| 脱水の種類 | 血清Na値 | 主な原因病態 |
|---|---|---|
| 高張性脱水 | 上昇 ( >145 mEq/L) | 発熱、尿崩症、DKA、水分摂取不足 |
| 等張性脱水 | 正常 (136-145 mEq/L) | 出血、熱傷、嘔吐・下痢(初期) |
| 低張性脱水 | 低下 (
臨床シナリオ臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 80代女性、誤嚥性肺炎で入院。発熱(38.5℃)が続き、意識レベルがやや低下(JCS I-2)。経口摂取が不良で、点滴管理中です。朝の血液検査で血清Na値 152 mEq/L と高値が判明しました。看護師として、まず何をアセスメントし、どのように介入すべきでしょうか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察: バイタルサイン(体温、脈拍、血圧、呼吸状態)、意識レベル(JCS/GCS)、体液量の指標(皮膚ツルゴール、口腔粘膜の乾燥、尿量、体重変化)を確認します。特に、高齢者は口渇感が鈍麻していることが多いため、訴えに頼らず観察が重要です。
2. アセスメント: 発熱による不感蒸泄の増加と経口摂取不足が重なり、高張性脱水 を来しているとアセスメントします。意識レベルの低下は、細胞内脱水による中枢神経症状の可能性があります。
3. 報告(SBAR): 「医師へ報告します。【S(状況)】80代女性、誤嚥性肺炎の患者さんで、本日の血液検査でNa 152 mEq/Lの高値を認めました。【B(背景)】発熱が続いており、経口摂取不良です。【A(アセスメント)】高張性脱水の状態と考えられます。【R(提案)】輸液の増量または低張液への変更についてご指示をいただけますか?」
4. 介入: 医師の指示に基づき、5%ブドウ糖液や低張性電解質輸液 の投与を開始します。この時、急激な補正は脳浮腫を誘発する危険性があるため、速度の設定は医師の指示を厳守し、慎重に行います。また、患者の覚醒時に経口摂取を促す環境を整えます。
5. 評価: 輸液開始後、定期的に血清Na値、尿量、意識レベルを再評価します。Na値の補正速度は、24時間で8~10 mEq/Lを超えないことが目安とされています。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
- 最重要! 高齢者は口渇中枢の感受性が低下しているため、脱水に気づきにくい。
- 意識障害がある患者では、転倒・転落リスクが高いため、ベッド柵の使用やセンサーマットの設置などの環境整備を行う。
- 高ナトリウム血症の補正中は、神経症状(意識障害の悪化、痙攣)の出現に注意する。
看護プロトコル: 観察項目:バイタルサイン、意識レベル、尿量(1時間ごと)、血清Na値(6~12時間ごと)、体重(毎日)。記録のポイント:輸液量と尿量のバランス(I/Oバランス)、意識レベルの変化、医師への報告内容と指示。
先輩看護師の一言: 「高張性脱水は『細胞が渇いている』状態です。患者さんは『喉が渇いた』と訴えられないかもしれません。だからこそ、私たち看護師が検査値の異常を見逃さず、アセスメントして、適切なタイミングで医師に報告し、輸液管理を徹底することが命を守ることに直結します。国試では『水と電解質のバランス』は頻出です。単語暗記ではなく、『なぜそうなるのか』を身体のしくみと一緒に理解してくださいね!」 重要概念
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。 |