血清ナトリウム濃度が150mEq/Lを示す患者の状態として最も適切なのはどれか。 | MyMerci
内部環境調節機能の障害
問題

血清ナトリウム濃度が150mEq/Lを示す患者の状態として最も適切なのはどれか。

解説
血清ナトリウム濃度150mEq/Lは高ナトリウム血症(基準値136-145mEq/L)を示しており、高張性脱水の状態が考えられます。高張性脱水は、水分喪失がナトリウム喪失より多い場合(発熱、尿崩症、糖尿病性ケトアシドーシスなど)に生じます。

詳細解説

核心解説 この問題は、血清ナトリウム値と脱水の種類に関する基本的な知識を問うています。血清ナトリウム濃度(Serum Sodium Concentration)は、体内の水分と電解質のバランスを評価する上で極めて重要な指標です。基準値は 136~145 mEq/L であり、150 mEq/L は明らかな 高ナトリウム血症 (Hypernatremia) を示します。この病態の核心は、体内の水分量に対してナトリウム(Na)が相対的に過剰な状態、すなわち 水分欠乏がナトリウム欠乏を上回る ことです。これを 高張性脱水 (Hypertonic Dehydration) と呼びます。発熱、真性尿崩症(Diabetes Insipidus)、糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic Ketoacidosis, DKA)など、水分喪失が亢進する病態で生じやすく、細胞外液の浸透圧が上昇するため、細胞内から細胞外へ水分が移動し、細胞内脱水を来たします。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 血清Na値 150 mEq/L は高ナトリウム血症です。高ナトリウム血症は、水分喪失量がナトリウム喪失量を上回る病態、すなわち 高張性脱水 (Hypertonic Dehydration) を反映します。例えば、発熱による不感蒸泄の増加や、尿崩症による大量の低張尿排泄などが原因となります。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! ①番の低張性脱水(Hypotonic Dehydration)は、血清Na値が 135 mEq/L未満(低ナトリウム血症)となる状態です。ナトリウム喪失が水分喪失より多い場合(例:嘔吐、下痢、利尿薬の過剰使用)に生じます。 ③番の等張性脱水(Isotonic Dehydration)は、血清Na値が正常範囲内であり、水分とナトリウムが等しく喪失した状態です(例:出血、火傷の初期)。血清Na値が異常値を示すこの問題の病態とは異なります。 ④番の浮腫(Edema)は、細胞外液量が増加した状態であり、一般的に血清Na値は正常か低下します(低ナトリウム血症を伴うことが多い)。高ナトリウム血症ではむしろ細胞内脱水が生じ、浮腫は認められません。 ⑤番の水中毒(Water Intoxication)は、水分過剰摂取により血清Na値が 低下(低ナトリウム血症)する病態です。腎機能低下患者や抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)などで見られます。 関連概念の整理 (Related Concepts) 脱水の分類と血清Na値の関係を必ず整理しておきましょう。
脱水の種類血清Na値主な原因病態
高張性脱水上昇 ( >145 mEq/L)発熱、尿崩症、DKA、水分摂取不足
等張性脱水正常 (136-145 mEq/L)出血、熱傷、嘔吐・下痢(初期)
低張性脱水低下 (

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 80代女性、誤嚥性肺炎で入院。発熱(38.5℃)が続き、意識レベルがやや低下(JCS I-2)。経口摂取が不良で、点滴管理中です。朝の血液検査で血清Na値 152 mEq/L と高値が判明しました。看護師として、まず何をアセスメントし、どのように介入すべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察: バイタルサイン(体温、脈拍、血圧、呼吸状態)意識レベル(JCS/GCS)体液量の指標(皮膚ツルゴール、口腔粘膜の乾燥、尿量、体重変化)を確認します。特に、高齢者は口渇感が鈍麻していることが多いため、訴えに頼らず観察が重要です。 2. アセスメント: 発熱による不感蒸泄の増加と経口摂取不足が重なり、高張性脱水 を来しているとアセスメントします。意識レベルの低下は、細胞内脱水による中枢神経症状の可能性があります。 3. 報告(SBAR): 「医師へ報告します。【S(状況)】80代女性、誤嚥性肺炎の患者さんで、本日の血液検査でNa 152 mEq/Lの高値を認めました。【B(背景)】発熱が続いており、経口摂取不良です。【A(アセスメント)】高張性脱水の状態と考えられます。【R(提案)】輸液の増量または低張液への変更についてご指示をいただけますか?」 4. 介入: 医師の指示に基づき、5%ブドウ糖液や低張性電解質輸液 の投与を開始します。この時、急激な補正は脳浮腫を誘発する危険性があるため、速度の設定は医師の指示を厳守し、慎重に行います。また、患者の覚醒時に経口摂取を促す環境を整えます。 5. 評価: 輸液開始後、定期的に血清Na値、尿量、意識レベルを再評価します。Na値の補正速度は、24時間で8~10 mEq/Lを超えないことが目安とされています。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - 最重要! 高齢者は口渇中枢の感受性が低下しているため、脱水に気づきにくい。 - 意識障害がある患者では、転倒・転落リスクが高いため、ベッド柵の使用やセンサーマットの設置などの環境整備を行う。 - 高ナトリウム血症の補正中は、神経症状(意識障害の悪化、痙攣)の出現に注意する。 看護プロトコル: 観察項目:バイタルサイン、意識レベル、尿量(1時間ごと)、血清Na値(6~12時間ごと)、体重(毎日)。記録のポイント:輸液量と尿量のバランス(I/Oバランス)、意識レベルの変化、医師への報告内容と指示。
先輩看護師の一言: 「高張性脱水は『細胞が渇いている』状態です。患者さんは『喉が渇いた』と訴えられないかもしれません。だからこそ、私たち看護師が検査値の異常を見逃さず、アセスメントして、適切なタイミングで医師に報告し、輸液管理を徹底することが命を守ることに直結します。国試では『水と電解質のバランス』は頻出です。単語暗記ではなく、『なぜそうなるのか』を身体のしくみと一緒に理解してくださいね!」

重要概念

  • 高ナトリウム血症 — 血清ナトリウム濃度が145 mEq/Lを超えた状態。細胞外液の浸透圧上昇により、細胞内脱水を引き起こす。
  • 高張性脱水 — 水分喪失がナトリウム喪失より多い脱水。血清Na値は上昇し、細胞内脱水が主体となる。
  • 等張性脱水 — 水分とナトリウムが等しく喪失する脱水。血清Na値は正常範囲内に保たれる。
  • 低張性脱水 — ナトリウム喪失が水分喪失より多い脱水。血清Na値は低下し、細胞外液量減少が主体となる。
  • 血清ナトリウム基準値 — 136~145 mEq/L。この範囲を外れると、様々な病態(脱水症、電解質異常など)が疑われる。

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