概念 1. 労作性狭心症と冠攣縮性狭心症
狭心症は、冠動脈の血流が一時的に不足し、心筋が虚血になることで胸痛が起こる疾患です。
心筋梗塞と異なり、心筋壊死は基本的に起こりません。
労作性狭心症
動脈硬化などにより冠動脈が狭くなり、運動や階段昇降などで心筋の酸素需要が増えたときに発作が起こります。
特徴
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労作時に起こりやすい
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安静で改善しやすい
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ニトログリセリンで改善しやすい
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発作は数分〜15分程度のことが多い
冠攣縮性狭心症
冠動脈が一時的にけいれんし、血流が低下することで起こります。
夜間から早朝の安静時に起こりやすいことが特徴です。日本循環器学会の冠攣縮性狭心症ガイドラインでも、夜間から早朝にかけて安静時に出現すること、Ca拮抗薬により発作が抑制されることなどが参考項目として示されています。
特徴
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夜間〜早朝に起こりやすい
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安静時にも起こる
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飲酒、喫煙、ストレス、寒冷などが誘因になることがある
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Ca拮抗薬が用いられる
国試の出題ポイント
労作性狭心症
→ 労作時、ST低下、β遮断薬が使われることがある。
冠攣縮性狭心症
→ 夜間〜早朝、安静時、ST上昇、Ca拮抗薬。
概念 2. ニトログリセリンの服薬指導
ニトログリセリンは、狭心症発作時に使用される硝酸薬です。
血管を拡張し、心筋の酸素需要を減らすことで胸痛を改善します。
国試の出題ポイント
投与方法
ニトログリセリン舌下錠は、飲み込まずに舌下で溶かします。
舌下粘膜から吸収され、初回通過効果を受けにくいためです。ニトログリセリン舌下錠は口腔粘膜から吸収される薬で、飲み込むと効果が得られにくいと説明されています。
姿勢
血管拡張により血圧が低下し、めまいや転倒が起こることがあります。
そのため、座位または臥位で使用します。
受診の目安
1錠使用しても改善しない場合は、指示に従って追加使用し、症状が続く場合は速やかに医療機関へ連絡します。患者向け情報では、1回の発作で3錠まで使用しても改善しない場合や、発作が15〜20分以上続く場合は、すぐに医師へ連絡または救急受診するよう示されています。
保管
光や湿気を避け、処方された容器で保管します。
携帯するときも、保管方法を守ります。
覚え方
ニトログリセリン
→ 舌下
→ 座って使う
→ 改善しなければ救急対応
→ 遮光保管。
概念 3. 心電図:ST低下とST上昇
狭心症では、発作時の心電図変化が問われやすいです。
労作性狭心症
発作時にST低下がみられることがあります。
これは心筋虚血を反映します。
冠攣縮性狭心症
発作時に一時的なST上昇がみられることがあります。
冠攣縮が改善すると、心電図変化も元に戻ることがあります。
国試の出題ポイント
労作性狭心症
→ ST低下。
冠攣縮性狭心症
→ 発作時ST上昇のことがある。
注意
ST上昇は急性心筋梗塞でも重要な所見です。
胸痛の持続時間、ニトログリセリンへの反応、心筋マーカー、全身状態と合わせて判断します。
概念 4. 薬の役割:β遮断薬とCa拮抗薬
狭心症の治療薬は、狭心症のタイプによって使い分けます。
β遮断薬
心拍数や心筋収縮力を抑え、心筋の酸素需要を減らします。
労作性狭心症で用いられることがあります。
Ca拮抗薬
冠動脈の攣縮を抑え、血管を拡張します。
冠攣縮性狭心症で重要な薬です。
国試の出題ポイント
冠攣縮性狭心症では、Ca拮抗薬が基本になります。
β遮断薬は冠攣縮を悪化させる可能性があるため、単独使用は避け、慎重に用います。冠攣縮性狭心症のガイドラインでは、Ca拮抗薬により発作が抑制されるがβ遮断薬では抑制されないことが参考項目として示されています。
覚え方
労作性狭心症
→ 心臓を休ませる
→ β遮断薬。
冠攣縮性狭心症
→ 血管のけいれんを防ぐ
→ Ca拮抗薬。
概念 5. 発作を誘発する因子と生活指導
狭心症発作は、心筋の酸素需要が増えたときや、冠動脈が収縮したときに起こりやすくなります。
発作を誘発しやすい要因
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急激な運動
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過食
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精神的興奮・ストレス
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寒冷刺激
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喫煙
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飲酒
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早朝の活動
特に冠攣縮性狭心症では、喫煙や飲酒が関係することがあります。日本循環器学会ガイドラインでも、喫煙は冠攣縮性狭心症の発症予防において除去可能な因子であり、禁煙指導が重要とされています。
国試の出題ポイント
生活指導では、以下を伝えます。
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急激な運動を避ける
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寒い場所に出るときは防寒する
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冬の早朝の無理な外出や運動を避ける
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過食を避ける
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禁煙する
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飲酒量に注意する
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発作時のニトログリセリンの使い方を確認する
覚え方
狭心症の発作予防
→ 急な運動・寒冷・過食・ストレス・喫煙に注意。
まとめ
狭心症では、次の5つを押さえます。
労作性と冠攣縮性
労作性は運動時、冠攣縮性は夜間〜早朝の安静時。
ニトログリセリン
舌下投与、座位・臥位で使用、改善しなければ救急対応。
心電図
労作性はST低下、冠攣縮性はST上昇のことがある。
薬剤
労作性ではβ遮断薬、冠攣縮性ではCa拮抗薬が重要。
生活指導
寒冷、急な運動、過食、ストレス、喫煙、飲酒に注意。