核心解説
この問題は、
小児の入院に伴う心理的反応 (Psychological Reactions to Hospitalization)、特に
Robertson & Bowlby が提唱した母子分離の3段階(抗議期・絶望期・適応期)の特徴を問うています。
母親が帰る際に激しく泣き、その後遊びに没頭する行動は、
抗議期 (Stage of Protest) に典型的です。この段階では、子どもは分離直後に激しい泣きや叫び、母親を探す行動を示しますが、一時的に気をそらして遊んでいるように見えることがあります。しかし、これは適応や受容ではなく、まだ分離の事実に強く抵抗している状態です。
1.
核心概念の分析 (Key Concept):
小児の入院ストレス は、年齢や発達段階によって異なる反応を示します。特に幼児期(1~3歳)から学童前期(4~6歳)の子どもは、
母親との分離 (Maternal Separation) に強い不安を感じやすく、Robertson & Bowlby の三段階モデルで理解されます。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢1「抗議期」が正解です。問題文の「母親が帰る際に激しく泣き、しばらくすると遊び始める」という記述は、抗議期の特徴である「分離直後の激しい泣き」と「その後一時的に活動性が回復する」様子を正確に示しています。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意!
- ②「適応期」: 適応期は子どもが新しい環境に馴染み、周囲との関係を再構築する段階です。遊びに没頭する行動が続くようになりますが、問題文の「激しく泣く」という抵抗行動が先行しているため、適応期ではありません。
- ③「絶望期」: 絶望期は無気力、引きこもり、食欲低下などが主体で、激しい泣きは見られません。問題文の「激しく泣く」とは矛盾します。
- ④「分離期」: これはRobertson & Bowlbyの3段階(抗議・絶望・適応)には含まれない用語です。母子分離の「事態」を指す言葉であり、段階ではありません。
- ⑤「否認期」: これは主に
混同注意! 死別や危機的状況におけるKubler-Rossの5段階(否認・怒り・取引・抑うつ・受容)に用いられる概念で、小児の入院反応には当てはまりません。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts):
小児の入院適応過程 では、抗議期(Protest)→絶望期(Despair)→適応期(Detachment/Adjustment)の順に進行します。抗議期は分離直後~数日間、絶望期はその後数日~数週間続くことがあります。看護師は、子どもが抗議期にあることを理解し、母親の面会を促すことや、子どもに安心感を与える関わり(タッチング、声かけ)が重要です。
概念整理: Robertson & Bowlbyの母子分離3段階
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抗議期 (Protest): 分離直後。激しい泣き・叫び・母親探索行動。一時的に遊びに没頭することもある。
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絶望期 (Despair): 無気力・引きこもり・食欲低下・睡眠障害。泣くことは減る。
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適応期 (Detachment/Adjustment): 環境に馴染む・新しい関係構築。表面には元気に見えるが、愛着形成に影響が出る可能性もある。
一目で比較!
| 概念 | 小児の入院反応 (Bowlby) | 死別の悲嘆過程 (Kubler-Ross) |
|---|
| 第1段階 | 抗議期(泣く・抵抗) | 否認期(ショック・麻痺) |
| 第2段階 | 絶望期(無気力・引きこもり) | 怒り期(怒り・不満) |
| 第3段階 | 適応期(新しい関係構築) | 取引期(条件交渉) |
| 第4段階 | - | 抑うつ期(悲しみ・沈黙) |
| 第5段階 | - | 受容期(現実の受容) |
看護過程ポイント
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アセスメント: 入院時の年齢・発達段階、母子関係の質、分離経験の有無、遊びの内容と継続時間を観察。
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看護診断 (Nursing Diagnosis): 「不安 (Anxiety)」や「対処行動の準備状態 (Readiness for Enhanced Coping)」、重症例では「非効果的役割遂行 (Ineffective Role Performance)」も考慮。
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計画・介入: 母親の面会を積極的に促進。子どもの好きな遊びやタオル・ぬいぐるみなどを持参してもらい、安心できる環境を整える。泣いた後は抱っこや声かけで気持ちを受け止める。
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評価: 泣く時間が短くなるか、遊びに集中できる時間が延びるか、母親との再会時に笑顔が見られるか。
暗記のコツ: 「抗議するから泣く!泣いた後、元気になったように見えても『適応した』わけじゃないよ。」と覚えましょう。抗議期はまだ「抵抗中」、絶望期は「諦めモード」、適応期は「新しい環境に慣れた」状態です。
国試頻出ポイント: 小児看護学で頻出。具体的な事例(「3歳児が母親が帰ると泣き、10分後には遊び始める」)を提示し、その心理段階を選ばせる問題が典型。また、看護介入(母親の面会促進、遊びの提供)と組み合わせた出題もよく見られます。
出題パターン注意!: 単純な3段階の名称暗記だけでなく、各段階の具体的な行動特徴を問う事例問題に注意。さらに、Bowlbyの段階とKubler-Rossの悲嘆過程を混同させる選択肢(否認期など)が頻繁に仕掛けられています。