概念 1. 代謝性ではHCO₃⁻を見る
呼吸性の酸塩基平衡では、主にPaCO₂を見ます。
一方、代謝性の酸塩基平衡では、主にHCO₃⁻を見ます。
HCO₃⁻は、体内の酸を中和するアルカリ成分です。
国試の出題ポイント
HCO₃⁻が低下
酸を中和しにくくなり、血液は酸性に傾きます。
→ 代謝性アシドーシス
HCO₃⁻が上昇
アルカリ成分が増え、血液はアルカリ性に傾きます。
→ 代謝性アルカローシス
覚え方
HCO₃⁻はアルカリ。
減ると酸性、増えるとアルカリ性。
概念 2. 嘔吐と下痢は結果が逆になる
酸塩基平衡でよく問われるのが、嘔吐と下痢の違いです。
胃液は酸性、腸液はアルカリ性です。
そのため、どちらを失うかによって、血液のpHは逆方向に変化します。
激しい嘔吐
胃酸を失います。
酸を失うため、体内はアルカリ性に傾きます。
→ 代謝性アルカローシス
激しい下痢
腸液中のHCO₃⁻を失います。
アルカリ成分を失うため、体内は酸性に傾きます。
→ 代謝性アシドーシス
看護師国家試験でも、下痢はアルカリの喪失により代謝性アシドーシス、嘔吐は酸の喪失により代謝性アルカローシスを起こす組み合わせとして問われています。
覚え方
嘔吐
→ 胃酸を失う
→ アルカローシス。
下痢
→ HCO₃⁻を失う
→ アシドーシス。
概念 3. 糖尿病ケトアシドーシス(DKA)
糖尿病ケトアシドーシス(DKA)は、代謝性アシドーシスの代表的な病態です。
インスリンが著しく不足すると、細胞はブドウ糖を利用しにくくなります。
そのため、脂肪が分解され、ケトン体が増加します。
ケトン体は酸性物質であるため、血液は酸性に傾きます。
国試の出題ポイント
糖尿病ケトアシドーシスで押さえる所見は、次の通りです。
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高血糖
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ケトン体増加
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代謝性アシドーシス
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脱水
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アセトン臭のある呼気
-
クスマウル呼吸
覚え方
インスリン不足
→ 脂肪分解
→ ケトン体増加
→ 代謝性アシドーシス。
概念 4. 慢性腎不全と代謝性アシドーシス
腎臓は、体内で生じた酸を尿中に排泄し、HCO₃⁻を調整することで酸塩基平衡を保っています。
慢性腎不全では、酸を十分に排泄できなくなります。
その結果、体内に酸が蓄積し、代謝性アシドーシスを起こしやすくなります。
国試の出題ポイント
慢性腎不全
→ 酸を排泄できない
→ 代謝性アシドーシス。
看護師国家試験でも、酸塩基平衡の異常と原因の組み合わせとして、代謝性アシドーシス ― 慢性腎不全が正答として問われています。
覚え方
腎不全
→ 酸を捨てられない
→ アシドーシス。
概念 5. 肺による代償とクスマウル呼吸
代謝性アシドーシスでは、体内に酸が増えています。
このとき、肺はCO₂を多く排出して、pHを戻そうとします。
そのため、深く大きい呼吸がみられることがあります。
これをクスマウル呼吸といいます。
国試の出題ポイント
代謝性アシドーシスでみられる呼吸
→ クスマウル呼吸
看護師国家試験でも、代謝性アシドーシスによって起こる呼吸として、クスマウル呼吸が問われています。尿毒症や糖尿病による代謝性アシドーシスでみられる呼吸として整理されています。
覚え方
代謝性アシドーシス
→ 酸が増える
→ CO₂を出して補正
→ 深く大きいクスマウル呼吸。
まとめ
代謝性アシドーシス・アルカローシスでは、次の5つを押さえます。
HCO₃⁻
代謝性ではHCO₃⁻を見る。HCO₃⁻低下はアシドーシス、上昇はアルカローシス。
嘔吐と下痢
嘔吐は胃酸喪失で代謝性アルカローシス。下痢はHCO₃⁻喪失で代謝性アシドーシス。
糖尿病ケトアシドーシス(DKA)
インスリン不足でケトン体が増え、代謝性アシドーシスになる。
慢性腎不全
酸を排泄できず、代謝性アシドーシスになる。
クスマウル呼吸
代謝性アシドーシスでみられる深く大きい呼吸。