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女性のライフサイクル各期における看護
問題

80歳女性。要介護2。在宅で夫と二人暮らし。最近、尿失禁が増え、下着を汚してしまうことが多くなった。訪問看護師が行うアセスメントとして優先度が高いのはどれか。

解説
尿失禁の対応ではまず失禁のタイプ(腹圧性・切迫性・溢流性・機能性など)を鑑別することが重要である。タイプによって対応方法が異なるため、看護師は排尿パターンや随伴症状を評価する必要がある。他の選択肢も重要だが、まずは失禁の原因を特定することが優先される。
同じテーマの次の問題老年期女性の健康課題として、閉経後に発症リスクが最も高まる疾患はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、在宅高齢者の尿失禁 (Urinary Incontinence in the Elderly) に対する訪問看護師のアセスメント優先順位を問うています。尿失禁は疾患ではなく症状であり、その原因は多岐にわたります。看護過程 (Nursing Process) の最初の段階であるアセスメント (Assessment) では、症状の原因と病態を特定するための情報収集が最優先されます。尿失禁のタイプ(腹圧性、切迫性、溢流性、機能性など)を鑑別することで、適切な看護介入(排尿訓練、環境調整、骨盤底筋体操、薬物療法の提案など)が可能になります。他の選択肢は、タイプ鑑別後に評価すべき重要な項目ですが、初期アセスメントとして優先されるのは、問題の本質を把握することです。 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 尿失禁のケアにおいて最初に行うべきは、失禁のタイプを鑑別することです。
- 腹圧性尿失禁 (Stress UI): 咳やくしゃみ、笑うなど腹圧がかかった時に尿が漏れる。骨盤底筋の弱化が原因。
- 切迫性尿失禁 (Urge UI): 急な強い尿意に耐えきれずトイレに間に合わない。過活動膀胱 (Overactive Bladder) が原因。
- 溢流性尿失禁 (Overflow UI): 膀胱に尿が溜まりすぎて、少しずつ漏れ出す。前立腺肥大や神経因性膀胱が原因。
- 機能性尿失禁 (Functional UI): トイレに行く能力が低下している(認知症、身体機能低下、環境要因)ために漏れてしまう。
タイプが特定できれば、介入の方向性が決まります。例えば、切迫性であれば膀胱訓練や薬物療法、機能性であればトイレ誘導や環境調整が優先されます。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 選択肢①から④も非常に重要なアセスメント項目ですが、尿失禁という主訴に対しては、まず「なぜ尿が漏れるのか」という原因を特定することが優先されます。
住居のバリアフリー状況: 機能性尿失禁が疑われる場合に重要な評価項目ですが、まずはタイプを鑑別してから評価すべきです。
認知機能の評価: 機能性尿失禁の原因特定に役立ちますが、切迫性や腹圧性の可能性もあり、まずは排尿パターン全体を評価する必要があります。
夫の介護負担感: 介護者支援は重要ですが、問題解決の第一歩は患者自身の症状の原因を特定することです。
経済的な医療費負担: 長期的なケア計画では重要ですが、初期アセスメントの優先度は低いです。 関連概念の整理 (Related Concepts)
尿失禁の鑑別には、排尿記録(排尿日誌、Frequency Volume Chart)が非常に有用です。いつ、どのくらいの量、どのような状況で漏れたかを記録することで、タイプが推測できます。また、残尿測定 (Post-Void Residual, PVR) は溢流性尿失禁の鑑別に必須です。
概念整理: 尿失禁は症状であり、原因(タイプ)によって看護介入が全く異なる。アセスメントの第一歩は「なぜ漏れるのか」の病態生理を特定すること。
一目で比較!:
尿失禁タイプ特徴主な原因
腹圧性咳・くしゃみで漏れる骨盤底筋の弱化
切迫性急な尿意で漏れる過活動膀胱
溢流性少しずつ漏れる前立腺肥大・神経因性膀胱
機能性トイレに行けない認知症・身体機能低下

看護過程ポイント: アセスメントでは、排尿パターン、随伴症状、既往歴(糖尿病、脳血管疾患、出産歴など)、内服薬(利尿薬、抗コリン薬など)を確認。看護診断としては「尿失禁 (Urinary Incontinence)」または「排尿パターン障害 (Impaired Urinary Elimination)」が考えられる。計画では、タイプに応じた介入(骨盤底筋訓練、膀胱訓練、トイレ誘導、環境整備)を立案する。
暗記のコツ: 「漏れる状況」でタイプを覚えよう!「笑って漏れる→腹圧性」「急に漏れる→切迫性」「だらだら漏れる→溢流性」「行けないから漏れる→機能性」
国試頻出ポイント: 高齢者の尿失禁は頻出事項。特に「タイプの鑑別」と「それに基づく看護介入」を組み合わせた問題が出題されやすい。状況設定問題(事例問題)で、患者の症状から尿失禁のタイプを判断させる問題も多い。
出題パターン注意!: 単純に「尿失禁のタイプを選べ」という知識問題から、「この患者さんに最も適切な看護介入はどれか」という応用問題まで出題される。事例文に「咳をすると漏れる」「トイレに間に合わない」などのキーワードが含まれていることが多いので、注意深く読むこと。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
80歳女性、要介護2。訪問看護師が初回訪問。夫から「最近、下着が濡れていることが増えた」と相談。本人は「トイレに行きたいと思うと、もう間に合わないことがある」と話す。夜間も2~3回トイレに起きる。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察: 排尿パターン(頻尿、夜間頻尿)、尿意の切迫感、漏れる状況(歩行中、トイレ到着前など)を確認。バイタルサインは問題なし。腹部の膨満感の有無を触診。 2. アセスメント: 「尿意があってから漏れるまでの時間が短い」という訴えから、切迫性尿失禁 (Urge UI) の可能性が高いと判断。過活動膀胱が疑われる。機能性尿失禁の可能性も考慮し、認知機能と歩行能力も評価。 3. 報告・介入: 訪問看護記録に排尿パターンを記載。医師に報告し、必要に応じて抗コリン薬の処方を検討。本人と家族に膀胱訓練(尿意を感じたら我慢してトイレに行く練習)と骨盤底筋体操を指導。夜間のトイレ環境(足元の照明、手すり)を確認し、転倒予防も指導。 4. 評価: 1週間後の訪問で、排尿日誌を確認。漏れる回数が減ったか、夜間の睡眠が改善したかを評価。必要に応じて介入を修正。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 重要! 尿失禁は転倒リスクを高める。特に夜間のトイレ歩行は注意が必要。環境整備(足元の明るさ、手すりの設置、障害物の除去)を必ず確認する。
- 溢流性尿失禁の場合は、残尿が尿路感染症のリスクとなる。発熱や排尿時痛の有無も観察する。
- 高齢者は脱水になりやすいため、水分摂取量を制限しすぎないように指導する(1日1.0~1.5Lを目安に)。
看護プロトコル: 観察項目は「排尿パターン(回数、時間帯、量)」「漏れる状況」「残尿感の有無」「内服薬(利尿薬、抗コリン薬など)」「認知機能とADL」。報告はSBARで(状況: 尿失禁増加、背景: 80歳女性要介護2、評価: 切迫性尿失禁疑い、提案: 排尿日誌の実施と医師への処方相談)。記録は具体的に「1日に3回程度の尿失禁あり。漏れる前に強い尿意を自覚。夜間は2回トイレに起きるが、1回は間に合わない。」など。
先輩看護師の一言: 「尿失禁は、高齢者にとって大きなQOL低下の原因です。『年のせい』と諦めず、まずは原因を特定することが看護師の役目!排尿日誌をつけてもらうだけでも、患者さん自身が自分のパターンに気づくきっかけになります。国試でも『最初に何をアセスメントするか』は頻出。必ずタイプの鑑別が第一歩だと覚えてくださいね!」

重要概念

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