核心解説
この問題は、
静脈採血 (Venipuncture) における
駆血帯 (Tourniquet) の適切な装着位置を問う基本的手技の知識問題です。
静脈を十分に怒張させ、かつ動脈血流を阻害しない最適な距離が求められます。
最重要! 標準的な駆血帯の位置は、
穿刺部位から約5~10cm中枢側です。選択肢の中でこの範囲に該当するのは「約10cm中枢側」のみとなります。
正解の根拠 (Answer Rationale)駆血帯は、静脈血の心臓への還流を一時的に遮断し、静脈を怒張させて穿刺を容易にするために使用します。
穿刺点から約5~10cm中枢側という距離は、この目的に最も適しており、十分な静脈の怒張が得られます。約10cmはこの範囲内であり、最も適切な選択肢です。また、患者さんの右上肢に点滴ルートが確保されている点も重要で、
混同注意! 採血は点滴ルートのある腕を避けるか、どうしてもその腕を使用する場合は、点滴ルートより末梢側から、かつ点滴を一時的に停止して採血するなどの配慮が必要ですが、この問題は駆血帯の位置そのものを問うています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)混同注意! ①番(約20cm中枢側):
遠すぎるため、静脈の怒張効果が不十分となり、穿刺が困難になります。また、動脈血流を阻害するリスクも高まります。
②番(約5cm中枢側):適切な範囲(5~10cm)の下限ではありますが、後述する③番(3cm)や④番(15cm)と比較すると、最も適切な「約10cm」が存在するため、この設問では正解となりません。
③番(約15cm中枢側):
やや遠すぎます。静脈の怒張が不十分になる可能性があり、標準的な位置から外れます。
④番(約3cm中枢側):
近すぎます。穿刺部位に近すぎると、駆血帯が穿刺操作の妨げになったり、静脈が十分に怒張しない、あるいは静脈を圧迫しすぎて穿刺できない原因となります。
関連概念の整理 (Related Concepts)駆血帯の適切な圧迫圧も重要です。通常は
収縮期血圧と拡張期血圧の間(約30~60mmHg)、または
橈骨動脈の拍動が触知できる程度に調整します。強く巻きすぎると動脈血流も遮断され、静脈の怒張が得られないばかりか、痛みや神経損傷の原因となります。また、駆血帯の装着時間は
1分以内を目安にし、長時間の装着は避けます(溶血や検査値異常の原因となるため)。
概念整理: 駆血帯装着の目的は「静脈怒張」と「動脈血流の温存」。最適距離は
穿刺部位から約5~10cm中枢側。圧迫圧は
収縮期血圧と拡張期血圧の間、時間は
1分以内。
一目で比較!:
| 駆血帯の位置 | 効果と問題点 |
|---|
| ~3cm | 近すぎる。操作の妨げ、怒張不良 |
| 5~10cm | 適切。 十分な怒張が得られる |
| 15cm~ | 遠すぎる。怒張効果不十分、動脈圧迫のリスク |
看護過程ポイント: 【アセスメント】採血部位の選択(血管の走行、太さ、弾力性、損傷の有無、点滴・シャントの有無)、駆血帯装着の適否。【計画】患者の状態に応じた最適な穿刺部位と方法の計画。【実施】駆血帯を適切な位置と圧で装着し、穿刺後は速やかに解除する。【評価】血液のスムーズな採取、患者の疼痛、血腫の有無。
暗記のコツ: 「駆血帯は、
手のひら一幅分(約10cm)中枢側」とイメージすると覚えやすいです。
国試頻出ポイント: 駆血帯の位置・圧迫時間のほか、
採血困難時の対応(駆血帯を緩める、温罨法、拳を握ってもらうなど)や、
混同注意! 採血後の止血時間(血小板数や抗凝固薬の有無を考慮)も併せて出題されます。
出題パターン注意!: 「静脈採血の手順を正しい順序で選べ」といった一連の流れを問う問題や、「採血時に血腫が生じた場合の対応」など、実際のトラブルシューティングを問う事例問題に発展します。