核心解説
この問題は、日本の予防接種制度における「定期接種(定期予防接種)」と「任意接種(不定期接種)」の区別を問う、保健行政分野の基本問題です。
最重要! 日本の予防接種は、
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)に基づき、国が推奨し費用の一部または全額を公費負担する「定期接種(A類・B類疾病)」と、希望する者が自費で受ける「任意接種」に大別されます。
正解は⑤の「麻しん、風しん、結核(BCG)」です。これらはすべて定期接種(A類疾病)の対象です。
麻しん・風しん混合(MR)ワクチンは1歳児と小学校入学前1年間の幼児に、BCGは生後1歳未満(標準的には生後5~8か月)に接種されます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢⑤の3疾患(麻しん、風しん、結核)は、いずれも感染症法に基づく「定期接種(A類疾病)」に該当します。特に
最重要! 麻しん・風しん(MRワクチン)は、集団免疫の維持と、妊婦が風しんに感染した場合の先天性風しん症候群(Congenital Rubella Syndrome)予防の観点から、国の強い推奨のもとで実施されています。BCGも結核(Tuberculosis)予防のための重要な定期接種です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①の
混同注意! ロタウイルスは2020年10月から定期接種(A類疾病)に加わりましたが、A型肝炎はあくまで「任意接種」です。B型肝炎は2016年10月から定期接種化されています。①は「ロタウイルスとB型肝炎は定期だが、A型肝炎は定期ではない」という点で誤りです。
②の水痘(2014年10月から定期接種化)は正しいですが、おたふくかぜ(ムンプス)とインフルエンザは「任意接種」です。特にインフルエンザは高齢者や基礎疾患のある方を対象とした定期接種(B類疾病)の対象ですが、すべての小児が対象となる定期接種ではありません。②は「おたふくかぜとインフルエンザが定期接種ではない」という点で誤りです。
③のヒトパピローマウイルス(HPV)感染症は、女子を対象とした定期接種(A類疾病)です。しかし、帯状疱疹は50歳以上の方を対象とした「任意接種」、肺炎球菌は高齢者(65歳以上)や基礎疾患のある方を対象とした定期接種(B類疾病)ですが、すべての小児を対象とした定期接種ではありません。③は「帯状疱疹と肺炎球菌が小児の定期接種ではない」点で誤りです。
④の破傷風、百日咳、ジフテリア、ポリオは、いずれも
四種混合(DPT-IPV)ワクチンとして、生後3か月から定期接種(A類疾病)の対象です。つまり、④の内容は「すべて定期接種」で正しいように見えますが、問題文は「小児の定期予防接種の対象疾患として正しいものはどれか。」と問うています。
混同注意! 設問は「正しい組み合わせはどれか」ではなく「正しいものはどれか」であり、選択肢⑤も完全に正しいため、問題の意図としては「最も基本的かつ代表的な定期接種の組み合わせ」である⑤が正解とされています。④も定期接種で間違いではありませんが、⑤の方がより典型的で確実な正解です。看護師国家試験では、このような「複数正解があり得るが、最も適切なものを選ぶ」形式が出題されることがあります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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最重要! 定期接種(A類疾病): 予防接種法に基づき、接種の努力義務があり、公費(市町村)で実施されるもの。代表例: MR(麻しん・風しん)、BCG、DPT-IPV(四種混合)、水痘、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ロタウイルス、B型肝炎。
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定期接種(B類疾病): 高齢者や特定の基礎疾患を有する者を対象とし、努力義務はあるが、個人の予防を目的とするもの。代表例: 高齢者インフルエンザ、高齢者肺炎球菌。
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任意接種(不定期接種): 費用は全額自己負担。代表例: おたふくかぜ(ムンプス)、A型肝炎、帯状疱疹(シングリックスなど)、インフルエンザ(小児・成人の健康な方)、髄膜炎菌ワクチン。
概念整理: 日本の予防接種は「定期接種」と「任意接種」に二分される。定期接種はさらに「A類(集団予防・小児主体)」と「B類(個人予防・高齢者主体)」に分かれる。国試では「A類疾病」の代表例を正確に暗記することが求められる。
一目で比較!:
| 分類 | 対象疾患の例 | 接種の義務 | 費用 |
| 定期接種 A類 | 麻しん・風しん(MR)、BCG、DPT-IPV、水痘、日本脳炎、ヒトパピローマウイルス(HPV)、ロタウイルス、B型肝炎 | 努力義務 | 公費負担 |
| 定期接種 B類 | 高齢者インフルエンザ、高齢者肺炎球菌 | 努力義務 | 公費負担 |
| 任意接種 | おたふくかぜ(ムンプス)、A型肝炎、帯状疱疹、髄膜炎菌、狂犬病(曝露後) | なし | 全額自己負担 |
看護過程ポイント:
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アセスメント: 患者(特に小児・妊婦・高齢者)の予防接種歴(Vaccination History)を確認する。特に海外渡航歴やアレルギー歴(卵アレルギー、ゼラチンアレルギーなど)は重要。
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計画・実施: 接種前の問診(健康状態、前回接種からの間隔、副反応の有無)を徹底する。接種後はアナフィラキシー(Anaphylaxis)に備え、30分間の経過観察を行う。特に初回接種時は院内に緊急対応体制(アドレナリン(エピペン)の準備)が必要。
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評価: 副反応(発熱、局所の腫脹・疼痛、全身性の発疹など)の出現の有無を確認し、記録する。特に麻しんワクチン接種後は約1週間後に遅発性の発熱や発疹が見られることがあるため、保護者への指導が重要。
暗記のコツ:
「
BCGは赤ちゃんの定期、MRは1歳と年長さんの定期、四種混合は3ヶ月から定期、水痘とロタとB型肝炎(HBワクチン)は近年定期に加わった仲間。おたふく、A型肝炎、帯状疱疹は自費(任意)で忘れずに!」とリズムで覚えましょう。
国試頻出ポイント:
予防接種の区分(定期 vs 任意)は毎年必ずと言っていいほど出題されます。特に「おたふくかぜ(ムンプス)は定期接種か任意接種か」「HPVワクチンは定期接種か」の区別は頻出です。また、2020年以降に定期接種化されたロタウイルスとB型肝炎も要注意です。
出題パターン注意!:
単純な「定期接種の疾患はどれか」という知識問題だけでなく、「海外渡航前に予防接種を勧めるべき疾患はどれか」「アナフィラキシーショックのリスクが高いワクチンはどれか」といった状況設定問題に発展することがあります。また、予防接種法の改正や新たなワクチンの定期接種化に関する時事問題としても出題されやすいテーマです。