看護学のコア解説
この問題は、
マルファン症候群 (Marfan syndrome)という遺伝性結合組織疾患の特徴的な身体所見について問うています。マルファン症候群は、
フィブリリン-1 (Fibrillin-1)という弾性線維の構成タンパク質の遺伝子変異により、全身の結合組織(特に大動脈、眼の水晶体、骨格系)が脆弱になる疾患です。
重要概念の分析 (Key Concept)
マルファン症候群の診断基準(改訂ガンツ基準)では、
骨格系の特徴が非常に重要です。中でも、
ここがポイント! 身長に対して腕が長い(腕長>身長)ことと、
細長い指(クモ状指/arachnodactyly)は、最も典型的で分かりやすい所見です。これは、長管骨(腕や脚の骨)の過度な成長によるものです。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解の④「身長より長い腕長とクモ状指」は、マルファン症候群の骨格系特徴を最も端的に表しています。腕長測定は簡易なスクリーニングとして有用で、クモ状指の確認には「親指徴候(Steinberg sign:親指を手掌内に握り込んだ時に先端が小指側に明らかに突出する)」や「手首徴候(Walker-Murdoch sign:反対側の手で手首を握り、親指と小指が重なる)」が用いられます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①の「短躯と翼状頸」は、
ターナー症候群 (Turner syndrome)(染色体異常:45,X)の特徴です。②の「樽状胸郭」は、
慢性閉塞性肺疾患 (COPD)などによる肺の過膨張で見られます。③の「ばち指 (Clubbing)は、
慢性低酸素血症 (Chronic hypoxia)(例:先天性心疾患、間質性肺炎、肺癌)に伴う所見です。これらはマルファン症候群の特徴ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
マルファン症候群の看護では、骨格系の特徴を見つけるだけでなく、
生命予後に関わる合併症のアセスメントが最も重要です。特に、上行大動脈の拡張や解離のリスクが高く、定期的な心エコー検査が必要です。また、水晶体偏位(目のレンズがずれる)による視力障害にも注意します。
概念のまとめ
・マルファン症候群:
フィブリリン-1遺伝子変異による結合組織疾患。
・主要3徴候:
骨格系(高身長、長い四肢、クモ状指)、
心血管系(大動脈瘤・解離)、
眼(水晶体偏位)。
・看護の焦点:
合併症予防と早期発見、遺伝カウンセリング、生活指導。
一目で比較!
| 疾患 | 特徴的身体所見 | 主な病態/原因 |
|---|
| マルファン症候群 | 腕長>身長、クモ状指、高身長、細長い体型 | フィブリリン-1遺伝子変異(常染色体優性) |
| ターナー症候群 | 短躯、翼状頸、外反肘、第二次性徴欠如 | 染色体異常(45,X) |
| 慢性閉塞性肺疾患 (COPD) | 樽状胸郭、ビア樽様呼吸、呼気延長 | 気道の慢性炎症と破壊(主に喫煙) |
| 慢性低酸素血症 | ばち指、チアノーゼ | 先天性心疾患、慢性呼吸器疾患など |
解剖生理と薬理のポイント
・大動脈解離予防:血圧コントロールが最重要。β遮断薬(例:プロプラノロール)が第一選択。血管拡張による壁へのストレスを減らす。
・定期的検査:
心エコー(大動脈径の経時観測)、
眼科検査(水晶体偏位、網膜剥離リスク)。
暗記のコツとゴロ合わせ
・マルファン症候群の特徴:「
マルファンはマル(丸)じゃない、細長い」→ 細長い体型、細長い指。
・「
腕が身長より長い、まるでクモ」→ 腕長>身長、クモ状指(arachnodactyly)。
国試頻出ポイント
マルファン症候群は、
特徴的な身体所見と
最も重篤な合併症(大動脈解離)の両方で出題されます。「12歳の子ども」という設定は、思春期に特徴が顕著になり診断されることが多い臨床実態を反映しています。
国試出題パターンの変化に注意!
・基本パターン:本問のように「特徴的な所見は?」と直接問う。
・応用パターン:「マルファン症候群の患者で、突然の激烈な胸痛が出現した。看護師が最初に疑うべき合併症は?」→
大動脈解離 (Aortic dissection)が正解。症状と病態を結びつける問題です。