族の介護負担も同時にアセスメントし、介護者支援も視野に入れる。
先輩看護師の一言: 「訪問看護は、患者さんの『生活の場』で看護を提供する仕事です。初回訪問では、情報を集めようと焦らず、まずは『患者さんと家族が今、どんな状態で、何を必要としているのか』をしっかり観察することから始めてください。『動けるようになってほしい』という希望も、今の身体機能がわからなければ適切な目標は立てられません。アセスメントこそがすべての始まりです!」

重要概念

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