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新生児の健康増進のための看護
問題

正期産で出生した体重3000gの新生児。出生後2時間で、母親から「赤ちゃんが震えているように見える」と訴えがあった。看護師の対応として適切なのはどれか。

解説
新生児期に見られる震えのような動きは、生理的振戦であることが多い。これは未熟な神経系によるもので、病的なけいれんとは異なり、刺激で誘発されたり、睡眠中には消失する。低血糖や低体温の症状がないかを確認しつつ、まずは生理的現象である可能性が高いと説明する。
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詳細解説

核心解説 この問題は、正期産新生児にみられる震え様の動きの鑑別と、それに対する看護師の適切な対応を問うています。出生後早期の新生児では、神経系が未熟であるために、生理的な震え(生理的振戦)が頻繁に観察されます。これを病的なけいれんや低血糖などと誤って判断し、過剰な介入をしないことが重要です。

核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、新生児の生理的振戦 (Physiological Tremor)新生児けいれん (Neonatal Seizure)の鑑別です。生理的振戦は、中枢神経系の髄鞘化が未完成であるために起こる、非てんかん性の不随意運動です。一方、新生児けいれんは、低血糖、低酸素性虚血性脳症、髄膜炎などの器質的な脳障害によって生じる病的な発作です。看護師は、まずこの2つを正しく鑑別し、不要な処置や不安を避けるための適切な説明が求められます。

正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は③「生理的振戦であると説明し、経過観察とする」です。出生後数時間の正期産新生児では、生理的振戦が最もよくみられる震えの原因です。特徴として、顔や四肢にみられる細かい震えで、受動的に動かすと止まる、睡眠中には消失する、刺激によって誘発される、といった点が挙げられます。看護師は、この生理的現象について母親に丁寧に説明し、不安を軽減した上で、経過を観察することが適切です。

誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①「低体温を疑い、保育器へ移動する」:低体温も新生児に震えを引き起こす原因の一つですが、正期産で体重3000gの新生児が出生後2時間で、保温が適切に行われていれば、まず低体温は考えにくいです。震えのみで低体温と決めつけるのは早計です。
混同注意! ②「新生児けいれんを疑い、すぐに抗けいれん薬を準備する」:生理的振戦と新生児けいれんは混同しやすいですが、けいれんはもっと粗大でリズミカルな動きであり、眼球偏位やチアノーゼを伴うことが多いです。また、新生児けいれんは重篤な病態のサインであるため、まずはアセスメントと医師への報告が優先であり、看護師の判断で抗けいれん薬を準備することはありません。
④「低血糖を疑い、医師に報告する」:低血糖も新生児の震えの原因となりますが、正期産で出生体重が十分にある新生児では、出生後2時間で低血糖を発症するリスクは低いです。母親の妊娠糖尿病などのリスク因子がなければ、まず生理的振戦を疑います。低血糖の可能性も念頭に置きつつ、まずは生理的振戦を説明する方が優先です。
⑤「頭部CT検査の必要性を医師に相談する」:CT検査は被曝のリスクを伴うため、生理的振戦が疑われる時点で、いきなりCT検査の相談を行うのは過剰な対応です。まずは経過観察と簡単なアセスメントで判断します。

関連概念の整理 (Related Concepts): 新生児の震えの原因としては、生理的振戦以外に、低体温、低血糖、低カルシウム血症、新生児けいれん、薬物離脱症候群などがあります。看護師は、母親の妊娠歴(糖尿病、高血圧、薬物使用歴)、分娩歴(仮死の有無)、バイタルサイン、血糖値、全身状態を総合的にアセスメントすることが重要です。生理的振戦は出生後2~3日で自然に消失します。

概念整理:
項目生理的振戦新生児けいれん
原因神経系未熟器質的脳障害(低血糖、低酸素など)
動き細かい、振動様粗大、リズミカル、眼球偏位やチアノーゼを伴う
誘発・抑制刺激で誘発、受動的に動かすと止まる、睡眠中消失刺激と無関係に出現、睡眠中も持続
対応経過観察、母親への説明直ちに医師報告、原因検索(血糖、電解質、画像検査)

一目で比較!:
混同注意! 生理的振戦(生理的)vs 新生児けいれん(病的)。鑑別ポイントは「睡眠中に消失するか?」です。生理的振戦は睡眠中に完全に消失しますが、けいれんは持続することが多いです。
看護過程ポイント:
- アセスメント: 母親の訴え「震えている」を正確に観察する。震えの部位、持続時間、刺激との関連、バイタルサイン(体温、呼吸、心拍数)、血糖値を測定。睡眠中の状態も確認。
- 看護診断: 知識不足(新生児の正常な発達に関する)関連 母親の不安。または、非効果的健康維持関連 新生児の生理的現象への誤解。
- 計画・介入: 母親に「赤ちゃんは神経が未熟なので、このような震えはよくある正常な現象です」と説明し、安心させる。震えが睡眠中に消えることを一緒に観察する。低血糖や低体温の兆候がないか観察を続ける。
- 評価: 母親の不安が軽減され、震えが2~3日で自然に消失するか確認する。
暗記のコツ: 「生理的振戦しんけい(神経)がみじゅく(未熟)=しんみ(震え)」。新生児の震えは、まず「正常の範囲」を疑うクセをつけましょう。
国試頻出ポイント: 新生児の生理的振戦と新生児けいれんの鑑別は、国試でよく出題されます。特に「震え」「けいれん」「チアノーゼ」「眼球偏位」などのキーワードに注意。また、「母親への説明」という視点も問われやすいです。
出題パターン注意!: 単純な知識問題「生理的振戦の特徴はどれか」から、事例問題「出生後3時間の新生児に震えがみられた。看護師の対応で適切なのはどれか」へと発展します。病態生理を理解せずに選択肢の語句だけで判断すると間違えやすいので、注意してください。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 産科病棟で、経膣分娩後2時間が経過した、正期産の健常新生児(体重3100g)の母親がナースコール。「先生、赤ちゃんがブルブル震えているんです!痙攣してるんじゃないですか?」と泣きそうな声で訴えます。あなたはこの新生児を受け持つ看護師です。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察(アセスメント): まず、赤ちゃんの状態を確認します。震えの部位(手足?顔?全身?)、持続時間、リズム、眼球の動き、顔色、呼吸状態を観察します。同時に、赤ちゃんの手をそっと握ってみて、震えが止まるかどうか確認します。バイタルサイン(体温、心拍数、呼吸数、SpO2)を測定します。
2. 判断(トリアージ): 最重要! 震えが睡眠中に消失し、刺激で誘発され、手を握ると止まる場合は、生理的振戦の可能性が高いです。チアノーゼや眼球偏位を伴う、粗大なリズミカルな動きがある場合は、新生児けいれんを疑い、直ちに医師へ報告します。
3. 介入(説明と経過観察): 生理的振戦と判断した場合、母親に「赤ちゃんの神経がまだ発達途中なので、こうした震えはよくある正常なことです。眠っているときはピタッと止まりますよ。心配しないでくださいね」と優しく説明します。一緒に観察し、震えが止まることを確認してもらいます。その後も定期的に観察を継続します。
4. 報告(SBAR): もし新生児けいれんを疑った場合、「S(状況):3床の新生児に震えがみられます。B(背景):正期産で出生後2時間。A(アセスメント):眼球偏位とチアノーゼを伴うリズミカルな動きで、新生児けいれんが疑われます。R(提案):至急確認をお願いします。」と報告します。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
- 母親の不安を軽減することが最も重要です。「正常な現象です」と伝えるだけでなく、根拠を示して説明することで、母親の安心感が大きく変わります。
- 低血糖のスクリーニングとして、血糖値を測定する習慣をつけましょう。血糖値40mg/dL未満の場合は、医師に報告し、対応を仰ぎます。
- 生理的振戦は一過性ですが、もし震えが長引いたり、他の症状(哺乳不良、筋緊張低下、呼吸障害)を伴う場合は、再度アセスメントが必要です。

看護プロトコル: 新生児の震えを認めた場合の観察項目(震えの特徴、バイタルサイン、血糖値、哺乳状態、睡眠中の状態)と報告基準(眼球偏位、チアノーゼ、持続時間1分以上、粗大な動き)を整理し、記録に残しましょう。
先輩看護師の一言: 「赤ちゃんが震えていると、お母さんは本当に怖い思いをします。私たち看護師がまず落ち着いて、『これ、よくある正常な震えですね』と自信を持って説明できることが、お母さんの安心に直結します。生理的振戦と病的なけいれんの違いをしっかり覚えて、実践しましょう!」

重要概念

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