看護臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
80歳、女性。パーキンソン病のため活動性が低下し、食事量・水分摂取も少なめです。「3日間便が出ていない」と訴え来院。腹部は軽度膨満、腸雑音は正常です。
看護介入戦略 (Nursing Intervention)
1.
アセスメント:便秘の原因(活動性低下、水分/食物繊維不足、薬剤の副作用など)を特定。バイタルサイン、腹部所見、直腸診の必要性を判断。
2.
計画と実施:まずは安全な非薬物療法から開始。患者と一緒に1日の水分摂取目標(例:コップ8杯)を設定し、摂取記録をつけてもらう。朝食後にトイレに行く習慣(胃結腸反射の利用)を提案。
3.
評価と調整:数日後に排便状況と腹部症状を評価。改善がなければ、食物繊維の摂取増加や軽い運動(ベッド上での足踏みなど)を追加。それでも効果不十分な場合、初めて医師に緩下剤の処方を相談。
看護処置と与薬フロー
| 介入レベル | 具体的方法 | 注意点 |
|---|
第1選択 (非侵襲的) | 水分摂取増加、食物繊維摂取、運動、排便習慣訓練 | 心不全や腎不全患者では水分制限が必要な場合あり。食物繊維は一気に増やすと腹部膨満の原因に。 |
第2選択 (薬物療法) | 浸透圧性下剤(ラクツロース)、塩類下剤(酸化マグネシウム)、膨張性下剤(プランタゴオバタ種皮) | 患者の病態(腎機能など)に合わせて選択。刺激性下剤(センノシドなど)は長期連用を避ける。 |
第3選択 (局所的処置) | 坐薬、浣腸 | 便塞栓がある場合に有効。浣腸は電解質異常(高リン血症など)や直腸損傷のリスクがあるため、頻回使用は禁忌。 |
先輩看護師からの一言
「便秘は『たかが便秘』と軽視されがちですが、高齢者では
せん妄 (Delirium)の原因になったり、無理にいきむことで
心筋梗塞 (Myocardial infarction)や
脳血管障害 (Cerebrovascular accident)を誘発するリスクもあります。まずは患者さんの生活を見直し、自然な排便リズムを取り戻せるようサポートすることが、看護師の大切な役割です。薬に頼る前に、『飲み物は足りていますか?』『今日は少し歩けましたか?』と声をかけることから始めましょう!」