看護臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
CCU(冠動脈集中治療室)で、急性心筋梗塞後の患者がモニター上で幅の広いQRS波の頻拍(心室頻拍)を呈し始めました。患者は「胸が苦しい、くらくらする」と訴え、顔面は蒼白、冷汗をかいています。血圧は100/60 mmHgから85/50 mmHgに低下しています。
看護介入戦略 (Nursing Intervention)
1.
アセスメント (Assessment):直ちに患者の意識レベル、呼吸状態、脈拍(橈骨動脈・頸動脈)を確認。モニター波形、血圧、SpO2をチェック。
2.
即時対応 (Immediate Action):
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酸素投与 (Oxygen administration):非再呼吸式マスク(リザーバー付きマスク)などで高濃度酸素を投与し、全身の酸素需要をサポート。
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静脈路の確保 (IV access):太い静脈路(18G以上)が確保されているか確認。なければ確保。
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同期性電気ショックの準備 (Preparation for synchronized cardioversion):除細動器を手配し、「同期 (SYNC)」モードに設定。エネルギーは通常50-100Jから開始。医師に状況を報告し、実施の準備を整える。
3. 治療実施とモニタリング (Treatment and Monitoring):医師が電気ショックを実施。看護師は患者の安全確保(ベッドから離れる、酸素を外す)と、実施直後の心電図モニター、血圧、意識レベルの変化を鋭敏に観察します。
患者の安全と注意事項 (Precautions)
* 電気ショック実施前には、患者および周囲のスタッフ全員が患者やベッドから離れていることを声を出して確認(「オールクリア!」)します。
* 酸素投与中は、ショック実施の直前に酸素を一時的に外すか、流し続ける場合は患者から十分離す必要があります(火災・爆発のリスク)。
* 電気ショック後も不整脈の再発に備え、継続的なモニタリングが必須です。
看護処置と与薬フロー
| 状況 | 第一選択の治療 | 看護師の優先行動 |
|---|
安定型 脈ありVT (無症状または軽度症状) | 抗不整脈薬(アミオダロン、プロカインアミド等)の静注 | 医師の指示に基づき薬剤を準備・投与。血圧・心電図を厳重モニタリング。 |
不安定型 脈ありVT (意識障害、胸痛、低血圧等) | 同期性電気ショック | 酸素投与 → 静脈路確認 → 除細動器の同期モード設定・準備 → 医師へ報告・実施支援。 |
| 無脈性VT / 心室細動 | 直ちに除細動 + CPR | 直ちにCPR開始。除細動器を手配し、可能な限り早く除細動を実施。 |
先輩看護師からの一言
「不整脈の対応で一番大切なのは『脈があるか、ないか』『患者は意識があるか、ないか』というABCの基本に立ち返ることです。モニターの波形だけを見て慌てるのではなく、まずは患者さんの元へ駆け寄り、声をかけ、脈を触る。この一手間が、その後の治療の流れを決めます。VTで脈があるのに除細動をしてしまわないように、『同期』と『非同期(除細動)』の違いも体に覚えさせておきましょう!」