一般病棟に入院中の患者が、夜間に突然興奮し、見当識障害と幻覚を訴え始めた。この患者の状態として最も考えられるのはどれか。 | MyMerci
MyMerci — 問題も詳しい解説もすべて無料 無料で始める
精神看護の基盤となる援助
問題

一般病棟に入院中の患者が、夜間に突然興奮し、見当識障害と幻覚を訴え始めた。この患者の状態として最も考えられるのはどれか。

解説
一般病棟に入院中の高齢者や術後患者に、夜間に急性発症する意識障害(見当識障害)と幻覚(特に幻視)がみられる場合、最も可能性が高いのはせん妄である。せん妄は身体疾患や手術、薬剤、環境変化などが原因で生じる一過性の意識障害であり、日内変動(特に夜間に増悪)が特徴である。他の選択肢は、せん妄のような急性発症の意識障害を主症状としない。
同じテーマの次の問題リエゾン精神看護の役割として最も適切なものはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、一般病棟に入院中の患者に夜間に急性発症した意識障害(見当識障害)と幻覚(特に幻視)の鑑別を問うています。特に「夜間に突然興奮」「見当識障害」「幻覚」というキーワードから、せん妄(Delirium)が最も可能性の高い状態です。せん妄は、身体疾患、手術侵襲、薬剤の副作用、環境変化(特にICUや一般病棟の夜間の静けさや不慣れな環境)などが原因で生じる一過性かつ急性の意識障害であり、日内変動(特に夜間に増悪)が特徴的です。この問題の核心は「急性発症」「夜間の症状増悪」「基礎疾患・手術・薬剤などの誘因がある」というせん妄の臨床的特徴を理解しているかどうかです。 正解の根拠(Answer Rationale)
最重要! せん妄は、以下の特徴を持つ症候群です。
1. 急性発症:数時間から数日で急速に出現する。
2. 注意障害と意識変容:集中力の低下、見当識障害(時間・場所・人がわからない)。
3. 認知機能の変動:日内変動(特に夜間に悪化することが多い、いわゆる「日没現象(Sundowning)」)。
4. 幻覚・錯覚:特に幻視(実際にないものを見る)が多く、幻聴もみられる。
5. 原因:身体疾患(感染症、電解質異常、低酸素症、肝不全など)、薬剤(抗コリン薬、ベンゾジアゼピン系薬、オピオイドなど)、手術侵襲、環境変化、睡眠障害など。

本症例では「一般病棟入院中」「夜間に突然」「見当識障害と幻覚」という3点がそろっており、せん妄の診断基準を満たします。 誤答の分析(Distractor Analysis)
混同注意! 解離性障害:心理的ストレスが原因で、記憶や意識の統合が障害される状態。身体疾患や手術とは関連が乏しく、急性発症の意識障害(せん妄のような意識レベルの変動)は主症状ではない。むしろ「解離性健忘」「離人感」などが主体。
適応障害:明確なストレス因子(例:入院による環境変化)に対する適応不全で、抑うつ気分や不安が生じる。しかし、見当識障害や幻覚といった意識障害は伴わない。
統合失調症の急性増悪:幻覚(特に幻聴)や妄想が主体で、意識障害(見当識障害)は通常伴わない。また、統合失調症の発症や増悪は数週間単位の経過をとることが多く、数時間で突然発症することは稀。入院前の病歴(通院歴や治療歴)がなければ判断しにくいが、せん妄が優先される。
パニック障害:突然の強い不安と身体症状(動悸、呼吸困難、めまいなど)が発作的に出現する。見当識障害や幻覚は伴わない。 関連概念の整理(Related Concepts)
- 混同注意! せん妄(Delirium) vs 認知症(Dementia):せん妄は急性発症、日内変動あり、原因治療で改善可能。認知症は慢性経過、日内変動は少なく、進行性。本症例のように夜間に急に症状が出た場合、認知症の「日没現象」との鑑別も必要ですが、認知症は普段から認知機能低下があるため、急性発症ではない点で区別します。
- せん妄の3つのタイプ:①過活動型(興奮、幻覚、不穏)、②低活動型(傾眠、無気力、反応低下)、③混合型。低活動型は見逃されやすいため注意。
- 予防と看護介入:せん妄は予防可能な部分が大きい。環境調整(夜間の照明を暗くしすぎない、見守り、声かけ)、薬剤の見直し(特に抗コリン薬)、睡眠確保、早期離床・リハビリテーション、痛みのコントロール、家族の協力など。 概念整理:この問題の核心は「入院患者に夜間に急性発症する意識障害=せん妄」というパターンを覚えること。せん妄は「急性」「変動性」「注意障害」「原因がある」がキーワード。 一目で比較!
疾患発症意識障害(見当識障害)幻覚日内変動原因
せん妄急性(数時間〜数日)あり(中心症状)幻視が多いあり(夜間増悪)身体疾患、薬剤、手術など
認知症慢性(数ヶ月〜数年)あり(進行性)後期に幻視・幻聴あまりなし(夜間せん妄合併時あり)神経変性疾患
統合失調症亜急性〜慢性なし(意識は清明)幻聴が多いなし不明(ドパミン仮説など)
解離性障害急性(心理ストレス)なし(意識変容は解離)なしなし心理的ストレス
看護過程ポイント - アセスメント:せん妄のリスク因子(高齢、認知症の既往、視覚障害・聴覚障害、脱水、感染症、術後、多剤併用、睡眠障害、ICU環境など)を入院時にスクリーニングする。CAM(Confusion Assessment Method)を用いた評価が有効。 - 看護診断:「急性混乱(Acute Confusion)」または「転倒リスク(Risk for Falls)」など。 - 計画・介入:環境調整(見当識を促す掲示、夜間は間接照明、時計・カレンダーの設置)、薬剤の見直し(不要な抗コリン薬・睡眠薬の中止を医師に提案)、家族の協力(面会やなじみの品の持参)、身体的ケア(痛み・便秘・脱水の是正)。 - 評価:せん妄の改善(意識レベル、見当識、行動の変化)を経時的に評価。原因の是正が最重要。 暗記のコツ 「夜間に急に興奮・幻覚が出たらせん妄!」と覚えましょう。「せん妄は『急性』『変動性』『原因あり』の3拍子」と唱えると整理しやすいです。また、低活動型せん妄は「おとなしくて困らないが、実は危険」とイメージすると見逃し防止になります。 国試頻出ポイント せん妄は、High Yield(高頻出)テーマです。特に「術後患者」「高齢者」「夜間の症状増悪」「低活動型の見逃し防止」「予防的看護介入」がよく問われます。事例問題では「この患者の状態として最も考えられるのは?」や「看護師の対応として適切なのは?」という形で出題されます。 出題パターン注意! 「80代男性、大腿骨頸部骨折術後2日目。夜間、ナースコールを連打し『誰かが私を殺そうとしている』と興奮している。」のような状況設定問題が出ます。この場合、せん妄(特に過活動型)を疑い、まずは安全確保(転倒・転落防止、抑制の代わりになる環境調整)と原因検索(感染症、脱水、薬剤、低酸素)を優先します。安易な鎮静薬投与は禁忌ではないが、原因を探らずに症状だけを抑えるのは誤りです。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ(Clinical Scenario)
あなたは一般病棟の夜勤看護師です。70代の男性患者(肺炎で入院中、抗菌薬投与中)が、午前2時に突然ベッドから起き上がり、「ここはどこだ!誰かが天井から見ている!」と叫びながら、点滴ルートを引っ張ろうとしています。バイタルサインは、血圧140/90mmHg、脈拍110回/分、呼吸数24回/分、SpO2 95%(酸素2L/分投与中)、体温37.8℃です。患者はもともと認知症の診断はなく、入院時は見当識も清明でした。 看護介入と判断戦略(Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察(Assessment):まずは安全確保。患者が転倒・転落しないよう、ベッド周囲の安全を確認(ベッドの高さを最低に、周囲の物を片付ける)。同時に、せん妄の原因を探る:酸素飽和度低下(低酸素)、発熱(感染症増悪)、薬剤(抗菌薬による副作用、特に高齢者で注意)、排尿・排便の状態(尿閉・便秘の有無)、脱水の兆候(皮膚ツルゴール、口渇、尿量)。
2. 報告(Report):医師にSBARで報告。
- S(Situation):肺炎入院中の70代男性、夜間に急性の興奮と幻覚、見当識障害あり。
- B(Background):肺炎で抗菌薬投与中、発熱あり(37.8℃)、低酸素なし(SpO2 95%)。
- A(Assessment):せん妄を疑う。原因として感染症増悪・低酸素・薬剤副作用を考える。
- R(Recommendation):原因精査(血液検査、尿検査、胸部X線)、必要に応じて薬剤調整・環境調整の指示を仰ぎたい。
3. 介入(Intervention):医師の指示に基づき、まずは環境調整(夜間は薄暗い照明、声かけ、なじみの物の使用)、家族への連絡・面会調整。薬剤(例:非定型抗精神病薬 クエチアピン Quetiapine の頓用)の検討もありうるが、まずは非薬物療法を優先。酸素投与の調整(SpO2維持)、輸液量の確認(脱水の是正)。
4. 評価(Evaluation):興奮の軽減、見当識の回復、転倒・ルート自己抜去の防止。せん妄の原因(低酸素、感染、薬剤など)が改善されたかどうかを再評価。 患者安全・注意事項(Patient Safety & Precautions)
- 転倒・転落リスク最優先! ベッド柵を上げるが、患者が乗り越えようとする場合は柵の使用が逆に危険なこともある。低いマットレスを床に敷く、またはベッドを低くするなどの工夫も検討。
- 抑制は最終手段! 身体抑制は患者の興奮を悪化させ、筋力低下・廃用症候群のリスクを高める。どうしても必要な場合は医師の指示のもと、最小限の時間で、定期的に観察と解放を行う。
- 薬剤注意:ベンゾジアゼピン系薬(ジアゼパム Diazepam など)はせん妄を悪化させる可能性があるため、第一選択にはしない。非定型抗精神病薬(クエチアピン Quetiapine、リスペリドン Risperidone)が推奨されるが、高齢者ではQT延長や錐体外路症状に注意。
- 感染対策:肺炎患者であるため、標準予防策を徹底。環境調整の際も感染拡大防止に留意。
- 特定集団の特殊性:高齢者は特にせん妄のリスクが高く、また低活動型せん妄が見逃されやすい。夜間の不眠だけでなく、日中の過度な傾眠にも注意。 看護プロトコル - 観察項目:意識レベル(JCS・GCS)、見当識(時間・場所・人物)、バイタルサイン(特に体温・SpO2・血圧)、せん妄の症状(興奮・幻覚・錯覚)、原因検索(感染兆候、脱水、低酸素、薬剤、睡眠障害、疼痛、便秘、尿閉)。 - 報告基準(SBAR):せん妄の急性発症時は、直ちに医師へ報告。特に、意識レベルの低下や新たな神経症状(麻痺、言語障害)を伴う場合は、脳血管障害の可能性も考慮する。 - 記録のポイント:せん妄の発症時刻、症状の種類(過活動型か低活動型か)、日内変動のパターン、誘因と考えられる因子、看護介入(環境調整、声かけ、薬剤投与)とその効果。CAMスコアの記録も有用。 - 家族への説明:「せん妄は一時的な意識障害で、多くの場合、原因となる病気が改善すれば治ります。ただし、夜間の興奮などがみられるため、安全面には十分注意しています。なじみのある物や写真を持ってきていただいたり、面会していただくことが患者さんの見当識回復に役立ちます。」と説明する。 先輩看護師の一言 「せん妄の患者さんを見たら、まず『何が原因か?』を考えてください。単に『うるさいから眠らせよう』と薬に頼るのは一番ダメ!低酸素・脱水・感染・薬剤・環境変化…この5つをチェックする習慣をつけましょう。そして、せん妄は予防が最大の治療です。日中の離床や見当識ケアを積極的に行うことで、夜間のせん妄を減らせます。国試でも『予防的介入』がよく問われるので、しっかり覚えてくださいね!」

重要概念

精神看護学 390 問 · ログイン不要

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。