看護学のコア解説
この問題は、分娩進行中の胎児の
回旋 (Cardinal movements of labor)について問うています。特に、
左前頭位 (Left Occiput Anterior, LOA)という正常な胎位における、骨盤内での胎児の適応的動きを理解しているかがポイントです。
重要概念の分析 (Key Concept)
分娩が進行する際、胎児は狭い骨産道を通過するために、一連の決まった動きを行います。これが
回旋 (Cardinal movements)です。順序は、
①下降 (Descent) →
②屈曲 (Flexion) →
③内回旋 (Internal rotation) →
④伸展 (Extension) →
⑤外回旋 (External rotation) →
⑥娩出 (Expulsion)です。この問題では、内診所見から「LOAで子宮口6cm開大」という第一産程後半から第二産程への移行期の状況が設定されており、次に起こる回旋を予測する能力が試されています。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は「① 胎児の頭部が左前頭位から前頭位へと内回旋する」です。
ここがポイント! 骨盤の入口は横径が広く、出口は前後径が広いという形状的特徴があります。LOAの状態では、胎児の後頭部(後頭結節)は母体の左前方にあります。骨盤出口を通過するためには、胎児の頭部は骨盤の前後径に合わせて回旋する必要があり、これが
内回旋 (Internal rotation)です。通常、LOAや右前頭位(ROA)では、45度回旋して純粋な前頭位(OA)となり、恥骨の下をくぐり抜けます。したがって、この時期(子宮口6cm開大、ほぼ全開大に近い)に期待される次の動きは、まさにこの内回旋です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
②
混同注意! 外回旋 (External rotation)は、胎児の頭部が娩出された
後、肩甲帯が骨盤内で回旋(肩甲回旋)するのに合わせて頭部が元の横向き(この場合は左側)に戻る動きです。したがって、「肩の娩出前に起こる」という記述は誤りです。
③ 屈曲は、下降の過程で胎児のあごが胸につく動きであり、
内回旋が完了する前に起こります。内回旋は屈曲した状態で行われます。「内回旋完了後に起こる」という記述は順序が逆です。
④ 伸展は、胎児の後頭部が
恥骨結合 (Symphysis pubis)の下を通過した後(骨盤出口)、頭頂部、前頭部、顔面、あごの順に娩出される際の動きです。「骨盤入口に後頭部が達した時に始まる」という記述は、場所とタイミングが誤っています。伸展は骨盤出口での動きです。
関連概念の整理 (Related Concepts)
回旋は分娩の生理的なメカニズムであり、その順序を理解することは、分娩監視装置の所見や内診所見から分娩の正常・異常を判断する上で非常に重要です。例えば、内回旋がうまくいかないと
回旋異常となり、分娩停止や遷延分娩の原因となります。
概念のまとめ
・回旋 (Cardinal movements):下降→屈曲→内回旋→伸展→外回旋→娩出の順序。
・内回旋 (Internal rotation):胎児の頭部が骨盤出口の前後径に合わせて回旋する動き。LOA/ROAからOAへ。
・外回旋 (External rotation):頭部娩出後、肩甲の回旋に合わせて頭部が横を向く動き。
一目で比較!
| 回旋の種類 | 起こるタイミング | 目的・特徴 |
|---|
| 内回旋 | 第一産程後半~第二産程(骨盤中・出口) | 胎児の最大径(大横径)を骨盤の広い径(入口は横径、出口は前後径)に合わせる。 |
| 外回旋 | 胎児頭部娩出直後 | 肩甲帯の娩出(肩甲回旋)に伴い、頭部が元の向きに戻る。 |
| 伸展 | 後頭部が恥骨結合下を通過した後(骨盤出口) | 頭部を娩出するための最終的な動き。屈曲の逆の動き。 |
解剖生理と薬理のポイント
・骨盤の形状:入口は横径>前後径(横長)、出口は前後径>横径(縦長)。この形状差が内回旋を必要とさせる。
・胎位の表記:LOA = Left Occiput Anterior。Occiput(後頭部)が母体の骨盤の左(L)前(A)方にあることを意味する。
暗記のコツとゴロ合わせ
回旋の順序は「
屈内伸外(くっないしんがい)」と覚えると良いでしょう。下降の後、「屈曲→内回旋→伸展→外回旋」の流れです。
国試頻出ポイント
回旋の順序と、各動きが起こるタイミング(どの産程か、骨盤のどの部位か)がセットで問われます。特に「内回旋」と「外回旋」の違い、および「伸展」が起こる場所(恥骨結合下=骨盤出口)は超頻出です。
国試出題パターンの変化に注意!
単純な順序選択から、「ある内診所見(例:LOAで子宮口8cm)の時に、次に起こる/助産師が観察できる所見は?」といった、臨床場面を想定した応用問題へと変化しています。病態生理と看護観察を結びつけて理解することが必須です。