こんな問題があと800問挑戦 ›
身体防御機能の障害のある患者の看護
がん性疼痛に対するWHO方式三段階除痛ラダーで、第一段階で使用される薬剤はどれか。
-
1
アセトアミノフェン
✓ 正解
-
2
モルヒネ
-
3
オキシコドン
-
4
トラマドール
-
5
フェンタニル
解説
WHO方式三段階除痛ラダーの第一段階は軽度の疼痛に対して、非オピオイド鎮痛薬(アセトアミノフェンや非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs))を使用する。モルヒネやフェンタニル、オキシコドンは第三段階(強オピオイド)、トラマドールは第二段階(弱オピオイド)に分類される。
同じテーマの次の問題免疫抑制状態にある患者の感染予防で最も重要な看護介入はどれか。この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、WHO方式三段階除痛ラダー (WHO Analgesic Ladder) の基本的な薬剤分類を問うています。がん性疼痛 (Cancer Pain) の治療は、疼痛の強さに応じて段階的に鎮痛薬を選択するという原則を理解することが鍵です。
正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! WHO方式三段階除痛ラダーの第一段階は、軽度の疼痛 (Numerical Rating Scale: NRS 1-3) に対して使用されます。この段階では 非オピオイド鎮痛薬 (Non-Opioid Analgesics) が選択され、代表的な薬剤として アセトアミノフェン (Acetaminophen) や 非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) が挙げられます。これらはオピオイド受容体を介さない鎮痛機序を持ち、比較的弱い鎮痛効果と副作用プロファイルを有します。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 選択肢②の モルヒネ (Morphine)、③の オキシコドン (Oxycodone)、⑤の フェンタニル (Fentanyl) はすべて 強オピオイド (Strong Opioids) に分類され、第三段階(中等度から高度の疼痛: NRS 4-10)で使用されます。
選択肢④の トラマドール (Tramadol) は 弱オピオイド (Weak Opioid) に分類され、第二段階(軽度から中等度の疼痛: NRS 4-6)で使用されます。第一段階の非オピオイドで疼痛コントロールが不十分な場合に、第二段階へとステップアップします。
関連概念の整理 (Related Concepts):
| 段階 | 疼痛の程度 (NRS) | 使用薬剤の分類 | 代表的な薬剤 |
| 第一段階 | 軽度 (1-3) | 非オピオイド | アセトアミノフェン、NSAIDs (ロキソプロフェンなど) |
| 第二段階 | 軽度~中等度 (4-6) | 弱オピオイド | トラマドール、コデイン (Codeine) |
| 第三段階 | 中等度~高度 (4-10) | 強オピオイド | モルヒネ、オキシコドン、フェンタニル、ヒドロモルフォン (Hydromorphone) |
また、各段階で 鎮痛補助薬 (Adjuvant Analgesics)(抗うつ薬、抗けいれん薬、局所麻酔薬など)を併用することで、より効果的な疼痛管理が可能となります。
概念整理: WHO方式三段階除痛ラダー は、がん性疼痛治療の世界的なガイドラインであり、疼痛の強さに応じて「非オピオイド→弱オピオイド→強オピオイド」へと段階的に鎮痛薬を強化する原則。各段階で鎮痛補助薬を併用し、経口投与 (Oral Administration)、時間を決めての定時投与 (Around-the-Clock)、患者ごとの個別化 (Individualization)、細かい配慮 (Attention to Detail) の4原則を徹底する。
一目で比較!: 混同注意! 第一段階の非オピオイド vs 第二段階の弱オピオイド(例: アセトアミノフェン vs トラマドール)は、鎮痛効果の強さとオピオイド作用の有無で区別する。また、第三段階の強オピオイド(モルヒネ、フェンタニルなど)は、呼吸抑制や便秘などの副作用管理が特に重要となる。
看護過程ポイント: アセスメントでは 疼痛の強さをNRSやFace Scaleなどで客観的に評価し、除痛ラダーに沿った薬剤選択の適切性を判断する。看護診断としては「慢性疼痛 (Chronic Pain)」や「便秘 (Constipation)」(オピオイド誘発性便秘)などが挙げられる。計画・実施では、最重要! 定時内服の遵守、副作用モニタリング(呼吸数、排便状況、眠気、悪心など)、患者・家族への服薬教育を行う。評価では、疼痛コントロールの効果と副作用の有無を継続的に評価し、必要に応じて医師に報告する。
暗記のコツ: 「アセトアミノフェンは第一段階」と覚える。語呂合わせ:「アセト(アセトアミノフェン)はイチ(第一段階)バン」。さらに、「トラマドールは二段階(トラに乗る)」、「モルヒネ・フェンタニルは三段階(強いモルヒネ)」とイメージすると記憶しやすい。
国試頻出ポイント: 各段階に分類される代表的な薬剤名を問う問題が頻出。特に、第一段階と第三段階の薬剤を混同しないように注意する。また、事例問題で「疼痛が増強した場合、次の段階としてどの薬剤を追加・変更するか」を問う発展的な出題にも対応できるよう、各段階のステップアップのルールも併せて理解しておくこと。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、例えば「70歳男性、肺がんによる背部痛に対してアセトアミノフェンを内服中だが、NRS 5の疼痛が残存。次の対応として適切なのはどれか。」のような状況設定問題(事例問題)に発展する。この場合、第一段階で効果不十分なため、第二段階(弱オピオイド)へのステップアップが適切となる。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 60代女性、乳がんの骨転移による腰痛で入院中。現在、アセトアミノフェン 1回500mg 1日4回を内服している。本日の疼痛評価でNRS 6と中等度の疼痛が認められ、「痛くて眠れない」と訴えている。バイタルサインは安定。排便は2日間なく、腹部はやや膨満している。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):- 1観察 (Assessment)疼痛の質、部位、増悪・緩和因子を詳細に聴取。同時に、呼吸数 (Respiratory Rate) の確認(オピオイド導入時のベースライン評価に必須)、排便状況(便秘の有無)をアセスメント。
- 2アセスメント (Analysis)第一段階の非オピオイド鎮痛薬ではコントロール不十分な中等度の疼痛。WHO除痛ラダーに基づき、第二段階(弱オピオイド)へのステップアップが適切と判断。
- 3報告・指示受け (Report & Order)最重要! SBAR (Situation-Background-Assessment-Recommendation) を用いて医師に報告。例: 「S: 患者さんがNRS 6の腰痛を訴えています。B: 現在アセトアミノフェンを内服中です。A: 除痛ラダー第一段階で不十分な中等度疼痛です。R: トラマドールなどの弱オピオイドへの変更を提案します。」医師の指示でトラマドールが追加処方される。
- 4介入 (Intervention)トラマドールの初回投与前後で バイタルサイン(特に呼吸数、血圧)と鎮痛効果、副作用(悪心、眠気、便秘)をモニタリング。便秘に対しては、緩下剤の予防的投与と水分・食物繊維の摂取促進、腹部マッサージを指導。
- 5評価 (Evaluation)投与後1時間で疼痛がNRS 3に軽減。呼吸数は16回/分で問題なし。軽度の眠気を訴えるが、覚醒可能。排便ケア計画を継続。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):- 最重要! オピオイド(弱オピオイドを含む)導入時は、呼吸抑制 (Respiratory Depression) のリスクがあるため、投与後1時間は15分ごとに呼吸数を観察する。特に高齢者や呼吸器疾患合併患者では注意が必要。
- 便秘はオピオイドの最も一般的な副作用であり、予防的な緩下剤投与と排便ケアを開始する。患者に「痛み止めを飲むと便秘になりやすいので、早めに対策を始めましょう」と説明する。
- トラマドールは 混同注意! セロトニン症候群 (Serotonin Syndrome) のリスクがあるため、SSRIやMAO阻害薬との併用は禁忌。患者の内服薬を必ず確認する。
- 転倒・転落予防: 眠気やふらつきの副作用に注意し、ベッド柵の使用やナースコールの位置確認を行う。
看護プロトコル: 観察項目: 疼痛スケール (NRS/FPS)、バイタルサイン(特に呼吸数、血圧、心拍数)、副作用(悪心・嘔吐、便秘、眠気、せん妄)。報告基準 (SBAR): 疼痛がNRS 4以上で鎮痛薬投与後1時間経過しても改善なし、または新たな副作用出現時。記録のポイント: 鎮痛薬の投与時間、投与前後の疼痛スコア、副作用の有無と程度、患者の訴えを客観的に記載。家族への説明: がん性疼痛治療の目的、除痛ラダーの考え方、副作用とその対策について、患者と家族が理解できる言葉で説明する。
先輩看護師の一言: 「がん性疼痛のケアで大切なのは、患者さんの痛みを『我慢しなくていいんだよ』と伝えることです。痛みは患者さんのQOLを大きく損ないます。WHOラダーはただの暗記項目ではなく、患者さん一人ひとりに合った除痛プランを考えるためのフレームワークです。国試で『この薬は何段階?』と聞かれたら、『この患者さんは今どれくらい痛いのか』を想像しながら答えてみてくださいね!」
- 非オピオイド鎮痛薬 — オピオイド受容体を介さずに鎮痛効果を発揮する薬剤。アセトアミノフェンやNSAIDsが代表例。WHO方式三段階除痛ラダーの第一段階で使用される。
- 弱オピオイド — オピオイド受容体に作用するが、強オピオイドより鎮痛効果が弱い薬剤。トラマドールやコデインが該当し、ラダーの第二段階で使用される。
- 強オピオイド — 強い鎮痛効果を持つオピオイド系鎮痛薬。モルヒネ、オキシコドン、フェンタニルが代表例。ラダーの第三段階で使用され、呼吸抑制や便秘などの副作用管理が重要。
- 鎮痛補助薬 — 鎮痛薬の効果を増強したり、副作用を軽減するために併用される薬剤。抗うつ薬、抗けいれん薬、局所麻酔薬などが含まれ、各段階で使用可能。
- WHO方式三段階除痛ラダー — がん性疼痛治療の世界的ガイドライン。疼痛の強さに応じて非オピオイド(第一段階)→弱オピオイド(第二段階)→強オピオイド(第三段階)へと段階的に鎮痛薬を強化する原則。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。