子宮の位置を保持する靭帯のうち、子宮頸部から骨盤側壁に伸び、子宮を前方に牽引するのはどれか。 | MyMerci
生殖と老化
問題

子宮の位置を保持する靭帯のうち、子宮頸部から骨盤側壁に伸び、子宮を前方に牽引するのはどれか。

解説
円靭帯は子宮角から鼠径管を通って大陰唇に至り、子宮を前方に牽引する。子宮仙骨靭帯は子宮頸部から仙骨に付着し子宮を後方に牽引する。基靭帯は子宮頸部を骨盤側壁に固定する。

詳細解説

核心解説 この問題は、女性生殖器の解剖学において、子宮 (Uterus) の位置を保持する靭帯 (Ligaments) の名称とその機能を問うています。子宮は骨盤腔内で複数の靭帯によって支えられており、それぞれが異なる方向に牽引することで、子宮の正常な位置(前傾前屈位)を維持しています。特に、子宮を前方に牽引する靭帯は円靭帯 (Round Ligament of Uterus) であり、この問題の正解となります。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 円靭帯 (Round Ligament) は、子宮底部の両側(子宮角)から起始し、鼠径管 (Inguinal Canal) を通って大陰唇 (Labium Majus) の皮下組織に付着します。その走行方向から、子宮を前方に牽引する作用を持ち、子宮の前傾 (Anteversion) を維持するのに重要な役割を果たしています。看護師国家試験では、各靭帯の起始・停止とその作用をセットで覚えることが求められます。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! ①番の卵巣固有靭帯 (Ovarian Ligament) は卵巣と子宮を結ぶ靭帯で、子宮の位置保持には関与しません。③番の基靭帯 (Cardinal Ligament / Mackenrodt's Ligament) は子宮頸部と骨盤側壁を結び、子宮を下方から支える最も強固な靭帯です。前方牽引はしません。④番の広間膜 (Broad Ligament) は子宮を覆う腹膜のひだ全体を指し、個別の靭帯ではありません。⑤番の子宮仙骨靭帯 (Uterosacral Ligament) は子宮頸部から仙骨 (Sacrum) に付着し、子宮を後方に牽引する作用があります。 関連概念の整理 (Related Concepts) 子宮の位置保持に関与する主な靭帯を整理すると、以下の通りです。 - 円靭帯: 前方牽引(子宮角 → 大陰唇) - 子宮仙骨靭帯: 後方牽引(子宮頸部 → 仙骨) - 基靭帯 (マッケンロート靭帯): 側方固定・下方支持(子宮頸部 → 骨盤側壁) - 広間膜: 子宮を覆う腹膜(支持構造全体) これらの靭帯のバランスが崩れると、子宮脱 (Uterine Prolapse) や子宮後屈 (Retroversion of Uterus) などの疾患が生じる可能性があります。
概念整理 - 子宮保持靭帯の3大機能: 前方牽引 (円靭帯)・後方牽引 (子宮仙骨靭帯)・側方固定 (基靭帯) - 正常子宮位: 前傾前屈位 (Anteversion and Anteflexion) - 関連靭帯: 卵巣固有靭帯(卵巣固定)、骨盤漏斗靭帯(卵巣・卵管支持)、広間膜(腹膜ヒダ)
一目で比較!
靭帯名起始 → 停止主な作用
円靭帯子宮角 → 大陰唇子宮を前方に牽引
子宮仙骨靭帯子宮頸部 → 仙骨子宮を後方に牽引
基靭帯子宮頸部 → 骨盤側壁子宮を側方から強固に固定
卵巣固有靭帯卵巣 → 子宮卵巣を子宮に固定

看護過程ポイント - アセスメント: 子宮脱や子宮後屈の患者では、靭帯の脆弱性や骨盤底筋群の弛緩が原因となる。経産婦や加齢に伴う靭帯の弛緩に注意。 - 看護介入: 子宮脱の予防・改善には、骨盤底筋体操 (Kegel Exercise) の指導が有効。靭帯そのものへの直接的な介入はないが、骨盤内うっ血を避けるための生活指導(長時間の立位や重い物の持ち上げを避ける)を行う。 - 評価: 子宮の位置異常に伴う症状(腰痛、下腹部圧迫感、性交痛、頻尿など)の改善度を評価する。
暗記のコツ - 「円」は「前に丸く」: 円靭帯は「子宮を前に引っ張る」靭帯。「円」という字から「円を描くように前方へ」とイメージすると覚えやすい。 - 「仙骨」は「後ろの骨」: 子宮仙骨靭帯は、仙骨に付着するので「子宮を後ろに引っ張る」と覚えましょう。 - 「基(キ)=基礎=ガッチリ固定」: 基靭帯は「基礎」をイメージし、子宮を横からしっかり固定する最強の靭帯と覚えましょう。
国試頻出ポイント - 各靭帯の「起始・停止」と「作用方向(前方・後方・側方)」の組み合わせを問う問題が頻出。 - 特に「円靭帯」と「子宮仙骨靭帯」は対になって出題されることが多い。 - 類似問題として、卵巣を支える靭帯(骨盤漏斗靭帯、卵巣固有靭帯)の区別も合わせて学習しておくと良い。
出題パターン注意! - 単純な知識問題:「子宮を前方に牽引するのはどれか?」 - 状況設定問題:「経産婦の60歳女性。子宮脱と診断された。この病態に関連する靭帯の脆弱性として最も関与が大きいのはどれか?」(答え:基靭帯や子宮仙骨靭帯の支持力低下) - 解剖学的理解を問う応用問題:「広間膜の一部ではないのはどれか?」(答え:卵巣固有靭帯など)

臨床シナリオ

臨床実践ガイド この概念は、特に婦人科領域の看護で重要です。例えば、子宮脱 (Uterine Prolapse) の患者さんを受け持った場合、どの靭帯が障害されているのかを考えることで、症状の理解と看護ケアの質が向上します。 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 72歳女性、3回の経産。最近、歩行時に「下腹部に何かが落ちてくる感じ」があると訴え、婦人科外来を受診。診察の結果、子宮脱(第2度)と診断されました。医師からは「経腟的子宮全摘術 (Vaginal Hysterectomy)」の手術が予定されています。術前の看護師によるオリエンテーションで、患者さんから「子宮はどうして落ちてきてしまったのですか?」と質問がありました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 観察とアセスメント: 患者さんの経産回数や加齢による骨盤底筋群と靭帯の弛緩が主因であることをアセスメント。特に 基靭帯 (Cardinal Ligament) と子宮仙骨靭帯 (Uterosacral Ligament) の支持力低下 が子宮脱に強く関与することを説明します。円靭帯は前方牽引ですが、脱出そのものの直接的な原因ではありません。 2. 具体的な説明と指導: 「子宮は、普段はハンモックのような骨盤底筋や、何本かの靭帯(じんたい)という紐で支えられています。出産や加齢でこの支えが弱くなると、子宮が下がってきてしまうことがあります。今回の手術は、この下がった子宮を取り除き、支えを修復するものです。」と、患者さんにわかりやすく説明します。術後は、骨盤底筋を鍛えるための指導(ケーゲル体操)の開始時期や方法について、医師の指示のもと計画します。 3. 患者安全・注意事項: 子宮脱の患者は、膀胱瘤 (Cystocele) や直腸瘤 (Rectocele) を合併していることが多く、排尿障害(尿意切迫感、腹圧性尿失禁)や排便困難にも注意が必要です。術後は、感染予防と疼痛管理、安静の保持が重要となります。
看護プロトコル - 観察項目: 子宮脱の程度(第1度~第3度)、随伴症状(腰痛、下腹部圧迫感、尿失禁、便秘)、腟分泌物の性状、粘膜のびらんや潰瘍の有無。 - 報告基準(SBAR): S「72歳女性、子宮脱術後1日目。疼痛スコアは3/10。」B「術後経過は順調だが、初回の排尿がまだ確認できていない。」A「膀胱留置カテーテル抜去後の排尿状態を観察中。残尿測定の指示が必要と考える。」R「排尿状態の確認と、必要に応じて残尿測定の実施について指示を仰ぎたい。」 - 記録のポイント: 子宮脱の程度、使用しているペッサリー(保存的治療の場合)のサイズと挿入状態、症状の変化、患者の理解度と心理状態。
先輩看護師の一言 「解剖学の知識は、『暗記』で終わらせずに『なぜこの症状が出るのか』を考えるための道具です。子宮脱の患者さんが『下腹部が重い』と訴えた時、基靭帯や子宮仙骨靭帯の支持力低下が原因とわかっていれば、『安静にすることで靭帯への負担を減らしましょう』という具体的なケアに結びつきます。国試の勉強でも、靭帯の名前と機能を丸暗記するのではなく、『靭帯が弛むとどんなことが起こるか』を想像してみてください。それが、本当の看護力になります!」

重要概念

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。