看護臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario):32週の妊婦、COVID-19陽性。外来受診時、少し息切れを訴えている。バイタルサイン測定でSpO2 88%を確認。
看護介入戦略 (Nursing Intervention):
1.
即時対応:患者を安楽な体位(半坐位など)にし、
酸素投与 (Oxygen administration)を開始(通常は鼻カニューレから)。医師に直ちに連絡。
2.
詳細なアセスメント:呼吸数、呼吸パターン(努力呼吸、チアノーゼの有無)、聴診(ラ音の有無)、動脈血液ガス分析(ABG)の準備。同時に、胎児心拍数の連続モニタリングを開始。
3.
継続的モニタリング:酸素投与開始後のSpO2の反応を頻回に確認。呼吸苦の訴えの変化を観察。
4.
患者教育と不安の軽減:状態と行っている処置についてわかりやすく説明。呼吸法(口すぼめ呼吸など)を指導し、不安を軽減する。
患者の安全と注意事項 (Precautions):COVID-19陽性患者であるため、
標準予防策 (Standard precautions)に加え、
飛沫感染予防策 (Droplet precautions)と
接触感染予防策 (Contact precautions)を厳格に実施(サージカルマスク、ガウン、手袋の着用、N95マスクが必要な場合も)。酸素投与中は、器材の汚染に注意し、適切に管理します。
看護処置と与薬フロー
| ステップ | 看護アクション | 根拠と注意点 |
|---|
| 1. アセスメント | バイタルサイン(特にSpO2、呼吸数)、呼吸状態観察、胎児心拍聴取/モニタリング | 低酸素の程度と胎児への影響を評価。COVID-19患者では非接触型体温計の使用も考慮。 |
| 2. 酸素投与の開始 | 医師の指示に基づき、鼻カニューレなどで酸素を投与。初期目標SpO2は94-98%を目安。 | 妊婦はPaCO2が元々低いため、過剰な酸素投与によるCO2ナルコーシスリスクは低いが、適切な流量を守る。 |
| 3. モニタリングと記録 | 酸素投与開始後5-10分でSpO2を再評価。呼吸状態、意識レベル、胎児心拍を継続観察。 | 治療への反応を評価し、次の治療方針(人工呼吸器管理など)の判断材料とする。 |
| 4. 連絡と準備 | 医師や呼吸器療法士に状態を報告。重症化に備え、ICUやNICUへの連絡体制を確認。 | チーム連携が母児の予後を左右する。 |
先輩看護師からの一言
「妊婦さんは『ふたり分』の命を預かっているという責任感を持ちましょう。COVID-19に限らず、妊婦の呼吸状態の悪化は、お母さんだけでなく赤ちゃんにも即座に影響します。SpO2は『見える化』された重要なバイタルサイン。数値の変化に敏感になり、『なぜ下がっているのか?』を考えながらアセスメントすることが、緊急事態を未然に防ぐ第一歩です。国試でも臨床でも、『生命の危機』に直結する所見を最優先で見極める力が問われますよ!」