廃用症候群により生じる骨格系の変化はどれか。 | MyMerci
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高齢者に特有な症候・疾患・障害と看護
問題

廃用症候群により生じる骨格系の変化はどれか。

解説
長期臥床や不動により、骨への力学的負荷が減少すると、骨吸収が骨形成を上回り、骨塩量が減少して骨粗鬆症をきたす。これは廃用症候群の典型的な症状の一つである。骨棘形成は変形性関節症などで見られる。
同じテーマの次の問題廃用症候群の予防において、最も重要視される看護介入はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、廃用症候群 (Disuse Syndrome) による身体への影響、特に 骨格系の変化 を問うています。廃用症候群は、長期臥床や安静・不動状態が続くことで全身の臓器・器官に生じる二次的な障害の総称です。骨格系への影響を考える上で、Wolffの法則(骨は力学的負荷に適応してその構造を変化させる) を理解することが重要です。骨に力学的負荷(重力、筋収縮による牽引力)がかからなくなると、骨形成よりも骨吸収が優位となり、骨塩量が減少し、骨が脆くなります。

正解の根拠 (Answer Rationale): ⑤ 骨粗鬆症 (Osteoporosis) が正解です。廃用症候群では、不動による 力学的負荷の低下 が骨吸収を促進し、骨量減少を引き起こします。これは廃用性骨萎縮とも呼ばれ、最も代表的な骨格系変化の一つです。特に高齢者や長期臥床患者で頻発し、骨折リスクが著しく上昇 するため、早期からの予防的介入(関節可動域訓練、可能な範囲での荷重など)が看護上非常に重要です。

誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意!骨髄炎 (Osteomyelitis) → 細菌感染による骨の炎症性疾患です。廃用症候群とは直接関係しません。褥瘡(床ずれ)からの感染が波及することで起こる可能性はありますが、骨格系の「変化」として直接的なものではありません。 ② 骨棘形成 (Osteophyte Formation) → 変形性関節症(Osteoarthritis)などで見られる、関節の不安定性に対する代償的な骨の過形成です。廃用によって関節が固まった場合とは異なる病態です。 ③ 骨折 (Fracture) → 廃用症候群の結果として起こりうる「出来事(イベント)」であり、骨格系の「変化(病的状態)」ではありません。骨粗鬆症が進行した結果、わずかな外力で骨折(病的骨折)が生じます。 ④ 骨軟化症 (Osteomalacia) → ビタミンD欠乏などにより、石灰化が障害され類骨が過剰に形成される疾患です。廃用症候群ではなく、栄養障害や代謝異常が原因です。

関連概念の整理 (Related Concepts): 廃用症候群の骨格系変化として、骨粗鬆症 以外に 関節拘縮 (Joint Contracture) も重要です。関節包や靭帯、腱の短縮・癒着により可動域が制限されます。看護師は、廃用症候群の予防として、関節可動域訓練(ROM訓練)と合わせて、骨への荷重を促すケア(ベッド上での下肢荷重練習、早期離床の促進)を計画する必要があります。

概念整理: 廃用症候群による骨格系の変化は、「力学的負荷の低下 → 骨吸収促進 → 骨塩量減少(骨粗鬆症)」 という流れで理解しましょう。同様に、筋肉は廃用性筋萎縮、関節は拘縮をきたします。

一目で比較!:
病態廃用症候群との関連
骨粗鬆症直接的な変化(骨吸収>骨形成)
関節拘縮直接的な変化(軟部組織の短縮)
骨折骨粗鬆症の結果生じる合併症
骨棘形成変形性関節症が原因(廃用とは別)
骨軟化症ビタミンD欠乏が原因(廃用とは別)


看護過程ポイント:
アセスメント: 不動状態の期間、ADLレベル、疼痛の有無、過去の骨折歴を評価。
看護診断: 「活動耐性低下」「転倒リスク状態」 が関連しやすい。
計画・実施: ベッド上での下肢挙上運動、関節可動域訓練、座位・立位保持訓練、歩行補助具の使用指導。栄養面ではカルシウム・ビタミンDの摂取促進。
評価: 骨密度の推移、関節可動域、筋力、転倒・骨折の有無。

暗記のコツ: 「廃用=使わない」。骨も筋肉も「使わなければ衰える」という原則を覚えましょう。骨の場合「負荷が減る → 吸収が進む → 骨がスカスカ(粗鬆)」とイメージしてください。

国試頻出ポイント: 廃用症候群の全身への影響(呼吸器系:無気肺、循環器系:起立性低血圧、深部静脈血栓症、筋・骨格系:筋萎縮・関節拘縮・骨粗鬆症、皮膚:褥瘡、精神:せん妄・うつ状態など)を一覧で問う問題が頻出です。特に「廃用症候群で見られないのはどれか?」という選択問題で、骨棘形成や骨軟化症などが誤答として出題されるパターンがあります。

出題パターン注意!: 「70歳の男性。脳梗塞後遺症で右片麻痺があり、3ヶ月間臥床状態が続いている。この患者に生じている可能性が高い骨格系の変化はどれか。」というような事例問題で出題されることがあります。原因(臥床)と結果(骨粗鬆症)を正しく結びつけられるかが問われます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 70代女性。左大腿骨頸部骨折(Femoral Neck Fracture)の手術後、経過は良好ですが、ベッド上安静が長引いていました。術後2週間が経過し、理学療法士とともに離床訓練を開始しようとしたところ、患者さんが「立ったとき、左足にすごく力が入らない感じがする」と訴えました。バイタルサインに異常はなく、創部にも問題はありません。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
最重要! この症状は、廃用による 筋力低下(廃用性筋萎縮)と骨粗鬆症の進行 が疑われます。まずは患者さんの安全を確保し、無理な荷重をさせないことが最優先です。
1. 観察 (Observation): バイタルサイン、疼痛の有無(Numerical Rating Scale: NRSで評価)、下肢の浮腫・発赤・熱感の有無(深部静脈血栓症の否定)、筋力(徒手筋力テスト: MMT)、関節可動域。
2. アセスメント (Assessment): 術後2週間の安静が廃用を促進した可能性が高い。荷重時に力が入らないという訴えは、骨格系の脆弱性と筋力低下の両方を示唆する。
3. 報告 (Report - SBAR形式): 「Situation: 左大腿骨頸部骨折術後14日目の〇〇さん。立位訓練時に左下肢脱力を訴えています。B: バイタルサイン安定。創部問題なし。A: 廃用症候群(筋萎縮、骨萎縮)の進行が疑われます。R: 訓練強度の調整と、安全な移乗方法の再検討をお願いします。」
4. 介入 (Intervention): 理学療法士と連携し、まずはベッド上での下肢挙上運動や他動的関節可動域訓練から再開。安全が確認でき次第、歩行器を使用した部分荷重訓練へ段階的に移行する。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 転倒・転落のリスクが非常に高い 状態です。訓練中は必ず介助者が付き添い、ナースコールを手元に置き、ベッドの高さは低く、車輪は固定するなど環境を整えます。また、廃用による骨粗鬆症が進行している場合、わずかな外力でも骨折するリスクがあるため、体位変換や移乗の際は慎重に行います。

看護プロトコル: 長期臥床患者の離床時には、まず 起立性低血圧 (Orthostatic Hypotension) の評価(臥位・座位・立位での血圧測定)を必ず行う。筋力低下が著しい場合は、離床前にベッド上での筋力強化訓練を数日間行い、全身状態を整えてから離床を開始する。

先輩看護師の一言: 「廃用症候群は『静かな脅威』です。患者さんは痛みを感じずに進行し、気づいた時には骨が脆くなり、歩けなくなっている。予防こそが最善の治療です。国試で『廃用症候群の予防策』を問われたら、『動かすこと(ROM訓練・早期離床)』と『栄養管理』の2つを真っ先に思い浮かべてください。患者さんの生活の質(QOL)を守るために、私たち看護師ができることの一つです!」

重要概念

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