核心解説
この問題は、
低ナトリウム血症 (Hyponatremia) の原因となる病態を問うています。血清ナトリウム値が
135mEq/L未満 となる状態であり、体内の水分とナトリウムのバランス異常が原因です。大きく分けて、水分過剰による希釈性のものと、ナトリウム喪失による欠乏性のものがあります。この問題では、抗利尿ホルモン (ADH) の異常分泌による希釈性低ナトリウム血症の理解が鍵となります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! ②番の
抗利尿ホルモン不適合分泌症候群 (SIADH) は、ADHが過剰に分泌されることで腎臓での水の再吸収が亢進し、体内の水分量が増加します。これにより血液が希釈され、血清ナトリウム濃度が低下する
希釈性低ナトリウム血症 をきたします。SIADHは低ナトリウム血症の代表的な原因の一つであり、国試でも頻出です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①番の腎不全による高カリウム血症は、カリウム排泄障害が原因であり、ナトリウム値に直接的な影響は少なく、むしろ高ナトリウム血症を伴うこともあります。
③番の大量発汗では、水分とともにナトリウムも喪失しますが、通常は水分喪失の割合が大きいため、
高ナトリウム血症 をきたすことが多いです。
④番の糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) では、高血糖による浸透圧利尿で水分が多量に失われ、
高ナトリウム血症 を呈することが一般的です。
⑤番の原発性アルドステロン症は、アルドステロン過剰によりナトリウム再吸収が亢進するため、
高ナトリウム血症 と低カリウム血症を特徴とします。
関連概念の整理 (Related Concepts):
低ナトリウム血症の原因は、体内の水分量(細胞外液量)の状態によって分類すると理解しやすくなります。SIADHは
等張性(または軽度低張性)体液量過剰 の状態です。一方、利尿薬の使用やアジソン病(副腎皮質機能低下症)では
体液量減少性低ナトリウム血症 を、心不全や肝硬変では
体液量過剰性低ナトリウム血症 をきたすことがあります。これらとSIADHの鑑別は非常に重要です。
概念整理: 低ナトリウム血症は、血清Na
135mEq/L未満。原因は大きく「水分過剰(希釈性)」と「ナトリウム喪失(欠乏性)」に分けられる。SIADHはADH過剰による希釈性の代表例。
一目で比較!:
| 病態 | 血清Na | 細胞外液量 | 主な機序 |
|---|
| SIADH | 低値 | 過剰 | ADH過剰による水再吸収亢進 |
| 大量発汗 | 高値 | 減少 | 水分喪失がNa喪失より優位 |
| 原発性アルドステロン症 | 高値 | 過剰 | アルドステロン過剰によるNa再吸収亢進 |
| 糖尿病性ケトアシドーシス | 高値 | 減少 | 浸透圧利尿による水分喪失 |
看護過程ポイント:
アセスメント:血清Na値、尿中Na濃度、尿浸透圧、体重、浮腫の有無、バイタルサインを確認。SIADHでは尿中Na濃度が上昇し、尿浸透圧が血漿浸透圧より高くなる。
看護介入:SIADHでは水分制限が治療の基本。重症例では高張食塩水(3%NaCl)の投与が行われるが、急激な補正は中枢性橋髄鞘崩壊症(CPM)のリスクがあるため、慎重なモニタリングが必要。
暗記のコツ: SIADH = 「水が溜まりすぎてNaが薄まる」 → 「水の異常貯留 = 希釈性低Na」。アルドステロン症 = 「Naをため込むホルモン過剰 = 高Na」とセットで覚えましょう。
国試頻出ポイント: SIADHの原因(肺小細胞癌、頭部外傷、髄膜炎など)や治療(水分制限、デモクロサイクリン、バプタン系薬剤)も併せて出題される。また、SIADHと脳性塩類喪失症候群(CSWS)の鑑別(CSWSは体液量減少、尿中Na高値)は高難度問題で問われることがある。
出題パターン注意!: 「低ナトリウム血症をきたす疾患はどれか」という単純知識問題から、「SIADHの患者に実施すべき看護ケアはどれか」という状況設定問題へ発展する。特に、水分制限の指示の確認や、神経症状(意識障害、痙攣)の観察が問われる。