MyMerci › 過去問 › 安全な治療環境の提供
こんな問題があと390問 挑戦 ›
安全な治療環境の提供
精神科開放病棟において、患者が病棟外へ無断で外出した。看護師の最初の対応として最も適切なのはどれか。
1
患者の病状と外出のリスクをアセスメントし、医師や他スタッフと情報共有する。
✓ 正解
2
患者のベッドを片付け、退院の準備を始める。
3
すぐに警察に通報する。
4
病院の外に出て患者を探す。
5
患者の家族に連絡し、対応を任せる。
解説
無断外出時には、まず患者の状態(自傷他害のリスク、服薬状況、見当識など)をアセスメントし、スタッフ間で情報共有することが重要である。その上で、捜索の必要性や家族への連絡など、具体的な対応を判断する。選択肢1は緊急性が高い場合に限る。選択肢2は看護師一人で行うにはリスクが大きい。選択肢4は家族の負担が大きく、責任を委譲するのは適切でない。選択肢5は時期尚早である。
同じテーマの次の問題 精神科病棟において、患者の自殺企図を防ぐための環境整備として最も適切なのはどれか。 この問題が収録された問題集 精神看護学 KRW 12,900
核心解説
この問題は、精神科看護 における患者の 無断外出 (Elopement) への初期対応を問うています。最重要! 看護師の最初の対応は「パニックにならず、状況を正しく把握し、チームで情報を共有すること」です。無断外出の原因(病状悪化、薬の副作用、家庭問題など)と患者のリスク(自傷他害の危険性、交通外傷リスクなど)を迅速にアセスメントすることが全ての対応の出発点となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は ① 患者の病状と外出のリスクをアセスメントし、医師や他スタッフと情報共有する。 です。
最重要! 無断外出発生時の看護師の第一優先行動は、アセスメント (Assessment) と チーム内情報共有 (Information Sharing) です。患者の現在の精神状態(幻覚・妄想の有無、興奮状態、希死念慮など)、服薬状況、外出時の服装や持ち物、見当識(時間・場所・人の認識)を可能な範囲で確認し、医師や看護師間で「何が起きているのか」「どの程度の緊急性があるのか」を共有します。これにより、その後の捜索範囲の決定や、警察・家族への連絡の要否・緊急性を判断できます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
② 患者のベッドを片付け、退院の準備を始める。 → 時期尚早で、患者の退院を前提とした行動は誤りです。まずは状況確認と安全確保が優先です。
③ すぐに警察に通報する。 → 緊急性が高い場合(自傷他害の明確なリスクがある、行方が全くわからないなど)を除き、すぐに警察へ通報する必要はありません。 まずは病棟内・病院敷地内の捜索、スタッフ間での情報共有が優先されます。警察への通報は、医師の判断のもと、一定の基準(例えば、捜索開始から一定時間経過後や、リスクが高いと判断された場合)に従って行います。
④ 病院の外に出て患者を探す。 → 看護師一人で病院外の広範囲を捜索するのはリスクが高く、非効率です。また、捜索中に他の患者のケアが手薄になる可能性もあります。チームで役割分担し、計画的に行うべきです。
⑤ 患者の家族に連絡し、対応を任せる。 → 家族への連絡は重要なステップですが、最初に行うべき対応ではありません。 まずは医療チーム内で状況とリスクをアセスメントし、その上で家族に連絡する内容(どこを探すか、いつ帰宅する可能性があるかなど)を整理してから行うべきです。家族に責任を丸投げすることは避けなければなりません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
精神科医療における行動制限の最小化 :開放病棟の意義は、患者の社会復帰を促進し、QOLを向上させることです。一方で、無断外出のリスクは常に存在します。看護師は、治療的環境(Therapeutic Milieu)を維持しつつ、患者の安全を確保するというジレンマを抱えています。
リスクアセスメント (Risk Assessment) :無断外出のリスクが高い患者(例:躁状態、自殺念慮が強い、薬の内服を拒否している)には、事前の対応(声かけの頻度を増やす、外出時に付き添うなど)が重要です。
医療安全管理 (Medical Safety Management) :無断外出は重大なインシデント(事故)として扱われ、報告・記録が必要です。院内の規定に従い、迅速かつ適切な対応が求められます。
概念整理 :
精神科看護における「無断外出」対応の優先順位は、① アセスメント(患者の状態・リスク)→ ② チーム内情報共有(医師・他スタッフ)→ ③ 具体的行動(捜索・連絡・報告) です。最初の行動は「状況把握」であることを強く意識しましょう。
一目で比較! :
対応の種類 優先度・適切性 アセスメントと情報共有 最優先(正解) 単独での病院外捜索 リスク大(看護師の安全・ケアの手薄) すぐに警察通報 緊急時以外は時期尚早 家族への丸投げ 不適切(医療チームとして責任を果たす)
看護過程ポイント :
アセスメント (Assessment) : 患者の精神症状(特に陽性症状・気分状態)、服薬状況、外出前の様子、見当識、自傷他害のリスク、過去の無断外出歴。
看護診断 (Nursing Diagnosis) : 【非効果的対処】、【危険性のある自傷行為】、【暴力のリスク】(患者の状態に応じて)。
計画・実施 (Planning/Implementation) : チーム内で捜索計画を立案(役割分担、捜索範囲、連絡網)、必要に応じて医師の指示で警察・家族へ連絡。
評価 (Evaluation) : 患者の安全確認(帰院時・発見時)、精神状態の再評価、今後の予防策(観察強化、環境調整など)の検討。
暗記のコツ :
無断外出対応の最初の一手は「P-A-C-E 」と覚えましょう!
P :Panicにならない(パニック禁止)
A :Assessment(アセスメント=状況把握)
C :Communication(チーム内での情報共有)
E :Execute(具体的な行動=捜索・連絡)
国試頻出ポイント :
本問題は、精神看護学の「治療的環境」と「安全管理」の両面から問われます。看護師国家試験では、混同注意! 「無断外出」と「身体拘束の解除時」など、状況が変化する場面での看護師の優先判断を問う問題が頻出です。常に「最初にすべきことは何か」「チームで共有すべき情報は何か」を意識して解きましょう。
出題パターン注意! :
「無断外出した患者が深夜に帰院してきた。看護師の対応として適切なのはどれか。」のように、時間経過後の状況設定問題に発展することがあります。この場合も、まずは患者の精神状態とバイタルサインの確認が優先されます。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario) : あなたは精神科急性期病棟(閉鎖病棟)の夜勤看護師です。夜間の患者確認で、躁状態で入院中の30代男性患者Aさんのベッドが空いていることに気づきました。トイレや面談室にもおらず、どうやら無断外出したようです。あなたはどう対応しますか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) :
観察 (Observation) : 慌てずに、患者Aさんのベッド周辺を確認。ベッドサイドの荷物(財布、スマートフォン)はあるか?外出時に履いていたと思われる靴はあるか?部屋の窓や非常口に異常はないか?
アセスメント (Assessment) : 「躁状態で衝動性が高いAさんが、夜間に無断外出した。外は暗く、交通量も多い時間帯だ。自傷他害のリスクは?服薬はしていたか?」とリスクを評価します。
報告 (Report / SBAR) : 直ちに看護師長と当直医にSBAR で報告します。
S (状況):「Aさんが無断外出しました。」
B (背景):「躁状態で入院中、夜間の確認で不在に気づきました。衝動性が高く、薬も今日は拒否していました。」
A (アセスメント):「自傷他害のリスクが高いと考えます。病院敷地内は確認済みです。」
R (提案):「院内の捜索を継続し、警察への通報と家族への連絡の要否を判断していただきたいです。」
介入 (Intervention) : 医師の指示のもと、チームで役割分担(院内捜索、電話連絡、記録)を行います。必要に応じて警察や家族へ連絡します。患者が帰院した場合は、非難せず 、まずは安全を確保し、バイタルサインと精神状態を確認します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) :
最重要! 無断外出は、患者自身の安全(交通事故、転落、自殺企図)と他者の安全(他害行為)の両方に直結する重大事態です。
捜索に出る場合は、必ず複数名で行動し、携帯電話を所持すること。一人での行動は危険です。
患者が帰院した際は、感情的に叱責したり、過度に監視したりせず、冷静かつ受容的に関わることが、治療的関係を維持する上で重要です。「心配した」「どこに行っていたの?」など、穏やかに声をかけましょう。
患者が興奮状態にある場合や、刃物などを所持している可能性がある場合は、距離を保ち、安全な場所から対応を検討します。
看護プロトコル :
観察項目 : バイタルサイン、精神症状(特に陽性症状・気分・見当識)、帰院時の身なり、所持品、受傷の有無。
報告基準 (SBAR) : 上記シナリオ参照。常に「患者のリスク」を伝えることが重要。
記録のポイント : 無断外出が判明した時刻、対応経過(誰に報告したか、いつどのような捜索をしたか)、患者帰院時刻、患者の状態、医師の指示内容を客観的事実に基づいて時系列で記載。
家族への説明の留意点 : 事実を正確に伝え、謝罪と今後の再発防止策(観察強化、環境調整など)を説明する。家族の不安や怒りに共感し、医療チームとして責任を持って対応する姿勢を示す。
先輩看護師の一言 :
「精神科の現場では、『患者さんが突然いなくなる』というのは、決して珍しいことではありません。大切なのは、慌てずに『今、この患者さんに何が起きているのか、どのくらい危険な状態なのか』を冷静にアセスメントすることです。そして、一人で抱え込まず、すぐにチームで共有すること!これが一番大事です。国試の勉強でも『まずはアセスメント』『チームで共有』という流れをしっかり覚えてくださいね。現場で患者さんの命を守る、看護師としての大切な一歩になりますよ!」
アセスメント — 患者の状態(精神症状、リスク)を体系的に評価・分析すること。無断外出時の最初の対応として必須。チーム内情報共有 (Information Sharing) — 医師や看護師間で患者の状態やリスク情報を伝達し、共通認識を持つこと。安全な対応の基盤となる。無断外出 — 精神科病棟の入院患者が許可なく病棟外に出てしまうこと。安全管理上の重大なインシデント。リスクマネジメント (Risk Management) — 医療事故やインシデントを予防・軽減するための組織的な管理体制。無断外出もその対象となる。治療的環境 (Therapeutic Milieu) — 患者の治療と回復を促進するために意図的に調整された物理的・心理的環境。開放性と安全性のバランスが重要。
同じテーマの問題
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。