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疾病に対する医療
問題

70歳男性。肺炎のため抗菌薬治療を開始した。治療開始後3日目に発熱と咳嗽が改善傾向を示さず、新たに下痢が出現した。便培養でClostridioides difficile毒素が検出された。この患者に対する治療として最も適切なのはどれか。

解説
Clostridioides difficile感染症 (CDI) の治療では、原因となっている抗菌薬を可能な限り中止または変更し、抗CDI薬を投与する。軽症から中等症の初発CDIにはメトロニダゾール経口投与が第一選択となる。重症例や再発例にはバンコマイシン経口投与が推奨される。
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詳細解説

核心解説 この問題は、抗菌薬治療中に発症した Clostridioides difficile感染症 (CDI) に対する治療法の選択を問うています。CDIは、抗菌薬投与により腸内細菌叢のバランスが崩れ、C. difficile が異常増殖することで発症します。治療の基本は、原因抗菌薬の中止または変更、そして抗CDI薬の投与です。 正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! CDIの治療では、まず原因となっている抗菌薬を可能な限り 中止または変更 することが第一歩です。その後、症状の重症度に応じて抗CDI薬を選択します。軽症から中等症の初発CDIには、メトロニダゾール (Metronidazole) の経口投与が第一選択となります。重症例や再発例には、バンコマイシン (Vancomycin) の経口投与が推奨されます。本症例は「発熱と咳嗽の改善傾向なし」という情報から、重症度は中等症と考えられるため、④番が最も適切です。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の「現在の抗菌薬を変更せず、バンコマイシンの経口投与を追加」は、バンコマイシンが重症例や再発例に推奨される点、および原因薬剤を継続している点で不適切です。
②番の「現在の抗菌薬を増量し、プロバイオティクスを併用」は、原因薬剤の増量はCDIを悪化させるリスクがあり、プロバイオティクスの有効性は確立されていません。
③番の「現在の抗菌薬を継続し、止痢薬を追加」は、禁忌です。止痢薬の使用は毒素の排泄を妨げ、症状を悪化させる可能性があるため、CDIでは使用しません。
⑤番の「現在の抗菌薬を中止し、経過観察する」は、軽症例では原因薬剤の中止のみで改善することもありますが、本症例では既に下痢が出現しており、抗CDI薬による治療が必要です。 概念整理
項目内容
疾患Clostridioides difficile感染症 (CDI)
原因抗菌薬投与による腸内細菌叢の撹乱とC. difficileの異常増殖
治療原則① 原因抗菌薬の中止または変更 ② 抗CDI薬投与(軽症~中等症初発: メトロニダゾール経口 / 重症・再発: バンコマイシン経口)
禁忌事項止痢薬(ロペラミド等)の使用は禁忌
一目で比較!
病態メトロニダゾール (Metronidazole)バンコマイシン (Vancomycin)
適応軽症~中等症の初発CDI重症CDI / 再発CDI
投与経路経口 (経口摂取困難時は静注も可)経口 (経口摂取困難時は注腸も可)
特徴安価、腸管への移行性良好高価、腸管内で高濃度を維持
看護過程ポイント
アセスメント: 下痢の頻度・性状(水様便、粘血便の有無)、腹痛、発熱の有無、脱水の程度(バイタルサイン、皮膚ツルゴール、尿量)を観察します。便培養検査の結果を確認し、CDIと診断された場合は、感染対策(接触感染予防策)の徹底が重要です。
看護診断: 下痢 (Diarrhea) / 感染リスク状態 (Risk for Infection) / 体液量不足リスク状態 (Risk for Deficient Fluid Volume)
介入: 医師の指示に基づき抗CDI薬を確実に投与します。下痢による脱水を予防するため、経口補水または輸液療法を行います。患者のトイレ介助やおむつ交換を適宜行い、スキンケアを徹底します。接触感染予防策として、手袋・ガウン着用、専用の体温計や血圧計の使用、個室隔離を検討します。 暗記のコツ
「CDIの治療は『原因薬をやめて、CDIに効く薬を飲む』」と覚えましょう。軽症なら「メトロ」(メトロニダゾール)、重症なら「バンコ」(バンコマイシン)と、頭文字で区別すると良いでしょう。 国試頻出ポイント
CDIは、抗菌薬の副作用として頻出のテーマです。原因薬剤の中止・変更が治療の第一選択であり、止痢薬の使用は禁忌であることがポイントです。また、メトロニダゾールとバンコマイシンの使い分け(軽症・中等症 vs 重症・再発)もよく問われます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
あなたは内科病棟の看護師です。70歳男性のA氏が肺炎のため入院し、レボフロキサシンの点滴投与を受けています。治療開始3日目、A氏から「昨夜からお腹がゴロゴロして、今朝は水のような下痢が3回ありました。熱も下がらないんです。」と報告がありました。あなたはすぐにA氏の状態をアセスメントする必要があります。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察と報告: A氏の下痢の性状(水様便、頻度、量)、腹痛、発熱、バイタルサイン(血圧、脈拍、体温)、脱水のサイン(口渇、皮膚ツルゴール低下、尿量減少)を確認します。直ちに医師に報告し、SBAR を用いて状況を伝えます(例:「A氏、70歳男性、肺炎でレボフロキサシン投与中。今朝から水様性下痢が3回あり、発熱も持続。CDIを疑います。」)。 2. 検査・処置の準備: 医師の指示で、便培養検査(C. difficile毒素検査)の検体を採取します。感染対策として、接触感染予防策 を開始します(個室隔離、手袋・ガウン着用、専用器具の使用)。 3. 治療とケア: 医師の指示に従い、原因抗菌薬の中止と抗CDI薬(本例ではメトロニダゾール経口)の投与を開始します。下痢による脱水を防ぐため、経口補水液や輸液を管理します。肛門周囲のスキンケアを徹底し、スキントラブルを予防します。 4. 評価: 下痢の頻度と性状、発熱の経過、全身状態の改善を継続的に評価します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
最重要! CDI患者には 止痢薬(ロペラミドなど) を絶対に使用しないでください。毒素の排泄を妨げ、中毒性巨大結腸症を引き起こすリスクがあります。また、接触感染予防策 を徹底し、芽胞はアルコール消毒に抵抗性があるため、石けんと流水での手洗い を励行します。 看護プロトコル
- 観察項目: 下痢の頻度・性状・量、腹痛、発熱、バイタルサイン、脱水サイン、血液検査(白血球数、CRP、腎機能) - 報告基準 (SBAR): Situation (状況) / Background (背景) / Assessment (アセスメント) / Recommendation (推奨) - 記録のポイント: 下痢の発症時期、性状(ブリストル便性状スケール)、頻度、随伴症状、行ったケアとその反応 先輩看護師の一言
「抗菌薬投与中の患者さんが新たに下痢を訴えたら、まずCDIを疑いましょう!そして、原因薬剤をすぐに医師に報告して中止することが、治療のスタートラインです。『とりあえず止痢薬』は絶対にダメ!国試でも現場でも必ず出会う重要な知識なので、しっかり覚えてくださいね!」

重要概念

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