核心解説
この問題は、
浮腫 (Edema) の発生機序を正しく理解しているかを問うています。浮腫とは、組織間液(Interstitial Fluid)が過剰に貯留した状態であり、その発生には毛細血管内外の圧力バランスの異常が関与します。
最重要! 毛細血管における水分移動は、
Starlingの力 (Starling Forces) によって規定されます。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): 浮腫の機序は以下の4つに大別されます。
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毛細血管内圧の上昇: 心不全などで静脈圧が上昇し、濾過圧が亢進。
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血漿膠質浸透圧の低下: 低アルブミン血症(肝硬変、ネフローゼ症候群)で水分が血管外へ移動。
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毛細血管透過性の亢進: 炎症(熱傷、感染)で血管内皮が障害され、タンパク質と水分が漏出。
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リンパ管の閉塞: リンパ浮腫(がん転移、フィラリア症)で間質液の回収が障害。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢2「
血漿ナトリウム濃度の低下(低ナトリウム血症 Hyponatremia)」は浮腫の直接的な発生機序とはなりません。低ナトリウム血症では、血漿浸透圧が低下するため、むしろ水分は血管内から細胞内へ移動し(細胞内浮腫)、血管外の組織間液量は増加しにくいのです。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①リンパ管の閉塞:
混同注意! 正しい機序です。リンパ管は間質液を回収するため、閉塞すると浮腫を生じます(リンパ浮腫 Lymphedema)。
- ③血漿膠質浸透圧の低下: 正しい機序です。膠質浸透圧は主に
アルブミン (Albumin) によって維持され、低下により水分が血管外に漏出します。
- ④毛細血管内圧の上昇: 正しい機序です。例:
右心不全 (Right Heart Failure) で生じる下肢浮腫。
- ⑤毛細血管透過性の亢進: 正しい機序です。例:
急性炎症 (Acute Inflammation) による局所浮腫。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts):
混同注意! 「ナトリウム (Sodium)」と「浸透圧 (Osmotic Pressure)」の関係を押さえましょう。Na+は細胞外液の主要な陽イオンであり、血漿浸透圧(膠質浸透圧ではなく、晶質浸透圧)を維持します。低Na血症では血漿浸透圧が低下し、細胞内に水分が移動します(細胞膨張)。浮腫(組織間液増加)とは方向性が異なります。
概念整理:
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浮腫の4大機序:
1.毛細血管内圧↑(心不全)、
2.血漿膠質浸透圧↓(低アルブミン血症)、
3.毛細血管透過性↑(炎症)、
4.リンパ管閉塞(リンパ浮腫)。
- 低Na血症は細胞内浮腫(脳浮腫)の原因となるが、一般的な組織間液の浮腫(下肢・肺)の直接機序ではない。
一目で比較!:
| 機序 | 代表疾患 | 例 |
|---|
| 毛細血管内圧↑ | 心不全、静脈血栓症 | 右心不全の下肢浮腫 |
| 血漿膠質浸透圧↓ | 肝硬変、ネフローゼ症候群 | 低アルブミン血症による全身性浮腫 |
| 透過性↑ | 炎症、アナフィラキシー | 血管性浮腫(蕁麻疹) |
| リンパ管閉塞 | がんリンパ節転移、フィラリア症 | リンパ浮腫(象皮病) |
看護過程ポイント:
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アセスメント: 浮腫の部位(両側性?片側性?)、圧痕(Pitting Edema)の有無、皮膚の緊張・光沢、体重増加、バイタルサイン(特に呼吸状態)。
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看護診断: 「
体液過剰 (Excess Fluid Volume)」または「
皮膚統合性障害のリスク (Risk for Impaired Skin Integrity)」。
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看護介入: 浮腫肢の挙上、弾性ストッキングの着用、低塩食の指導(心不全・腎不全の場合)、厳重な出入水量のバランス管理。
暗記のコツ:
- 「毛(毛細血管内圧↑)、血(血漿膠質浸透圧↓)、透(透過性↑)、リ(リンパ管閉塞)」と覚えましょう! 浮腫の4大機序です。低Na血症は「偽りの選択肢」と認識。
国試頻出ポイント:
- 浮腫の原因と機序の組み合わせは頻出。
ネフローゼ症候群 (Nephrotic Syndrome) → 低アルブミン血症 → 血漿膠質浸透圧低下。
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右心不全 (Right Heart Failure) → 静脈圧上昇 → 毛細血管内圧上昇。
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リンパ浮腫 (Lymphedema) → 乳がん術後の腋窩リンパ節郭清後など。
出題パターン注意!:
- 単純な「機序の誤り」から、事例問題「
肝硬変 (Liver Cirrhosis) の患者に浮腫が出現。その機序は?」へ発展。病態生理と看護介入を結びつけて考えましょう。