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病気や入院が小児と家族に与える影響とその看護
問題

10歳の女児が虫垂炎の手術後、経過は良好である。しかし、女児は「傷が痛い」と頻繁に訴え、鎮痛薬の追加を希望する。担当看護師が観察したところ、創部に異常はなく、バイタルサインも安定している。女児の母親は「この子は痛がりで、ちょっとしたことですぐに大げさに言うんです。本当に痛いのか分からない」と看護師に話した。この状況における看護師の対応として最も適切なのはどれか。

解説
小児の痛みの評価は主観的になりがちであり、特に言語発達が未熟な子どもでは適切な評価が難しい。この状況では、母親の意見に左右されず、また女児の訴えを鵜呑みにせず、客観的な評価ツール(フェイススケール、FLACCスケールなど)を用いて痛みの程度を再評価することが最も適切である。痛みの原因を特定し、適切な対応(鎮痛薬の追加、心理的ケアなど)を行うための第一歩となる。
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詳細解説

核心解説 この問題は、小児の術後疼痛管理における看護師のアセスメントと対応の優先順位を問うています。特に、小児の痛み (Pediatric Pain) の評価は、言語表現が未熟な場合が多く、また保護者の認識が影響を与える可能性があるため、主観的な訴えと客観的な評価指標を統合して判断することが極めて重要です。痛みは「第5のバイタルサイン」と呼ばれ、患者の主観的な体験を尊重することが基本ですが、特に小児では発達段階に応じた適切な評価ツールを用いて、その訴えの背景にある生理的・心理的要因を多角的に分析する必要があります。 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は⑤「痛みの程度を客観的に評価するため、フェイススケールなどを用いて再度評価する」です。小児の術後疼痛は、身体的要因(創部痛、ドレーン挿入部痛など)だけでなく、心理的要因(手術への不安、入院環境へのストレス、親からの分離不安など)が大きく影響します。この女児はバイタルサインが安定し創部に異常がないため、疼痛の原因が身体的に重篤でない可能性が高いですが、だからといって「大げさ」と決めつけることは禁忌です。まずは客観的評価スケール(例:Wong-Baker FACESスケール、NRS、FLACCスケール)を用いて痛みの程度を再評価し、その結果に基づいて鎮痛薬の必要性や心理的ケアの方法を判断するのが、看護過程のアセスメント段階として適切です。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①「母親と女児の両方に、手術後の痛みは自然な経過であると説明する」は、痛みを軽視し、女児の主観的体験を否定する可能性があります。痛みの原因を評価せずに「自然な経過」と一般化するのは不適切です。
②「母親の話を信じ、女児には『大げさに言わないように』と指導する」は、母親の主観的な意見に基づき、患者の訴えを否定する行為であり、患者-看護師間の信頼関係を損ないます。看護師は常に患者の代弁者であるべきです。
③「医師に報告し、鎮痛薬の処方を依頼する」は、痛みの原因や程度を十分に評価しないまま、薬剤による対処を先に行うため、不適切です。看護師はまずアセスメントを実施すべきです。
④「痛みの訴えを真摯に受け止め、鎮痛薬を追加する」は、患者の訴えを尊重する姿勢は評価できますが、指示簿の範囲外の鎮痛薬を独自に追加することは医療安全上、禁忌です。看護師は医師の指示に基づき投与する必要があり、まずは評価を経て医師へ報告するプロセスが必要です。 関連概念の整理 (Related Concepts)
小児の痛みの評価には、年齢と発達段階に応じたツールを使い分けます。乳幼児ではFLACCスケール(表情、下肢の動き、活動、泣き声、慰めやすさ)、3歳以上の言語獲得児ではフェイススケール、学童以上ではNRS (Numerical Rating Scale)VAS (Visual Analogue Scale) が用いられます。また、保護者の認識が子どもの痛みの評価に影響を与える「バイアス」があることも認識し、看護師は客観的評価と保護者への情報提供をバランスよく行う必要があります。 概念整理: 小児の痛み (Pediatric Pain) の評価は、①主観的評価(表情、行動、言語による訴え)と②客観的評価(バイタルサイン、創部観察、行動スケール)を組み合わせて行う。特に術後は、痛みの原因が身体的か心理的かを鑑別し、適切な介入(薬物的・非薬物的)につなげる。
一目で比較!:
評価方法対象年齢特徴
フェイススケール (Wong-Baker FACES)3歳以上6つの表情から痛みの程度を選択。子どもに理解しやすい。
FLACCスケール0~7歳、非言語児5項目(表情、脚、活動、泣き声、慰めやすさ)を0~2点で評価。客観的。
NRS (Numerical Rating Scale)8歳以上0~10の数字で痛みを自己評価。成人でも使用。

看護過程ポイント: アセスメント:痛みの部位、性質、強度、持続時間、増悪・軽減因子、バイタルサイン、創部の状態、心理的状態(不安、恐怖)、保護者の認識。 看護診断:「急性疼痛 (Acute Pain)」、「不安 (Anxiety)」(手術や環境変化に関連)、「非効果的な対処 (Ineffective Coping)」(痛みへの過敏反応など)。 計画・実施:適切な評価ツールの使用、鎮痛薬の投与(医師の指示に基づく)、非薬物的介入(深呼吸、イメージ法、冷罨法、気晴らし)、心理的サポート(説明、保証、親の関わり)。 評価:鎮痛薬投与後の疼痛スコアの変化、行動の変化、患者の満足度。
暗記のコツ: 「小児の痛みは“大げさ”ではなく“表現が未熟”」と覚えましょう。子どもは痛みを言葉で正確に伝えられないため、看護師が客観的ツールを使って「見える化」することが大切です。スケールの名前(FLACC、フェイス、NRS)と対象年齢をセットで暗記してください。
国試頻出ポイント: 小児の疼痛評価ツールの使い分け、術後疼痛管理における看護師の役割、保護者への対応(患者の代弁者としての立場)、鎮痛薬投与の判断基準が頻出。状況設定問題では「母親の意見」や「患者の訴え」が誘導として使われることが多いので注意。
出題パターン注意!: 本問のように「患者の訴え vs 保護者の意見」というジレンマ場面で、看護師としてどのようなアセスメントプロセスを踏むべきかを問う問題がよく出ます。単に「患者の訴えを聞く」だけでは不十分で、必ず「客観的評価」を組み合わせることが正解の鍵になります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは小児外科病棟の看護師です。10歳の女児が虫垂炎手術後2日目、経過は順調ですが、昼過ぎから「お腹が痛い、痛いよー」と繰り返し訴え、ナースコールを頻回に押します。担当医は「創部はきれい、バイタルサインも安定。経過は良好だから、もう少し我慢できるはず」とコメント。母親は「この子は昔から痛がりで、ちょっとしたことで騒ぐんです。先生が大丈夫って言ってるから、看護師さんも甘やかさないでください」と話します。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
最重要! まず、フェイススケール (Wong-Baker FACES) を用いて客観的に痛みの程度を評価します。「どの顔が今の痛みに一番近い?」と尋ね、スコアを記録します。同時にバイタルサイン(特に心拍数、血圧、呼吸数)を再測定し、創部の発赤・腫脹・熱感・排膿の有無を確認します。痛みの性質(持続的か間欠的か、ズキズキかシクシクか)も聴取。評価の結果、フェイススケールが4/6以上で、バイタルサインに変動がある場合は、直ちに医師に報告し、鎮痛薬の処方を依頼します。評価が低く、バイタルサインが安定している場合は、非薬物的介入(深呼吸法、気晴らしとしてテレビや絵本、温罨法など)を試みます。母親には「お子さんの訴えをまずしっかり評価することが大事です。痛みの原因が何かを調べ、適切に対応しますね」と説明し、協力を得ます。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
注意! 術後疼痛が急に増強した場合は、縫合不全や腹腔内膿瘍などの合併症の可能性も考慮し、創部の観察とともに腹部の身体診察(圧痛、筋性防御の有無)を確認する。鎮痛薬の投与は必ず医師の指示に基づいて行い、投与後の副作用(呼吸抑制、悪心、便秘など)に注意する。母親の意見に同調して患者の訴えを軽視することは、看護倫理上の重大な違反となる。
看護プロトコル: 観察項目:疼痛スコア(スケール使用)、バイタルサイン、創部の状態、腹部の状態(腸蠕動音、腹部膨満、排ガス・排便の有無)、心理状態(表情、行動、発言)。 報告基準 (SBAR):S(状況):「10歳の女児、虫垂炎術後2日目、疼痛スコア6/10と強い痛みを訴えています。」 B(背景):「創部に異常なく、バイタルサインは安定しています。母親は痛がりと話しています。」 A(アセスメント):「身体的原因より心理的要因(不安)が強い可能性がありますが、合併症も否定できません。」 R(提案):「鎮痛薬の追加処方と、心理的ケアの継続をお願いします。」
先輩看護師の一言: 「痛みの訴えを聞いたら、まず『痛いのね、つらかったね』と共感してあげてください。そして、評価スケールを出す。これが基本です!母親が『大げさ』と言っても、看護師は患者の味方。でも、薬を勝手に出したりはダメ。必ず評価→報告→指示→実施の流れを守りましょう。小児の痛みは、見逃すとトラウマになることもあります。真剣に向き合ってくださいね。」

重要概念

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