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問題

終末期にある患者の苦痛緩和を目的とした看護師の対応として最も適切なのはどれか。

解説
終末期の苦痛緩和では、患者の苦痛を適切に評価し、必要に応じて医師に鎮静薬の使用を相談することが看護師の重要な役割である。患者の訴えを否定したり、希望を無視することは患者のQOLを低下させる。
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詳細解説

核心解説 この問題は、終末期医療 (End-of-Life Care) における苦痛緩和と看護師の役割を問うています。特に、患者のQuality of Life (QOL) を維持・向上させるための看護介入の基本姿勢が理解できているかが鍵となります。終末期ケアの核心は、「患者の尊厳を守り、身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな全人的苦痛 (Total Pain)」を緩和することです。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 終末期の患者さんが耐え難い苦痛(特に疼痛や呼吸困難)を訴えている場合、看護師はまず苦痛の程度を適切にアセスメントし、その緩和のために鎮静薬 (Sedation)オピオイド (Opioid) などの薬物療法の必要性を医師に相談することが、患者のQOLを守るための最も適切な対応です。これは、患者の苦痛を放置せず、積極的に関与する姿勢を示しています。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! ②番「痛みの評価は行わない」は明らかに誤りです。終末期ケアでは痛みのアセスメント (Pain Assessment) は必須であり、VASやNRSなどのスケールを用いて定期的に評価する必要があります。③番「患者の希望を聞かずにケアを進める」は、患者の自律性 (Autonomy) を無視する行為であり、看護倫理に反します。④番「患者の訴えを否定し、励ます」は、患者の苦痛を軽視し、孤独感を強める可能性があり、共感と傾聴が求められる終末期ケアでは不適切です。⑤番「家族には患者の状態を伝えない」は、患者と家族の関係性やインフォームドコンセントの観点から適切ではありません。患者の同意を得た上で、状態を適切に伝えることが重要です。 関連概念の整理 (Related Concepts) 終末期ケアにおいては、ホスピス・緩和ケア (Hospice & Palliative Care) の概念が重要です。また、リビングウィル (Living Will)アドバンス・ケア・プランニング (Advance Care Planning, ACP) に基づき、患者の意思を尊重したケアを提供することが求められます。混同注意! 「積極的安楽死」と「鎮静」は異なる概念であり、日本では積極的安楽死は認められていませんが、苦痛緩和を目的とした鎮静は倫理的にも法的にも許容されています。 概念整理: 終末期ケアの目的は「治癒」ではなく「QOLの維持・向上」と「全人的苦痛の緩和」です。看護師は、患者の訴えに真摯に向き合い、症状緩和のために多職種(医師、薬剤師、MSWなど)と連携しながら、最善のケアを提供する役割を担います。
一目で比較!:
対応適切/不適切理由
医師に鎮静薬相談適切患者の苦痛緩和のために積極的に介入を提案する姿勢
痛みの評価をしない不適切苦痛の程度を把握せずに緩和ケアは成立しない
患者の希望を聞かない不適切患者の自律性と尊厳を侵害する
患者の訴えを否定する不適切患者の苦痛を軽視し、精神的ケアとして有害

看護過程ポイント: アセスメント: 「痛み」だけでなく、「呼吸困難」「倦怠感」「不安」「孤独感」など全人的な苦痛をアセスメントする。スピリチュアルペインのサインにも注目する。看護診断: 「慢性疼痛」「非効果的コーピング」「スピリチュアルな苦悩」など。計画・実施: 薬物療法の提案、リラクセーション法、傾聴、マッサージ、環境調整など。評価: 症状の緩和度、患者の表情、発言、QOL評価尺度を用いて評価する。
暗記のコツ: 終末期ケアの基本姿勢は「傾聴 (Active Listening)」と「共感 (Empathy)」です。問題で「患者の訴えを否定する」「希望を聞かない」という選択肢が出たら、まず間違いだと考えましょう。そして「苦痛緩和のために何か行動を起こす(医師に相談するなど)」選択肢が正解になることが多いです。
国試頻出ポイント: 終末期の苦痛緩和、鎮静、リビングウィル、アドバンス・ケア・プランニング、在宅ホスピスケア、倫理的ジレンマ(延命治療の差し控え・中止など)が頻出テーマです。事例問題で出題されやすいので、状況に応じた看護師の対応を考えられるようにしておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「患者が痛みを訴えた時、看護師はまず何をするか」といった具体的な行動を問う状況設定問題への発展が予想されます。また、倫理的なジレンマを抱えた事例で「最も優先すべきことは何か」を問う問題もよく出ます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 終末期の患者さんをケアする現場では、この問題で学んだ知識が直接的に活かされます。 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 末期の肺がん患者、70代女性。モルヒネ持続皮下注射を行っていますが、最近「胸が息苦しい」と強い呼吸困難を訴えるようになりました。表情は苦悶様で、SpO2は90%を下回ることもあります。家族からは「楽にしてあげてほしい」と要望があります。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察とアセスメント: 呼吸困難 (Dyspnea) の程度(呼吸数、SpO2、補助筋使用の有無)、疼痛 (Pain) の有無、不安の程度をアセスメントします。患者の「息苦しい」という主観的訴えを最優先します。 2. 報告と相談: 最重要! 医師にSBAR(S:状況、B:背景、A:アセスメント、R:提案)で報告します。「呼吸困難の増強がみられ、鎮静を含めた症状緩和の必要性があると考えます。ミダゾラムなどの鎮静薬の追加を検討いただけないでしょうか。」と具体的な提案をします。 3. 介入: 医師の指示を受けて、鎮静薬 (Sedation) の持続投与を開始。併せて、酸素療法 (Oxygen Therapy)、安楽な体位の調整、冷罨法、扇風機の使用など非薬物的介入も行います。家族には、鎮静の目的(症状緩和であり、生命を意図的に短縮するものではないこと)を丁寧に説明します。 4. 評価: 鎮静導入後の患者の呼吸状態、表情、苦痛の緩和度を継続的に観察します。鎮静の深度が深くなりすぎていないか(呼吸抑制のリスク)を注意深くモニタリングします。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 呼吸抑制 (Respiratory Depression): 鎮静薬やオピオイドの使用時には、呼吸状態の厳重な監視が必要です。呼吸数が8回/分未満やSpO2が90%未満になった場合は直ちに医師に報告します。 - 誤嚥リスク (Aspiration Risk): 鎮静状態が深くなると、気道反射が低下し誤嚥のリスクが高まります。口腔内ケアや体位管理を徹底します。 - 倫理的配慮: 鎮静はあくまで患者の苦痛緩和が目的であり、生命予後を意図的に短縮するものではないことを、患者・家族・医療チーム間で共通認識として持つことが重要です。 - 家族ケア: 鎮静により患者とのコミュニケーションが取れなくなることへの家族の不安や悲嘆に対しても、丁寧な説明と精神的なサポートが必要です。 看護プロトコル: 鎮静導入後は、RASS (Richmond Agitation-Sedation Scale) などの鎮静スケールを用いて定期的に鎮静の深度を評価します。観察項目は、バイタルサイン、SpO2、呼吸パターン、鎮静スケールスコア、瞳孔径、筋弛緩の程度です。記録は実施後15分、1時間、その後は2~4時間ごとに行います。家族への説明は、必ず医師と連携して行い、統一した情報を提供します。
先輩看護師の一言: 「終末期の患者さんが『もう楽になりたい』と訴える時、それは決して『死にたい』という意味だけではありません。『この苦しみから逃れたい』という悲痛な叫びなんです。私たち看護師は、その叫びを真正面から受け止め、医療チーム全体で患者さんの苦痛をゼロに近づける努力をする責任があります。医師に相談する時も、『患者さんがこう言っています』と伝えるだけでなく、『こうしたら楽になるのではないか』と一緒に考えて提案できる看護師になりましょう。それが、患者さんにとって最期の時間を穏やかに過ごすための力になります。」

重要概念

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