双極性障害(躁うつ病)の躁状態に対する薬物療法として、第一選択薬はどれか。 | MyMerci
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問題

双極性障害(躁うつ病)の躁状態に対する薬物療法として、第一選択薬はどれか。

解説
双極性障害の躁状態に対する第一選択薬は気分安定薬であり、炭酸リチウムが代表的である。炭酸リチウムは躁状態の改善と再発予防に有効だが、治療域が狭く血中濃度モニタリングが必要である。フルボキサミンはSSRIでうつ病に用いられる。ジアゼパムは抗不安薬で補助的に使用されることがある。ハロペリドールやクロルプロマジンは抗精神病薬で、興奮が強い場合に短期間併用されることがある。
同じテーマの次の問題統合失調症の急性期治療において、陽性症状の改善に最も効果が期待できる抗精神病薬はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、双極性障害 (Bipolar Disorder) の急性期治療において、最も優先される薬物療法の知識を問うています。躁状態 (Manic Episode) の病態は、脳内の神経伝達物質(特にノルアドレナリンとセロトニン)の機能亢進が関与しており、治療の基本は 気分を安定させる薬剤 (Mood Stabilizer) の投与です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 双極性障害の治療では、最重要! 気分安定薬 (Mood Stabilizer) が第一選択であり、躁状態の鎮静化とその後の再発予防の両方を目的とします。炭酸リチウム (Lithium Carbonate) はその代表的な薬剤で、治療効果発現に数日から2週間程度かかるため、急性期には抗精神病薬などを併用することもありますが、あくまで基本はリチウムです。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は③ 炭酸リチウム (Lithium Carbonate) です。躁状態の第一選択薬としてガイドラインで推奨されています。治療有効血中濃度域は 0.4~1.2 mEq/L と狭く、中毒域(1.5 mEq/L以上)との差が小さいため、定期的な血中濃度モニタリング (Therapeutic Drug Monitoring, TDM) が必須です。副作用として、手指振戦、口渇、多飲・多尿、甲状腺機能低下症などに注意が必要です。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ① 混同注意! フルボキサミン (Fluvoxamine): SSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害薬) で、うつ病の治療に用いられます。双極性障害のうつ状態に単独で使用すると、躁転 (Switch to Mania) を誘発するリスクがあるため注意が必要です。 - ② ハロペリドール (Haloperidol): 定型抗精神病薬で、興奮が強く危険を伴う急性期に、気分安定薬の効果が現れるまでの短期間、頓用または併用されることがありますが、第一選択薬ではありません。 - ④ クロルプロマジン (Chlorpromazine): 定型抗精神病薬で、ハロペリドールと同様に、強い興奮に対する鎮静目的で補助的に用いられることがありますが、第一選択ではありません。 - ⑤ ジアゼパム (Diazepam): ベンゾジアゼピン系抗不安薬で、不安や不眠の改善に補助的に短期使用されることがあります。依存性や鎮静作用に注意が必要で、第一選択薬ではありません。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 双極性障害の薬物療法では、気分安定薬として 炭酸リチウム の他に バルプロ酸ナトリウム (Sodium Valproate)ラモトリギン (Lamotrigine) も使用されます。バルプロ酸はリチウムよりも治療域が広く、急速交代型 (Rapid Cycling) に有効とされます。ラモトリギンは主にうつ状態の再発予防に有効です。これらの薬剤の特徴と、混同注意! うつ病に用いるSSRIやSNRIとの使い分けは頻出です。
概念整理: 双極性障害 (Bipolar Disorder) の治療の基本は 気分安定薬 (Mood Stabilizer) の持続投与。躁状態の第一選択は 炭酸リチウム (Lithium Carbonate)。治療域が狭く、TDMと副作用(中毒症状、甲状腺機能低下、腎機能障害)のモニタリングが不可欠。
一目で比較!:
薬剤カテゴリ代表的薬剤主な使用場面
気分安定薬炭酸リチウム、バルプロ酸、ラモトリギン双極性障害の第一選択薬。躁状態・うつ状態の予防と治療。
抗精神病薬ハロペリドール、オランザピン、クエチアピン急性期の興奮、幻覚・妄想に併用。非定型抗精神病薬は気分安定作用も。
抗うつ薬(SSRI)フルボキサミン、パロキセチンうつ病が第一適応。双極性障害には 単独使用は禁忌に近い(躁転リスク)。

看護過程ポイント: - アセスメント: 患者の症状(爽快気分、易刺激性、活動性亢進、睡眠障害、浪費など)の程度を客観的に評価。リチウム投与中は 血中濃度腎機能 (BUN, Cr)甲状腺機能 (TSH, FT4) の定期的な確認。 - 看護診断: 「非効果的健康維持」「睡眠パターン混乱」「危険傾向のあるセルフケア不足」など。 - 介入: 患者の安全確保(過活動による転倒・転落、危険行動)。規則正しい生活リズムの支援。服薬アドヒアランス向上のための患者・家族教育(特にリチウムの治療域と脱水による中毒リスク)。
暗記のコツ: 「双極性障害にはリチウム!」と覚えるだけでなく、「リチウム=狭い治療域=TDM=中毒症状(振戦・嘔吐・傾眠)」までセットで暗記しましょう。中毒症状は「リチウムでリズム(震え)が乱れる、吐く、眠くなる」と覚えると良いです。
国試頻出ポイント: 双極性障害の薬物療法は毎年出題されます。特に「炭酸リチウムの血中濃度モニタリングの必要性」「中毒症状」「他剤(特にSSRI)との併用禁忌・注意」が頻出です。うつ病治療薬との混同に注意しましょう。
出題パターン注意!: 「炭酸リチウムを内服中の患者が、下痢と嘔吐で受診。どのような対応が優先されるか?」という状況設定問題に発展します。この場合、脱水によるリチウム中毒の危険性をアセスメントし、直ちに 血中濃度測定と補液 を考慮する必要があります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 精神科急性期病棟に、30代女性が躁状態で入院してきました。多弁・多動で、夜間も眠らず病棟内を歩き回っています。医師の指示で炭酸リチウムの内服が開始されました。看護師は、投与開始時と維持期にどのような点に注意して観察・介入すべきでしょうか? - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 安全確保: 活動性が高いため、転倒・転落のリスクを評価。環境整備(危険物の除去)と見守りの強化。 2. 服薬支援: 確実な内服確認。リチウムの効果と副作用について、患者が理解できるよう説明(特に 水分摂取の重要性脱水の危険性)。 3. モニタリング: バイタルサインとともに、血中リチウム濃度 の採血スケジュール管理。手指振戦、嘔気、傾眠などの中毒症状の早期発見。腎機能と甲状腺機能の定期的な評価。 4. 生活リズムの支援: 睡眠不足は症状を悪化させるため、休息と活動のバランスを整える環境調整。カフェインやアルコールの摂取制限。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 最重要注意! 下痢・嘔吐・発熱・大量発汗など、脱水をきたす状態はリチウム中毒のリスクを著しく高めます。患者には「体調が悪いときはすぐに看護師に伝える」よう指導します。 - 他の内服薬(特にNSAIDs、利尿薬、ACE阻害薬)はリチウム濃度を上昇させるため、併用には注意が必要です。
看護プロトコル: - 観察項目: バイタルサイン、精神症状(興奮・多弁の程度)、睡眠時間、食事・水分摂取量、排便状況、副作用(振戦、嘔気、口渇、頻尿)。 - 報告基準 (SBAR): 傾眠傾向や意識障害が出現した場合、嘔吐や下痢が続く場合、手指の粗大な振戦が出現した場合は、直ちに医師に報告する。 - 記録のポイント: 服薬の確実性、血中濃度の結果、副作用の有無と程度、患者の症状変化を客観的に記載。
先輩看護師の一言: 「双極性障害の患者さんは、『自分は元気だから薬はいらない』と自己中断してしまうことがよくあります。だからこそ、看護師はリチウムの『治療域』と『中毒症状』の知識をしっかり持って、患者さんと一緒に治療を続けていくことが大切です。国試の知識は、患者さんの安全を守るためのものですよ!」

重要概念

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