概念 1. 黒質のドーパミン不足
パーキンソン病は、中脳の黒質にあるドーパミン神経細胞が減少することで起こる神経変性疾患です。
ドーパミンは、運動を滑らかに調整するために重要な神経伝達物質です。
ドーパミンが減少すると、動作が遅くなったり、筋肉がこわばったり、振戦が出たりします。
パーキンソン病は、黒質のドパミン神経細胞の障害によって発症する神経変性疾患で、静止時振戦、筋強剛、運動緩慢・無動などを特徴とします。
国試の出題ポイント
パーキンソン病
→ 中脳黒質
→ ドーパミン不足。
覚え方
黒質
→ ドーパミン
→ 運動を滑らかにする。
減ると、動きにくくなる。
概念 2. 4大運動症状とヤール分類
パーキンソン病では、特徴的な運動症状がみられます。
安静時振戦
じっとしているときに手指が震えます。
丸薬丸め運動のように表現されることがあります。
動作を始めると軽くなることがあります。
筋強剛・筋固縮
筋肉がこわばり、関節を他動的に動かすと抵抗を感じます。
歯車様強剛がみられることがあります。
無動・寡動・運動緩慢
動作が遅くなります。
表情が乏しくなる仮面様顔貌、小字症、瞬きの減少などがみられます。
姿勢反射障害
バランスを崩したときに姿勢を立て直しにくくなります。
転倒リスクが高くなります。
主な症状として、安静時振戦、筋強剛、無動・寡動に加え、姿勢反射障害、歩行障害、自律神経障害などが挙げられます。
国試の出題ポイント
Hoehn & Yahr分類では、姿勢反射障害が出現するとⅢ度に相当します。
Ⅲ度では、日常生活で転倒予防が重要になります。
覚え方
パーキンソン病の4大症状
→ 振戦
→ 固縮
→ 無動
→ 姿勢反射障害。
概念 3. すくみ足と感覚刺激
パーキンソン病では、歩き出しにくさや歩行障害がみられます。
代表的な歩行障害
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すくみ足
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小刻み歩行
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突進現象
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前傾姿勢
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方向転換が苦手
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転倒しやすい
すくみ足では、足が床に貼りついたように動き出せなくなることがあります。
このような場合、視覚刺激や聴覚刺激が歩行のきっかけになることがあります。
看護・リハビリの工夫
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床に目印の線を貼る
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足を上げる目標を示す
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「イチ、ニ」と声をかける
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メトロノームなど一定のリズムを使う
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急がせない
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方向転換時は転倒に注意する
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歩行環境を整える
パーキンソン病では、すくみ足、突進歩行、歩行時の腕振り低下、足の引きずりなどがみられます。
国試の出題ポイント
すくみ足
→ 目印やリズムなどの外的刺激を使う。
覚え方
すくみ足
→ 線をまたぐ。
→ リズムに合わせる。
→ 急がせない。
概念 4. L-ドパとウェアリング・オフ現象
パーキンソン病の治療では、ドーパミン不足を補う薬が使われます。
代表的なのがL-ドパ(レボドパ)です。ドーパミンそのものは血液脳関門を通りにくいため、脳内でドーパミンに変換されるL-ドパを使用します。
ウェアリング・オフ現象
治療が長期になると、薬の効果が次の内服前に切れやすくなることがあります。
これをウェアリング・オフ現象といいます。
観察ポイント
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薬が効いている時間
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動ける時間
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動けない時間
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内服時間と症状の関係
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転倒の有無
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ジスキネジアの有無
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幻覚や不眠などの副作用
国試の出題ポイント
ウェアリング・オフ現象では、内服時間と症状の変化を観察します。
患者のオン・オフの時間を把握し、医師へ情報提供します。
覚え方
L-ドパ
→ 脳でドーパミンになる。
ウェアリング・オフ
→ 薬が切れると動けなくなる。
概念 5. 非運動症状:便秘と起立性低血圧
パーキンソン病では、運動症状だけでなく、非運動症状も重要です。
主な非運動症状
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便秘
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起立性低血圧
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排尿障害
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発汗異常
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嚥下障害
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睡眠障害
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嗅覚低下
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抑うつ
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認知機能低下
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幻覚・妄想
パーキンソン病の非運動症状には、嗅覚低下、便秘、頻尿や排尿困難、立ちくらみ、起立性低血圧、睡眠障害、認知機能低下、うつ、幻覚・妄想などがあります。
便秘への看護
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水分摂取を促す
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食物繊維を取り入れる
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排便習慣を整える
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活動量を保つ
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緩下薬の使用状況を確認する
起立性低血圧への看護
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急に立ち上がらない
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起き上がる前に端座位で休む
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めまい・ふらつきを確認する
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転倒予防を行う
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血圧変動を観察する
国試の出題ポイント
パーキンソン病
→ 運動症状だけでなく、便秘・起立性低血圧にも注意。
覚え方
パーキンソン病は、
動きにくさだけではない。
便秘・立ちくらみ・睡眠・嚥下も見る。
まとめ
パーキンソン病では、次の5つを押さえます。
病態
中脳黒質のドーパミン不足。
4大運動症状
安静時振戦、筋強剛、無動・寡動、姿勢反射障害。
歩行障害
すくみ足、小刻み歩行、突進現象。目印やリズムで歩行を助ける。
薬物療法
L-ドパは脳内でドーパミンになる。ウェアリング・オフを観察する。
非運動症状
便秘、起立性低血圧、嚥下障害、睡眠障害、抑うつなども重要。