下肢の慢性静脈不全 (CVI) の診断に有用な検査はどれか。 | MyMerci
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循環機能の障害
問題

下肢の慢性静脈不全 (CVI) の診断に有用な検査はどれか。

解説
慢性静脈不全の診断には、静脈の逆流や閉塞を評価できる静脈超音波検査が有用である。ABIは動脈疾患の評価に用いられ、トレッドミル負荷試験は間欠性跛行の評価に用いられる。
同じテーマの次の問題閉塞性動脈硬化症 (ASO) の初期症状として最も適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、下肢の慢性静脈不全 (Chronic Venous Insufficiency, CVI) の診断に最も適した検査を問うています。CVIは、下肢の静脈弁の機能不全や静脈壁の脆弱性により、静脈血が心臓へ効率的に戻らずうっ滞 (Venous Stasis)を起こす病態です。診断の目的は、静脈の逆流(Reflux)や閉塞(Obstruction)の有無とその部位・程度を評価することにあります。

正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 静脈超音波検査 (Venous Duplex Ultrasound) が正解です。この検査は、Bモード(断層像)で静脈壁や血栓の状態を観察し、ドプラ法(Doppler)で血流速度や方向を評価します。特に、バルサルバ手技 (Valsalva maneuver)や遠位圧迫(Distal compression)を行い、静脈弁の逆流をリアルタイムで確認できるため、CVIの診断におけるゴールドスタンダードです。

誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!胸部X線撮影 (Chest X-ray):心臓や肺の形態評価には有用ですが、下肢静脈の評価には全く適しません。
トレッドミル負荷試験 (Treadmill Exercise Test):主に下肢動脈疾患 (Peripheral Arterial Disease, PAD)による間欠性跛行 (Intermittent Claudication)の評価に用いられます。CVIでは使用しません。
心電図 (Electrocardiogram, ECG):心臓の電気的活動を記録する検査で、不整脈や心筋虚血の評価に用います。静脈疾患の診断には無関係です。
アンクルブラキアルインデックス (Ankle-Brachial Index, ABI):足首の血圧を上腕の血圧で割った値で、動脈硬化や閉塞性動脈硬化症 (ASO)のスクリーニングに必須の検査です。CVIの診断には使いません。逆に、CVIが進行すると浮腫 (Edema)色素沈着 (Hyperpigmentation)により正確な測定が困難になることもあります。

関連概念の整理 (Related Concepts)
CVIの診断では、病歴(下肢の重だるさ、夕方の浮腫)と視診(下腿下部のクモ状静脈瘤 (Telangiectasias)・浮腫・色素沈着・脂肪皮膚硬化症 (Lipodermatosclerosis)・潰瘍 (Venous Ulcer))も重要です。治療は圧迫療法(弾性ストッキング)が基本であり、重症例では静脈瘤切除術(ストリッピング)や血管内治療(レーザー・高周波焼灼)が行われます。PADとの鑑別が重要で、ABIが異常値を示す場合は動脈疾患を疑います。

概念整理: 慢性静脈不全 (CVI) vs 閉塞性動脈硬化症 (ASO)
項目CVI (静脈)ASO (動脈)
主症状夕方の浮腫、重だるさ、安静時改善間欠性跛行(歩行時痛、休憩で改善)
皮膚所見色素沈着、脂肪皮膚硬化症、静脈瘤蒼白、冷感、潰瘍(壊疽)
潰瘍の位置内果(内くるぶし)周囲が好発趾(ゆび)や踵(かかと)
診断検査静脈超音波ABI、トレッドミル負荷

一目で比較!: CVIと深部静脈血栓症 (DVT) は密接に関連します。DVTの後遺症としてCVIが発症することがあり、これを血栓後症候群 (Post-thrombotic Syndrome, PTS)と呼びます。両者の鑑別には静脈超音波検査が不可欠です。
看護過程ポイント: アセスメントでは、患者の下肢の浮腫の性状(指圧痕の有無)、皮膚の色調・温度、潰瘍の有無と部位を観察します。 看護診断の例としては、「末梢組織灌流低下(静脈性)」や「皮膚統合性の障害リスク状態」が挙げられます。 介入では、弾性ストッキングの適切な着用指導(朝一番に履く、毎日洗濯、ひび割れやよじれがないか確認)、下肢挙上(心臓より高い位置)、適度な歩行促進が中心です。
暗記のコツ: 「静脈のトラブルは『超音波』で見る!」と覚えましょう。動脈のトラブル(ABI)とセットで暗記すると、国試で混同しなくなります。「静脈 = 超音波(逆流)」、「動脈 = ABI(狭窄)」です。
国試頻出ポイント: CVIの診断だけでなく、その合併症である静脈性潰瘍 (Venous Ulcer)の看護(特に圧迫療法と創傷ケア)と、動脈性潰瘍との鑑別ポイントが頻出です。また、手術後の看護(弾性包帯の巻き方、体位、合併症予防)もよく出題されます。
出題パターン注意!: 「CVI患者の下肢に潰瘍がみられた。看護師の対応として適切なのはどれか。」という事例問題に発展します。動脈性潰瘍との鑑別が鍵となり、動脈性潰瘍への圧迫療法は禁忌(虚血が増悪する)ことを確実に覚えておきましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
50代女性、訪問看護利用。数年前から下肢の浮腫と重だるさを自覚。最近、左内果(内くるぶし)周囲に難治性の潰瘍が出現し、滲出液も多い。医師からCVIと診断され、在宅での圧迫療法が開始となりました。訪問看護師として初回訪問時、どのようなアセスメントと指導を行いますか?

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察: まず、下肢全体の皮膚状態を観察します。浮腫の程度(指圧痕の有無・深さ)、皮膚の色(暗紫色の色素沈着の有無)、潰瘍の大きさ・深さ・壊死組織の有無、滲出液の性状・量・臭い、周囲の発赤(蜂窩織炎の兆候)を確認。同時に、ABIを測定し、ABI 0.9~1.3の正常範囲内であることを確認します。ABI 0.8以下の場合は動脈疾患合併が疑われ、圧迫療法の禁忌となるため医師への報告が必要です。
2. アセスメント: 観察結果から、CVIの進行度と圧迫療法の適応を判断。潰瘍周囲の皮膚が脆弱で、滲出液が多い場合、創傷被覆材の選択や圧迫の強さの調整が必要です。患者のADL(歩行能力、食事・入浴の自立度)もアセスメントし、日常生活での圧迫療法継続の障壁を評価します。
3. 介入: 最重要! 弾性ストッキングまたは多層性弾性包帯を使用した圧迫療法を開始。圧迫の強さは、軽度浮腫で20-30mmHg、潰瘍がある場合は30-40mmHgが目安です。着用指導では、「朝、ベッドから起き上がる前に履く」「1日中使用する」「夜は脱ぐ」を徹底。潰瘍部には、滲出液をコントロールするための適切な創傷被覆材(例:ハイドロファイバー、フォーム材)を選択し、圧迫の下に適用します。また、下肢挙上(少なくとも15-30分/回、1日3-4回)と軽度の歩行を促します。
4. 評価: 次回訪問時に、浮腫の軽減度、潰瘍の縮小傾向、疼痛の有無、弾性ストッキングの着用状況を再評価。圧迫が強すぎて下肢末端の冷感やしびれが出現していないか(動脈血行障害の兆候)を必ず確認します。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 圧迫療法の禁忌: 閉塞性動脈硬化症 (ABI < 0.8)うっ血性心不全 (CHF)(浮腫が心性の場合、圧迫で前負荷が増大し心不全が悪化する可能性)、重度の末梢神経障害
- 感染兆候(発熱、潰瘍周囲の発赤・熱感・悪臭の増強)を見逃さない。蜂窩織炎 (Cellulitis) が疑われる場合は、直ちに医師へ報告し、抗菌薬の投与を検討します。
- 弾性ストッキングの着脱が困難な高齢者や変形性関節症患者には、補助具(ストッキングエイド)の導入を検討します。

看護プロトコル: SBAR報告例
S (Situation): 「CVIで訪問看護中の〇〇さんですが、左内果の潰瘍の滲出液が増加し、周囲に発赤が認められます。」
B (Background): 「患者は50代女性、CVIで圧迫療法開始後2週間。ABIは0.95でした。」
A (Assessment): 「蜂窩織炎の可能性が考えられます。潰瘍のサイズは1.5cmで変化なし。」
R (Recommendation): 「抗菌薬の内服開始が必要か、医師の診察を依頼します。また、創傷被覆材の変更も検討してください。」

先輩看護師の一言: 「CVIの患者さんで一番大切なのは、『圧迫療法』が正しく継続できることです。患者さんは『ストッキングが暑い、痒い、脱ぎにくい』と様々な理由で中断しがち。『なぜこれを履くのか(潰瘍を治すため、痛みを和らげるため)』を丁寧に説明し、一緒に生活に合わせた工夫を考えてあげてください。国試でも『CVI患者の看護で最も重要なのはどれか』と聞かれたら、迷わず『圧迫療法』と答えましょう!」

重要概念

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