核心解説
この問題は、
片麻痺 (Hemiplegia) 患者に対する
寝衣交換 (Changing Bed Gown)の基本手技を問うています。重要な原理は、
脱衣は健側から、着衣は麻痺側から行うことです。これは、患者の安全と安楽を確保し、関節への不要な負担や疼痛を避けるための看護技術の基本原則です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
正解は⑤「健側の袖から脱がせ、麻痺側の袖から着せる」です。
最重要! 脱衣時は、先に動かしやすい
健側 (Healthy Side)の袖を抜くことで、麻痺側の上肢を無理に動かす必要がなく、関節への負担と疼痛を最小限に抑えられます。着衣時は、先に動きが制限される
麻痺側 (Paralyzed Side)から袖を通すことで、健側の手で麻痺側の袖を引っ張り込む動作が可能になり、スムーズに着衣を完了できます。この一連の手順は、患者の残存機能を最大限に活用し、
関節保護 (Joint Protection)と
安楽 (Comfort)を実現する根拠に基づいています。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意!
①「麻痺側から脱がせ、麻痺側から着せる」:脱衣を麻痺側から行うと、麻痺した上肢を無理に引っ張ることになり、関節痛や亜脱臼のリスクが高まります。
②「健側から脱がせ、健側から着せる」:着衣を健側から行うと、麻痺側の袖を通すために健側の手を大きく動かす必要があり、不安定な姿勢や転倒のリスクがあります。
③「麻痺側から脱がせ、健側から着せる」:脱衣と着衣の両方の手順が逆であり、どちらの工程でも患者に負担がかかります。
④「両側同時に脱がせ、同時に着せる」:片麻痺患者にとって両側同時の動作は困難であり、この手順は非現実的で危険です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
この原理は、寝衣交換だけでなく、
下肢の衣類交換や
ストッキングの着脱、
ギプスや包帯の着脱など、身体の一部に運動制限がある患者への更衣介助全般に適用されます。麻痺側の関節を保護し、患者の自立を促すという観点から、常に「健側から脱がせ、患側(麻痺側)から着せる」という原則を思い出しましょう。
概念整理: 片麻痺患者の更衣介助の原則は「脱衣は健側から、着衣は麻痺側から」。この原則の根底にあるのは、
患者の残存機能の活用と
関節保護・安楽の確保という看護の基本理念です。
一目で比較!:
| 工程 | 正しい手順 | 誤った手順のリスク |
|---|
| 脱衣 | 健側 → 麻痺側 | 麻痺側から行うと関節痛・亜脱臼リスク |
| 着衣 | 麻痺側 → 健側 | 健側から行うと不安定・転倒リスク |
看護過程ポイント:
アセスメント:麻痺の程度(完全麻痺か不全麻痺か)、関節可動域(ROM)、疼痛の有無、座位バランスの状態を評価。
計画:患者の残存機能を最大限に活かし、安全で安楽な更衣ができるよう、介助の方法と範囲を個別に計画。
実施:声かけをしながら、患者の動きに合わせて介助する。無理に引っ張らず、患者のペースを尊重。
評価:介助後に患者の表情や呼吸状態を観察し、疼痛や不快感がなかったか確認。
暗記のコツ: 「脱ぐのは元気な方から、着るのは不自由な方から」と覚えましょう。または「健側脱、麻痺側着」と語呂合わせで。
国試頻出ポイント: この問題は
高頻出です。単純な手順の暗記だけでなく、「なぜその手順なのか」を根拠で説明できるようにしておきましょう。応用問題として、車椅子移乗や食事介助の順序と組み合わせて出題されることもあります。
出題パターン注意!: 「片麻痺患者の寝衣交換」という単純知識問題から、「脳梗塞で右片麻痺の患者の寝衣交換について、最も適切なのはどれか」という事例形式への発展に注意。常に「麻痺側はどちらか」を正確に把握しましょう。