看護臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)45歳男性。最近、朝起きると顔(特にまぶた)が腫れぼったく、靴下の跡が夕方まで残るようになりました。体重も1週間で3kg増加。外来受診し、尿検査で高度な蛋白尿を指摘され、ネフローゼ症候群と診断され入院となりました。
看護介入戦略 (Nursing Intervention)1.
アセスメント:浮腫の程度(部位、圧痕の有無、皮膚の状態)、体重の日々の変動、厳密な
水分出納バランス (Intake and output balance)の測定、血圧、呼吸状態(胸水による呼吸困難の有無)を評価します。
2.
看護ケア:医師の指示に基づき、
塩分・水分制限、高蛋白食 (Sodium/fluid restriction, high-protein diet)の食事指導を行います。浮腫による皮膚損傷を防ぐため、体位変換やスキンケアを徹底します。感染症予防(特に肺炎や腹膜炎)にも注意を払います。
3.
患者教育:自宅での体重測定の重要性、塩分制限の具体的な方法、服薬(ステロイドなど)の遵守と副作用について説明します。
患者の安全と注意事項 (Precautions)ステロイド治療中は、免疫抑制状態にあるため感染徴候(発熱、咳、創部の発赤など)に特に注意します。また、急激な利尿による脱水や電解質異常(低カリウム血症など)のモニタリングも重要です。
看護処置と与薬フロー
| ケア | 目的・注意点 |
|---|
| 厳密な水分出納管理 | 浮腫のコントロール状態を評価。尿量、飲水量、食事摂取量を正確に記録。 |
| 毎日決まった時間・条件での体重測定 | 体液貯留の最も敏感な指標。1-2kg/日の急激な増減は要注意。 |
| ステロイド薬(プレドニゾロン等)の投与 | 免疫抑制による感染リスク、血糖上昇、消化性潰瘍、ムーンフェイス等の副作用を観察。 |
先輩看護師からの一言
「ネフローゼの患者さんは、見た目の変化(浮腫やステロイドによる満月様顔貌)や食事制限で、とても心理的負担が大きいです。『病気のせいでこうなっているんだよ』と病態を説明し、治療によって改善していくことを伝えながら、寄り添う看護が大切です。浮腫のアセスメントでは、脛骨前面を10秒間押して、圧痕が残るか(pitting edema)を確認するのは基本中の基本ですよ!」