認知症の周辺症状(BPSD)のうち、易刺激性や攻撃性に対して薬物療法を行う場合に使用される薬剤として適切なのはどれか。 | MyMerci
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問題

認知症の周辺症状(BPSD)のうち、易刺激性や攻撃性に対して薬物療法を行う場合に使用される薬剤として適切なのはどれか。

解説
認知症のBPSD、特に易刺激性や攻撃性に対しては、非定型抗精神病薬のリスペリドンが使用されることがある。ただし、高齢者への使用は脳血管障害や死亡リスクが高まるため、低用量から開始し慎重に投与する必要がある。ドネペジルはコリンエステラーゼ阻害薬で、中核症状(記憶障害など)の進行抑制に用いられる。レボドパはパーキンソン病の治療薬である。フルボキサミンはSSRIで、うつ症状に用いられる。炭酸リチウムは双極性障害の気分安定薬である。
同じテーマの次の問題統合失調症の急性期治療において、陽性症状の改善に最も効果が期待できる抗精神病薬はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、認知症の行動・心理症状(BPSD: Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)に対する薬物療法の適切な選択を問うています。最重要! BPSDのうち、易刺激性や攻撃性などの精神症状に対しては、非定型抗精神病薬 (Atypical Antipsychotics) が第一選択薬として使用されます。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 認知症の症状は、記憶障害などの中核症状 (Core Symptoms) と、それに伴って出現するBPSDに大別されます。BPSDには、抑うつ、不安、幻覚、妄想、易刺激性、攻撃性、徘徊、睡眠障害などが含まれます。薬物療法は、非薬物療法(環境調整、傾聴など)で改善がみられない場合や、患者自身または周囲への危険が及ぶ場合に考慮されます。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は⑤番のリスペリドン (Risperidone) です。リスペリドンは非定型抗精神病薬であり、認知症のBPSD、特に易刺激性や攻撃性、幻覚・妄想などの精神症状に対して適応があります。低用量から開始し、慎重に漸増することで効果と安全性のバランスを図ります。ただし、高齢者への使用は脳血管障害や死亡リスクの上昇が報告されているため、適応を慎重に判断し、定期的な評価が必要です。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ①番ドネペジル (Donepezil): 混同注意! これはコリンエステラーゼ阻害薬で、認知症の中核症状(記憶障害など)の進行抑制を目的とします。BPSDに対する直接的な適応はなく、むしろ興奮や幻覚を誘発することもあります。 - ②番炭酸リチウム (Lithium Carbonate): 混同注意! これは気分安定薬で、主に双極性障害(躁うつ病)の躁状態の治療・予防に用いられます。認知症のBPSDには通常使用しません。 - ③番レボドパ (Levodopa): 混同注意! これはパーキンソン病 (Parkinson's Disease) の治療薬であり、ドパミン前駆体です。認知症のBPSDには無効です。 - ④番フルボキサミン (Fluvoxamine): 混同注意! これは選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI: Selective Serotonin Reuptake Inhibitor)で、主にうつ病や強迫性障害に用いられます。BPSDの中でも抑うつ症状には有効な場合がありますが、易刺激性や攻撃性には第一選択とはなりません。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 認知症のBPSD治療における非定型抗精神病薬と定型抗精神病薬の違いも押さえましょう。非定型抗精神病薬(リスペリドン、オランザピン、クエチアピンなど)は、錐体外路症状などの副作用が比較的少なく、認知症患者に使いやすいとされています。また、非薬物療法(バリデーション、リアリティオリエンテーション、回想法など)の重要性も国試では頻出です。
概念整理: 認知症の症状は「中核症状(記憶障害・見当識障害など)」と「BPSD(行動・心理症状)」に分類される。BPSD薬物療法の第一選択は非定型抗精神病薬(リスペリドンなど)だが、非薬物療法の優先が大原則。
一目で比較!:
薬剤分類代表薬主な適応認知症BPSDへの使用
コリンエステラーゼ阻害薬ドネペジル中核症状の進行抑制適応外(むしろ興奮誘発リスク)
非定型抗精神病薬リスペリドン統合失調症、BPSD第一選択(易刺激性・攻撃性に有効)
気分安定薬炭酸リチウム双極性障害適応外
SSRIフルボキサミンうつ病、強迫性障害抑うつ症状に使用可能(第一選択ではない)

看護過程ポイント: BPSDのアセスメントでは、引き金となる要因(身体的苦痛・環境変化・コミュニケーション不足など)を特定することが重要。看護診断としては「非効果的健康維持」「介護者役割緊張」「転倒リスク状態」などが考えられる。介入はまず非薬物療法を試み、薬物療法は医師と連携して最小限の用量で開始する。
暗記のコツ: 「BPSDの攻撃性には、リスペリドン!」「ドネペジルは中核症状(もの忘れ)」「炭酸リチウムは躁うつ病(双極性障害)」「レボドパはパーキンソン病」「フルボキサミンはうつ病」と、各薬剤をキーワードで結びつけて覚えましょう。
国試頻出ポイント: 認知症の症状分類(中核症状 vs BPSD)、BPSDの薬物療法(非定型抗精神病薬の適応とリスク)、非薬物療法の具体例が頻出。事例問題で「興奮状態の認知症高齢者に使用する薬剤は?」と出題されるパターンが非常に多い。
出題パターン注意!: 「認知症高齢者のBPSDに対して、まず試みるべき対応は?」→「非薬物療法(環境調整・傾聴)」と、薬物療法の前に非薬物療法が優先される点も同時に問われることがある。薬剤名だけ覚えるのではなく、治療アルゴリズム全体を理解しておくことが合格への鍵です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 認知症のBPSD、特に易刺激性や攻撃性が強い患者さんへの対応は、精神科・認知症専門病棟に限らず、一般病棟や介護施設でも頻繁に遭遇する場面です。 - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 80代女性、アルツハイマー型認知症。夜間になると「泥棒が来た!」と大声を上げ、看護師に殴りかかろうとする。日中は比較的落ち着いているが、入浴介助を拒否し、介護者に怒りをぶつける。非薬物療法(声かけ、安心できる環境調整)を試みるも効果が乏しく、医師に薬物療法の相談が入った。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): まず、最重要! BPSDの背景に、身体的苦痛(便秘・疼痛・感染症など)や環境要因(騒音・照明・温度など)がないかをアセスメント。次に、非薬物療法を徹底する(話を否定せず傾聴する「バリデーション」、見当識を促す「リアリティオリエンテーション」)。それでも改善しない場合、医師にSBARで報告(S: 状況「夜間の攻撃性が強い」、B: 背景「認知症、非薬物療法無効」、A: アセスメント「BPSDの可能性」、R: 提案「リスペリドン低用量の検討を」)。投与開始後は、傾眠、転倒、嚥下障害、錐体外路症状などの副作用を注意深く観察する。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 非定型抗精神病薬の高齢者への使用は、脳血管イベント(脳卒中)や死亡リスクが有意に上昇するため、添付文書上「警告」が記載されている。必ず医師と十分なリスクベネフィット評価を行い、家族への説明と同意を得る。投与は最小有効量から開始し、漫然と長期投与しない。定期的な評価で中止の検討を行う。
看護プロトコル: BPSD出現時の観察項目:発現時間・頻度・持続時間、引き金となった出来事、具体的行動内容、患者の表情・発語、バイタルサイン、身体症状(痛み・便秘・尿意など)、使用薬剤とその効果・副作用。報告基準:患者または他者への危険が切迫している場合、非薬物療法で改善しない場合、副作用(転倒・傾眠)が疑われる場合。記録:SOAP形式で「いつ、どこで、何が、どのように起きたか」を客観的に記載。
先輩看護師の一言: 「認知症の患者さんのBPSDは、『困った行動』ではなく『何かを訴えるサイン』です。まずは『なぜこの行動をしているのか?』を考えてみてください。痛みを伝えられない、不安で仕方ない、トイレに行きたいけど場所がわからない…そんな患者さんの気持ちに寄り添うことが、最も大切な看護です。薬はあくまで最後の手段。現場では、まず環境調整とコミュニケーションで勝負です!」

重要概念

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