核心解説
この問題は、
味覚 (Taste)の受容体、特に
うま味 (Umami)を感知する分子機構を問うています。味覚は、舌の
味蕾 (Taste Buds)に存在する味細胞上のGタンパク質共役型受容体 (GPCR) によって感知されます。基本五味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)のうち、うま味は
アミノ酸(特にグルタミン酸)を感知する重要な味覚で、タンパク質の摂取を促す役割があります。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! うま味の受容体は、
T1R1 と
T1R3 という2つのサブユニットが結合した
ヘテロ二量体 (Heterodimer) です。この受容体が、食品中の
L-グルタミン酸(特に
MSG: グルタミン酸ナトリウム)に強く反応します。さらに、イノシン酸 (IMP) やグアニル酸 (GMP) などのヌクレオチドとうま味成分が共存すると、相乗効果により受容体活性が増強されることが知られています。よって、②番の「T1R1とT1R3」が正解です。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①番:
混同注意! TRPV1 は、温度(特に43℃以上の熱)や
カプサイシン(唐辛子の辛味成分)を感知する
イオンチャネル型受容体です。うま味とは全く異なる感覚です。
③番:
T1R2とT1R3 のヘテロ二量体は
甘味 (Sweet Taste)の受容体です。糖類や人工甘味料を感知します。うま味と混同しやすいので注意。
④番:
T1R1とT1R2 の組み合わせは、自然界にはほとんど存在せず、機能的な味覚受容体として同定されていません。
⑤番:
T2Rファミリー は、約25種類のサブタイプからなる
苦味 (Bitter Taste)受容体のファミリーです。多種多様な苦味物質を検出するために、遺伝子ファミリーを形成しています。
関連概念の整理 (Related Concepts):
味覚受容体は、大きく分けて3つのグループに分類されます。
| 味覚 | 受容体タイプ | 主なリガンド |
|---|
| うま味 | T1R1 + T1R3 | L-グルタミン酸, IMP, GMP |
| 甘味 | T1R2 + T1R3 | 糖類, 人工甘味料 |
| 苦味 | T2R ファミリー | 多種多様な苦味物質 |
| 酸味 | イオンチャネル (PKD2L1など) | プロトン (H+) |
| 塩味 | イオンチャネル (ENaCなど) | ナトリウムイオン (Na+) |
概念整理: うま味と甘味は共にT1Rファミリーのヘテロ二量体受容体ですが、サブユニットの組み合わせ(パートナー)が異なることで、全く異なる味を識別しています。この「組み合わせによる特異性」が本問題の核心です。
一目で比較!:
混同注意!
-
うま味: T1R1 + T1R3 → グルタミン酸を感知
-
甘味: T1R2 + T1R3 → 糖を感知
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苦味: T2R (単独または複合) → 毒物を感知
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辛味: TRPV1 → 温度・カプサイシンを感知(味覚ではなく痛覚/温覚に分類)
暗記のコツ: うま味 (Umami) のUを「U(ユー) = 1+3」、甘味 (Sweet) のSを「S(エス) = 2+3」と語呂合わせで覚えましょう。
- うま味: T1R1とT1R3 → 「うまい!いちさん(1と3)」
- 甘味: T1R2とT1R3 → 「あまい!にさん(2と3)」
国試頻出ポイント: 基本五味とその受容体の組み合わせは、人体の構造と機能の頻出論点です。特に「うま味」「甘味」のT1Rファミリー、「苦味」のT2Rファミリー、「辛味」のTRPチャネル(TRPV1など)をセットで出題されることが多いです。「味覚障害」の原因や、薬剤性の味覚異常(特に苦味受容体の関与)にも発展して問われることがあります。