看護学のコア解説
この問題は、
在胎28週の早産児 (Preterm infant at 28 weeks gestation)のケアにおいて、
未熟児網膜症 (Retinopathy of Prematurity, ROP)のリスクがある状況で、
最も緊急性が高く、即時の介入を要するアセスメント所見を問うています。
重要概念の分析 (Key Concept)
未熟児網膜症 (ROP) は、未熟な網膜血管が異常増殖する疾患で、重症化すると網膜剥離や失明に至ります。その最大の危険因子は
高濃度酸素療法 (High-concentration oxygen therapy)と
酸素飽和度の不安定な変動 (Fluctuations in oxygen saturation)です。しかし、この問題の核心は「ROPのリスクがある」という文脈で、
ここがポイント! 早産児全体の
全身状態の急性悪化 (Acute systemic deterioration)を見逃さないことです。ROPの管理は重要ですが、生命の危機に直結する事態には優先順位があります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は「② 授乳中の突然の無呼吸と徐脈」です。その理由は以下の通りです。
1.
生命の危機 (ABCの原則):
無呼吸 (Apnea)と
徐脈 (Bradycardia)は、早産児において
呼吸中枢の未熟性 (Immaturity of the respiratory center)や
低酸素血症 (Hypoxemia)を示す重要な徴候です。これらが「突然 (Sudden onset)」発生し、かつ「授乳中 (during feeding)」というのは、誤嚥、疲労、または何らかの急性疾患の始まりを示唆し、
直ちに気道確保、刺激、酸素投与などの介入が必要です。
2.
ROPとの関連性: 酸素飽和度の急激な低下はROPのリスク因子でもありますが、この選択肢が示すのは「酸素飽和度の数値」ではなく、「無呼吸・徐脈という生命徴候の異常」そのものです。これが最も優先されるべき緊急事態です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 他の選択肢は、早産児の経過中にみられる所見ですが、即時の介入を要する緊急性は②に比べて低い、または管理された状態です。
- ① 酸素飽和度が一貫して88-92%に維持されている: 在胎28週の極低出生体重児では、慢性肺疾患 (Chronic lung disease)やROP予防のために、酸素飽和度の目標値を低め(通常91-95%)に設定することがあります。一貫して管理目標内にあるため、緊急事態ではありません。
- ③ 過去1週間で1日あたり15gの体重増加: 早産児の適切な体重増加は1日あたり15-20gが目標です。これは良好な栄養状態 (Good nutritional status)を示し、心配な所見ではありません。
- ④ ビリルビン値8 mg/dLの軽度黄疸: 新生児、特に早産児では生理的黄疸が高頻度でみられます。ビリルビン値 8 mg/dL は、光線療法の開始基準(通常は生後日数や体重により10-15 mg/dL以上)を大きく下回る軽度の値であり、緊急介入は不要です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
早産児の看護では、
発達支援ケア (Developmental care)とともに、
合併症の予防と早期発見 (Prevention and early detection of complications)が重要です。ROPのスクリーニングは重要ですが、それ以前に患児の全身状態を安定させることが最優先です。無呼吸・徐脈への対応は、看護師の重要な役割です。