看護臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
7歳の男児、心室中隔欠損症の精査のため心臓カテーテル検査を施行。検査は右大腿動脈からアプローチ。検査終了後、あなたが受け持ち看護師として患児が回復室に戻ってきました。
看護介入戦略 (Nursing Intervention)
1.
一次評価 (Primary Assessment): まずABC(気道、呼吸、循環)を確認。バイタルサイン(血圧、脈拍、SpO2)を測定。
2.
最優先介入 (Highest Priority Intervention): 直ちに右鼠径部のカテーテル挿入部位を観察。圧迫包帯が正しく巻かれているか、血液の滲みや腫脹(血腫)がないかを丹念にチェック。患児が動かないよう声かけと説明を行う(「足をまっすぐにしていると、早く起きて遊べるよ」など)。
3.
継続的モニタリング (Ongoing Monitoring): 15分毎にバイタルサインと挿入部位を観察。患肢の足背動脈拍動、皮膚色、温感、毛細血管再充満時間を評価し、末梢循環障害の有無を確認。
4.
二次的ケア (Secondary Care): 止血が確認され、バイタルサインが安定した後、鎮痛剤の必要性をアセスメントし、必要に応じて投与。また、安静を保ちながら、絵本を読んだり、話し相手になったりして不安や退屈を軽減する。
患者の安全と注意事項 (Precautions)
・ 動脈穿刺の場合、出血リスクは静脈穿刺より高い。強い圧迫と長い安静時間が必要。
・ 患児が突然泣き出したり、動き回ったりした場合は、出血のリスクが高まるため、すぐに観察を強化し、必要に応じて医師に報告。
・ 造影剤使用によるアレルギー反応や腎機能への影響にも注意(小児では比較的稀だが)。
看護処置と与薬フロー
| 時間 | 観察・処置項目 | 目的・注意点 |
|---|
| 直後〜2時間 | 挿入部位の観察(15分毎)、バイタルサイン測定、患肢の末梢循環評価 | 出血・血腫の早期発見、循環動態の安定確認 |
| 2〜4時間後 | 医師の指示に基づき、安静度の緩和(ベッド上座位許可など) | 血栓症や不動による合併症の予防。無理な離床は禁止。 |
| 4〜6時間後 | 止血が確認できれば、医師の指示で圧迫包帯除去、歩行開始 | 完全な止血の確認が前提。初回歩行時は付き添い、ふらつきや出血に注意。 |
先輩看護師からの一言
「侵襲的検査後の患者さんを看る時は、『見えるリスク』と『見えないリスク』の両方を考えます。カテーテル部位の出血は『見えるリスク』の最たるもの。でも、患肢の冷感や拍動消失は『見えない循環障害』のサインかもしれません。観察は単に『見る』だけでなく、『触れて』『聞いて』(患児やご家族の訴え)、総合的に判断することが大切です。この優先順位の考え方は、骨折後の観察や血管造影後など、多くの場面で応用できますよ!」