核心解説
この問題は、受精後の初期発生、特に
卵割 (Cleavage)と呼ばれる細胞分裂の特徴を問うています。卵割期は、受精卵が
卵管 (Fallopian Tube)を下降しながら進む過程で起こり、細胞数が急激に増加します。このときの重要なポイントは、
細胞分裂が起こっても受精卵全体の総体積はほとんど変化しないことです。つまり、細胞は大きくなるのではなく、分裂するたびに小さくなっていきます。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 卵割期では、母胎からの栄養供給に依存せず、受精卵自身の細胞質内に蓄えられた栄養(卵黄)を使って分裂が進みます。そのため、
割球 (Blastomere)と呼ばれる個々の細胞は、分裂の度に細胞質が二等分され、細胞数は増える一方で1つ1つの細胞サイズは減少します。桑実胚 (Morula) の段階(約16細胞期)でも、この特徴は変わりません。したがって、選択肢2「細胞数は増加するが個々の細胞サイズは減少する」が正解です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①番:受精後の通常の細胞分裂(体細胞分裂)をイメージすると、細胞が成長してから分裂すると思いがちですが、卵割期は特殊で、個々の細胞は大きくなりません。
③番:細胞数とサイズの両方が増加するのは、卵割期以降の
胚盤胞 (Blastocyst)着床後や胎児期の成長過程です。卵割期では起こりません。
④番:細胞数が減少することはありません。
⑤番:細胞サイズが変わらないというのも誤りです。確実に減少します。
関連概念の整理 (Related Concepts):
卵割の過程を時系列で整理すると、
受精卵 (Zygote)(1細胞)→
2細胞期 →
4細胞期 →
桑実胚 (Morula)(約16細胞)→
胚盤胞 (Blastocyst)(約100細胞以上)へと進みます。胚盤胞期になると細胞間に
胚盤胞腔 (Blastocoel)という空洞ができ、総体積は増加し始めます。
概念整理:
卵割 (Cleavage)とは、受精卵が細胞分裂を繰り返し、細胞数を増やしながらも総体積を変えずに進む特殊な細胞分裂のこと。
割球 (Blastomere)は、卵割によって生じた個々の細胞で、分裂ごとにサイズが小さくなる。
一目で比較!:
| 特徴 | 卵割期 (桑実胚まで) | 着床後・胎児期 |
|---|
| 細胞数 | 増加する | 増加する |
| 個々の細胞サイズ | 減少する | 増加する |
| 総体積 | ほぼ不変 | 増加する |
| 栄養源 | 卵黄 (細胞質内) | 母体からの供給 |
暗記のコツ: 「卵割」という言葉を「卵(受精卵)を割る」とイメージしましょう。1つの卵(大きなケーキ)をどんどん細かく切っていく(割っていく)と、切った数(細胞数)は増えますが、1切れ(細胞)はどんどん小さくなりますね。総体積(ケーキ全体の大きさ)は変わりません。
国試頻出ポイント: 卵割期の細胞分裂の特徴は、母性看護学や発生学の基礎として頻出です。「細胞数増加」「細胞サイズ減少」「総体積不変」の3点セットで覚えましょう。また、桑実胚が子宮に到達し、胚盤胞へと変化する過程も合わせて問われることが多いです。