核心解説
この問題は、
統合失調症 (Schizophrenia) の患者が退院後に社会復帰を目指す上で、どの就労支援サービスが最も適切かを問うています。統合失調症は思春期から青年期に発症することが多く、治療とリハビリテーションを経て社会参加を目指すケースが少なくありません。
障害者総合支援法に基づく就労支援サービスは、障害の程度や希望する就労形態に応じて段階的に用意されており、一般就労を目指すか、福祉的就労を継続するかで選択が異なります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
①
就労移行支援 (Employment Transition Support) が正解です。
最重要! 就労移行支援は、一般就労を希望する障害者(統合失調症患者を含む)を対象に、生産活動、職場体験、求職活動支援などを通じて、就労に必要な知識・能力の向上を図るサービスです。統合失調症の患者が退院後に一般企業への就職を目指す場合、最も適したサービスであり、社会復帰の重要なステップとなります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
②
就労継続支援B型(非雇用型):
混同注意! 一般企業での就労が困難な方を対象に、雇用契約を結ばずに就労の機会を提供するサービスです。一般就労を目指す患者には適しません。
③
障害者職業センター: 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する施設で、職業評価、職業準備支援、職場適応援助者(ジョブコーチ)による支援などを行いますが、直接的な就労訓練サービスではありません。
④
就労継続支援A型(雇用型): 一般企業での就労が困難な方と雇用契約を結び、就労の機会を提供するサービスです。一般就労を目指す患者には適しませんが、B型よりも自立度が高い方に利用されます。
⑤
ハローワーク(公共職業安定所): 一般の求職者向けの職業紹介機関であり、障害者専門の窓口もありますが、障害特性に応じた段階的な訓練や支援は提供されません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
統合失調症患者の社会復帰における就労支援の段階を理解しましょう。病状が安定した後に、
生活訓練(自立訓練)→
就労移行支援 →
一般就労(または就労継続支援A型/B型) という流れが一般的です。また、地域移行支援や地域定着支援などの関連サービスも併せて押さえておきましょう。
概念整理
統合失調症患者の社会復帰支援サービスを分類すると以下の通りです。
| サービス名 | 目的 | 対象 | 特徴 |
|---|
| 就労移行支援 | 一般就労への移行 | 一般就労を希望する障害者 | 2年間の利用期間制限あり |
| 就労継続支援A型 | 雇用型の就労継続 | 一般就労が困難で雇用契約が可能な者 | 雇用契約あり 最低賃金保障 |
| 就労継続支援B型 | 非雇用型の就労継続 | 一般就労が困難で雇用契約が困難な者 | 雇用契約なし 工賃支給 |
| 障害者職業センター | 職業評価・準備支援 | 障害者全般 | 専門的支援(ジョブコーチ派遣) |
| ハローワーク | 職業紹介 | 一般求職者・障害者 | 障害者専門窓口あり |
一目で比較!
混同注意! 就労移行支援と就労継続支援の違いは、「一般就労を目指すか」「福祉的就労を継続するか」です。統合失調症患者の場合、病状が安定し、就労意欲があれば就労移行支援が第一選択となります。
看護過程ポイント
アセスメント: 退院前から患者の就労意欲、生活能力、病状の安定度を評価する。
看護診断:
非効果的健康維持 (Ineffective Health Maintenance) や
社会参加の非効果的パターン (Ineffective Social Participation) に関連した計画立案。
計画: 精神科訪問看護や地域包括支援センターと連携し、患者の希望に沿った就労支援サービスを紹介する。
実施: 患者と家族に各サービスの特徴を説明し、就労移行支援事業所への見学や利用申請を支援する。
評価: 退院後の就労状況、病状の再燃の有無を評価し、必要に応じて支援内容を調整する。
暗記のコツ
「移行 = 一般就労への橋渡し」「継続A = 雇用あり」「継続B = 雇用なし」と覚えましょう。アルファベット順に「Aは雇用あり(AssociationのA)」「Bは工賃(BonusのB)」とイメージすると整理しやすいです。
国試頻出ポイント
障害者総合支援法に基づくサービスの種類と目的は頻出です。特に「就労移行支援」と「就労継続支援(A型/B型)」の違いは、事例問題で「患者の希望する就労形態」に合わせて適切なサービスを選ばせる形でよく出題されます。
出題パターン注意!
「統合失調症の患者が退院後、一般企業への就職を希望している。看護師が勧めるべきサービスはどれか。」のような事例問題で出題されます。単純な知識問題から、患者の状態や希望に応じて適切なサービスを選択させる応用問題へと発展します。